全国町村会

映画の古民家にファン続々 善意で開放、富山・上市

富山県上市町

今夏に公開されたアニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」で、主人公の親子が暮らす家のモデルとなった富山県上市町の古民家にファンが続々と訪れている。 所有者の山崎正美(やまざき・まさみ)さん(71)夫妻が「町を好きになってほしい」と善意で室内を開放。訪れる人を温かく迎えている。

上市町中心部から約7キロ離れた山中で、木々の間にひっそりとたたずむ瓦ぶきの建物。「この縁側から主人公が雪面に飛び込んだんですよ」。 映画と同じ光景を前に、山崎さんが教えてくれた。

300万人以上を動員する大ヒットとなった映画は、同町出身の細田守(ほそだ・まもる)監督が親子の絆を描いた作品だ。女子大生の花(はな)は、 好きになった彼が人間の姿をした「おおかみおとこ」と知りながら一緒に暮らし始める。やがて人間とオオカミの二つの顔を持つ子ども 「雨(あめ)」と「雪(ゆき)」を授かるが、彼は突然亡くなってしまう。残された3人が逆境を乗り越え、 さまざまな人の支えの中で生き方を模索する姿が感動を呼んだ。

作中で、3人が都会から移り住む家のモデルとなったのが山崎さんの古民家だ。築120年以上で、屋根裏を含めた延べ床面積は約150坪。 約8年前に妻和子(よりこ)さん(65)の父親が他界した後、登山客らの休憩場所として開放し、利用者にメッセージを残してもらおうとノートを置いた。

そのノートに書き込みをした一人が細田監督だ。約2年前、偶然立ち寄った故郷のこの家に一目ぼれ。ここで育った和子さんに暮らしぶりを聞き、 建物が持つ雰囲気もリアルに映画で再現した。

これまで訪れたファンの数は3千人超に。週末など1日に100人以上が訪れる日もあるが、山崎さん夫妻は近くの自宅から駆け付けておにぎりを振る舞うなど、 できる限りのもてなしをしている。備え付けのノートは「映画の場面を思い出して感動した」などの感想でびっしりだ。

「映画を通じて多くの人と交流できるようになった。良い思い出をつくって帰ってほしい」と山崎さん。 上市町観光協会は車の混雑を避けるため麓の駐車場から徒歩で向かうよう呼び掛けている。作品は現在も一部映画館で公開中。

(2012/10/11 (共同通信)(共同通信社「47行政ジャーナル」より転載))

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