全国町村会

住民と行政の協働した美しいむらづくり

昭和村フォトコンテストにて 優秀賞昭和村議会議長賞「パッチワークの丘」

 

群馬県昭和村

3006号(2017年7月10日)  昭和村 産業課

昭和村の概要

昭和村は、群馬県の北部地域の赤城山北西麓に位置し、標高は260mから1,461mまでと、緩やかな高原地帯を形成しています。  

主な産業は農業で、主要な農産物は日本一の生産量を誇るこんにゃくいもや、県内でも有数なレタスや、ホウレン草など、高原野菜の産地です。村の面積64.17㎢のうち、約40%が農地という農業産地で、赤城高原野菜の生産振興、農産物加工品の開発、野菜の情報発信を進め、「やさい王国」としての村づくりと商業・工業とも連携しながら安心・安全な農畜産物の生産に努めています。

平成10年には、関越自動車道昭和ICが開通し、首都圏と約80分でつながったことから「首都圏の台所」と呼ばれているほか、その立地を生かし世界的な企業も昭和村に進出しています。

また、谷川岳や武尊山、三国山脈などの名山を一望できる、雄大な大パノラマの農村風景等が評価され、平成21年には「日本で最も美しい村」連合に加盟し、農業を基盤とした観光、交流、さらに景観を意識した改革への取組を進めてきました。

そして、近年では、河岸段丘ハーフマラソンや望郷ラインセンチュリーライド(ロードレース)、赤城山登山道の開通などスポーツ分野の充実も図られ、元気なむらづくりに取り組んでいます。

河岸段丘ハーフマラソン

           

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繋ぐフロンティア精神

今でこそ広大な大地が広がり、一大産地となった昭和村ですが、終戦までは松などが生い茂る未墾地でした。赤城高原の未墾の地にクワが入ったのは戦後の昭和21年のことです。  

この地の自然条件は、標高400〜800m、傾斜3〜8度ほどの準高冷地帯で、晩霜、降雹、集中豪雨等の気象災害を受けやすく、その土壌も榛名系火山灰土壌で軽石が多く、入植後もしばしば干ばつ等の水害に見舞われました。

こうした劣悪な自然条件に加えて、この地に入植した者のおよそ半分が農業未経験者であり、また開墾の道具もクワとスコップ、主に手作業ということで、開拓の困難さはまさしく血と汗の連続でした。昭和25年の群馬県開拓課の調査によると、昭和20年の入植以来、わずか5年後には県下の累積離農者戸数は1,002戸におよび、当時の入植者の約30%に達していました。この数字は開拓がいかに困難なものであったかを物語っています。この地も例外ではなかったのですが、県内の離農者の割合と比べるとかなり低く、先人達の強い開拓魂が感じられます。

またこの頃の農作物は、そばやじゃがいも、粟、きび、大豆、小豆、サツマイモ等の穀類で、その生産量は自給用ですら充分な量を確保できない状況だったといいます。昭和20年代を開拓期とすると、昭和30年代は商品生産期の前期、すなわち、商品としての作物生産が徐々に進展していった時期といえます。すでに粟やひえ、キビなどは消え、大小麦や大豆、小豆等の割合が高く、とうもろこしやじゃがいも、こんにゃくいもなど、商品生産期に中心となる作物のシェアが大きくなり、野菜類も数、割合ともに少ないながらも姿を見せ始めています。

昭和30年代から40年代にかけて、水利施設がようやく完成し、昭和45年以降は酪農家と野菜農家の分化が進み、野菜特化期に繋がってきました。昭和50年代に入る頃には野菜以外の作物はほとんど減少し、特に穀類、いも類、豆類の減少は著しかったといいます。

その後、消費者の需要に応え多様化した野菜作りに特化した取組は年毎に進み、担い手不足が嘆かれる昨今でも本村では、2代目、3代目と先代が築き上げた広大な大地と、新たな挑戦をし続けるフロンティア精神が受け継がれています。

松ノ木平地区開拓者のテント村

動力耕耘機で前進

松ノ木平 じゃがいも植

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農村女性の活躍と伝統の味

昭和村では、野菜生産量の増加に反して穀類、大豆等の生産量減少が進む一方で、古くから作られていた味噌や醤油などの伝統の味や技術は受け継がれてきました。そのような中、地域の婦人達は農作業の合間をみて集まり、協同で材料を集めて農産物の加工をしながらコミュニケーションをとる、そんな活動が基になり、平成9年に『さくら工房』は設立されました。  

さくら工房は「みそ部」「農家レストラン部」「ジャム部」「こんにゃく部」「ジュース部」の5部門で構成されており、農家女性ならではの「手作り・こだわり・思いやり」で、安心・信頼できる美味しい加工品を目指しています。また、地元農産物を利用した加工品ということで地産地消も推進しています。

こんにゃくいも(三年生)

先人が苦難を乗り越え荒野を開墾した農地を受け継ぎ守っていくように、農村の女性達も伝統の味や技術の伝承・普及に努めています。

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さくら工房の活動

平成9年に加工施設「飛躍」の完成に併せて設立されたさくら工房ですが、この施設で各部会それぞれが加工品等の製造に取り組んでいます。  

また、地域づくりの観点から、地元農産物等の加工品の製造・販売はもちろんのこと、村内のごみ拾いや村有林の下草刈りなどの環境美化活動、毎年10月に開催される、1年の実りに感謝して行う「昭和の秋まつり」への参加など、村をはじめ商工会、農業観光協会、JA等と連携し、地域に密着した様々なPR活動にも取り組んでいます。

環境美化活動の取組

友好都市でもある横浜市において毎年開催されている横浜開港記念バザーには、会員が交代で参加し、新たな販路拡大や昭和村のPRをするとともに、来場者との交流を深めています。

こうした活動を始めた頃は、家族の理解を得ることが難しかったと言いますが、活動後のコミュニケーションは息抜きとなり、仕事とのメリハリができ、現在の充実した活動を引き継がれています。

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観光拠点と地域づくり

平成23年7月にオープンした、昭和村の観光の拠点施設「道の駅あぐりーむ昭和」は、関越自動車道昭和ICを降りてすぐという立地の良さもあり、年々業績を伸ばしているところです。  

施設内にある農産物直売所「旬菜館」では、地元産の新鮮野菜が所狭しと陳列されています。さくら工房の加工品もここで販売されており、各工房の製品が入った「さくら工房セット」は贈答用にも多く使われております。

また、飲食ブースではさくら工房として農家レストランを運営する事になり、日本一の生産量を誇るこんにゃくいもを使った「こんにゃくステーキ定食」や、地元ホウレン草のトッピングにキャベツの千切りが山盛りの「あぐりーむラーメン」など、地元野菜をふんだんに使ったメニューが楽しめます。その他にも野菜や果物で作ったジェラートがあり、中でも季節限定の生のいちご「やよいひめ」をその場でつぶしこんで提供する「やよいひめジェラート」は子どもから大人まで人気の一品です。

県内外から訪れる多くのお客様と触れ合い、直接消費者から生の意見が聞けるこの取組によって、新たな発見や、改善点に気がつけるだけでなく、昭和村の顔としての認識と責任も芽生えてきました。

地元産の新鮮な野菜が並ぶ「旬菜館」

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課題と展望

こうした活動が認められて、平成26年には国土交通省及び全国地域づくり推進協議会が主催する「地域づくり表彰」において、全国地域づくり推進協議会会長賞を受賞しました。その他にも地産地消優良活動関東農政局長表彰など、女性ならではの視点で、食品の安全を第一に考え原材料や手作りにこだわり、納得したものだけを提供していくことを理念とした活動が着実に実を結んできていることを会員は実感し、自分達の地域と商品に自信をもって元気に活動しています。しかしながら、消費者からはさらに安全で高品質、魅力ある商品の提供を求められているため、さくら工房はこうしたニーズに応えるべく、新商品の開発やさらなる安心・安全の提供、生産・製造・販売を一貫して行う6次産業化も視野に入れ、ブランド力の向上を目指しています。

平成26年度 地域づくり表彰受賞

平成24年度 地産地消優良活動表彰受賞

    

近年では、さくら工房ブランドも定着しはじめ、ようやく軌道に乗ってきたところですが、後継者不足が今後の課題となっています。先人達から受け継がれてきた加工技術を絶やさないように、新規会員の募集や次世代への技術伝承にも力をいれていきます。

先人が繋いでくれた大地とその恵みに感謝し、地域と共に活動を進めていきたいと考えています。

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美しい村であり続けるために

平成26年に実施された住民アンケート調査で村への愛着度の結果をみると、“愛着を感じている”という人が8割、“住み続けたい”という人が9割と昭和村への愛着度は強く、評価の高い分野は「水道の整備状況」や「下水道の整備状況」であり、かつて水不足に苦労していた地域と思えないほど、今では充実しています。この愛着度の高さは単に水道整備状況が良いだけではなく、先人が苦難を乗り越え開墾し、それに感謝し受け継がれ、さらなる発展を目指してきた結果だと思います。  

子どもからお年寄りまで住みやすいむらづくりを目指すことはもちろん、美しい農村風景や自然環境も守っていくこと、住民と行政が一体となり、協働によるむらづくりを進めていくことがこれからも課題であり、すべての村民が「私のふるさと」として自信をもって誇れる村にしていきたいと思います。

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