全国町村会

22世紀へ向けてのレガシー
〜過去を再点検、そして現代、未来へつなげるまちづくり〜

あじさいの景色

 
 

山梨県富士川町

3003号(2017年06月19日)  富士川町長 志村 学

富士川町の概要

富士川町は、山梨県の甲府盆地の南西端に位置し、西に南アルプス連峰、東に富士山を望む、総面積の約8割が森林を占める緑豊かな環境にあります。町の東部には、日本三大急流の一つである富士川が流れ、江戸時代から、その富士川を利用した「富士川舟運」が盛んであり、物資の流通や人々の輸送、文化の交流等の拠点として栄えてきました。  

現在は、富士川舟運に替わり、中部横断自動車道の整備が着々と進められ、完成後には、中京圏や関西圏からの往来が容易となり、交流人口の増加や観光、物流への大きな変革が見込まれるなど、新たな都市基盤が整備されつつあります。      

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過去を再点検〜ちょっと視点を変えて〜

本町は、平成22年3月に、増穂町と鰍沢町の2町の合併により誕生し「暮らしと自然が輝く交流のまち〜生涯快適に暮らせるまちをめざして〜」を町の将来像として、第1次富士川町総合計画を策定しました。  

これまで、その計画を実行する中で、定住促進、子育て支援、防災対策等の様々な事業に取り組んできました。併せて現在も進行中ですが、事務事業を見直しながら、スクラップ&ビルドの考え方に基づき、大きなものから小さなものまで、あらゆる事業の再点検を行っています。

そこで、再点検に合わせて、ちょっと視点を変えた本町の取り組みを紹介したいと思います。

はじめに、「飛び出せ公務員」という発想のもと誕生した、役場の若手職員による「不思議発見隊」という組織について紹介します。

「不思議発見隊」で話し合う若手職員

これは、これまでに当たり前のように行ってきた庁内の事務処理や取り組み方、さらに、町内における様々な行事などについて「不思議に思ったこと」「不便と感じること」「こうしたらもっとよくなること」「もう時代にはあっていないのではないかと思うこと」など、それぞれ若者の視点から抽出してもらい、よりスマートな行政運営を進めていくことを目的に発足しました。

平成28年度に開催した不思議発見隊の話し合いでは、今後、新庁舎が建設されるときには、庁舎のセキュリティ対策を強化することや、高齢者向けサービスを庁舎1階に集約させることなど、住民目線に立った提案もされました。

次に、観光面での取り組みを紹介します。

本町では、町に埋もれている観光や歴史、自然などの様々な資源の再発掘により、郷土の魅力を再認識してもらうことを目的に、全町民に向け「誇れるもの!」「何これなもの!」の募集を行いました。

これまで2回実施してきましたが、「誇れるもの!」では、ダイヤモンド富士の絶景や、大法師公園の桜など、町民誰もが納得し自慢できるものの応募が多数寄せられました。これらは、町としても観光PRの代表的資源として、積極的に発信しているところです。

山頂部と太陽が重なる絶景ダイヤモンド富士

大法師公園の満開桜

「何これなもの!」では、岩の形がマンモスに似ているという通称(?!)マンモス岩や、石にあいた穴に溜まる水をつけると「いぼ」が取れるという言い伝えがある「いぼ石」などがあげられ、話題になったことからちょっとした観光スポットとなりました。

これからも、この募集を継続して実施しながら、さらなる町の魅力を発見して、全国に情報発信をしていきたいと考えています。

また昨今、全国の自治体において取り組んでいるプロモーションビデオですが、本町でも、町の特産品である「ゆず」を題材に、町の魅力をストーリー化して製作しました。製作にあたっては、多くの町民の方々にキャストとして出演していただきました。

このプロモーションビデオは、平成27年度の全国移住ナビ自治体プロモーション動画コンテストで、アクセス回数全国第9位という評価を得たことから、先般のリオ五輪のJAPANハウスのブースにおいて、世界発信もされました。

今後は、本町への移住・定住者や交流人口の増加が期待されることから、町の施設においては、外国人観光客向けのパンフレットや案内表示などを多言語標記にしたところです。

全国に発信したプロモーションビデオ

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そして現代〜求められるもの〜

地域コミュニティの憩いの拠点、安心、安全の防災機能の拠点、活性化の原点となる観光振興の拠点、これらを総合的に網羅した施策が、町の豊かな地域資源である「富士川」を活かした「かわまちづくり事業」です。  

これまで憩いの場であり人々が集う拠点づくりとして、広大な芝生広場を中心とした富士川親水公園の整備、そして、地域防災機能の強化を図るための河川防災ステーションの整備を行ってきました。

親水公園では、グラウンドゴルフやウォーキングが行われるなど、町内外の多くの皆様に親しまれ、まさに憩いの交流の場として活用されています。

さらに現在は、国土交通省とともに、富士川水辺空間活用を推進する中で、親水公園の下流域に、新たにスポーツの拠点となるグラウンドや農業体験広場など、多目的に活用できる町民交流広場の整備を行っているところです。

建設が進む町民交流広場

また、平成26年度にオープンした道の駅「富士川」は、地場産品の物販を中心に、町内外の皆様の観光拠点としてにぎわっています。

将来的には、中部横断自動車道が全線開通し、この富士川流域が魅力あるスポットとなり、多くの皆様が集うコミュニティ空間として、観光・交流の場となることを期待しているところです。

観光の拠点〜道の駅「富士川」

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未来へつなげる〜今やるべき「7つ」の事業〜

新町発足後、本町では様々な事務事業の調整とともに、数ある公共施設を整理するために「公共施設再配置計画」を策定し、統合すべきもの、廃止すべきもの、新たに建設すべきもの、の色分けを行いました。  

これは、リニア中央新幹線の影響によるもの、合併後の懸案となっている老朽施設の改善によるものなどを含め、財政面の中長期的な整備計画を大前提として、次世代につなげるために「今やるべき」7つの事業をしぼり、取り組んでいくこととしています。

まずは、児童センターの建設と町民体育館です。これは、リニアの通過により立ち退きを余儀なくされた施設です。現在の児童センターは、放課後児童クラブ事業を中心に開所している施設となっていますが、利用する児童の小学校から遠く離れていたことなどから、児童の安全性や利便性を考慮する中で、小学校近傍に、外庭や室内を広くとった施設を整備することとしました。

児童センターの完成が待ち遠しい

町民体育館については、現在、建設検討委員会を立ち上げ、建設の場所や規模、機能等について検討しているところであり、利用者にとって快適な施設となるよう準備を進めています。

このほか、リニア中央新幹線関連では、町民グラウンドの再整備、住民の生活上の利便性を図るためのリニア側道の整備があり、それぞれの事業計画により、進めていくこととしています。

次に、老朽化の解消を図るべく、学校給食センターの建設、役場庁舎の建設が急務となっています。いずれも、住民の皆様とともに建設検討委員会において検討していくこととしています。

最後に、町民図書館の建設です。これまで、本町には十分な空間を満たす図書館がなく、住民からも充実した図書館建設の要望が多くありました。このたび、国の合同庁舎の建設計画が進み、長年の懸案であった町の図書館も合同庁舎との合築により、整備されることとなりました。

いずれにしても、合併により与えられた「合併推進債」という有利な起債が実行できる期間中に、次世代のために「今やるべきこと」を念頭におきつつこの7つの事業を完成させ、住民の方々や次の世代のためにも豊かな暮らしを築きたいと考えています。

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おわりに

本町は、合併直後に、 まちづくりの礎となる「第1次富士川町総合計画」を策定しました。  

これまで、この総合計画を基に、住民の皆様との協働により、各種事業や施策等を実施してまいりました。

今後は、時代に合ったまちづくりを進めるため、マンネリ化した行政ではなく、新たな発想の行政を前提に、過去から現代、そして未来へつなげていく施策に取り組んでいきます。

将来、人口減少に伴う税収等の減収も懸念され、自治体の財政運営が究極の課題であると感じておりますが、富士川町民が未来永劫、安心、安全で、豊かな暮らしができるよう、「今やるべきこと」をやっておかなければならないと考えています。

22世紀に向かい、次世代のレガシー構築に、積極果敢に取り組みます。

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