全国町村会

新しいステージを迎える垂井のまちづくり

相川鯉のぼり一斉遊泳

 

岐阜県垂井町

2998号(2017年4月24日)  垂井町長 中川 満也

垂井町の概要

垂井町は、岐阜県の南西部に位置し、西に滋賀県との県境にそびえ立つ伊吹山を仰ぎ、東に扇状に開ける濃尾平野の要の位置にあります。  

町内の約6割を緑豊かな山々が占め、まちの中央部には、春、満開の桜の中を約350匹の鯉のぼりが一斉遊泳する揖斐川水系の相川が流れる自然豊かなまちです。

この鯉のぼりの一斉遊泳は、昭和62年から始まった事業で、東海地方の春の風物詩として広く認知されています。毎年3月下旬から5月上旬までの間に見られる、全国から寄付された多くの鯉のぼりと満開の桜の花、後方にそびえる霊峰伊吹山の残雪とのコントラストは見事で、花見客や水辺公園で遊ぶ家族づれなど大変賑わっています。

最近では、高齢者が作った白地の鯉のぼりに、小学校の卒業生が将来の夢を書いて遊泳するなど高齢者と子ども達を繋ぎ、これから旅立って行く子ども達の思い出づくりにもなるなど、さらなる広がりを見せています。

また、西隣、関ケ原町を中心に「壬申の乱」、「関ケ原合戦」といった2度の天下分け目の合戦の地となったように、本町は古くから交通の要衝として栄え、また美濃国一の宮である南宮大社が鎮座し、古代には美濃国府が置かれ、江戸時代には中山道と美濃路の追分として垂井宿が賑うなど歴史も豊かなまちです。

江戸時代旅籠であった長浜屋(中山道垂井宿)

                 

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7つの地域まちづくり協議会

垂井町の特徴の1つとして、町内にある7つの地区が、それぞれ特色をもったまちづくりを行っていることが挙げられます。  

垂井町は、昭和29年に旧垂井町を中心に宮代村、表佐村、府中村、岩手村、荒崎村大字綾戸及び合原村栗原地区が合併して今の姿となっており、旧町村単位が現在の地区を形成しています。

本町では、住民、議会、行政といったまちづくりの担い手がそれぞれ情報を共有し、より一層の協働によるまちづくりを進めるための基本ルールとして、「垂井町まちづくり基本条例」を平成23年に制定しました。

その中で、地域で抱える課題の解決や地域の特性を活かしたまちづくりを進めるため、まちづくり協議会の設置が可能となっており、現在、7地区それぞれにまちづくり協議会が設置されています。

各協議会は、旧公民館を「まちづくりセンター」として拠点を構え、地域コミュニティの醸成や生涯学習の推進、福祉の増進活動に取り組んでおり、有名ランナーによるジョギング大会、婚活イベント、ビオトープ作りなど、地域にあった趣向を凝らした活動を行っています。

まちづくり協議会によるビオトープ作り

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新庁舎の整備

地域活動が盛んな中、町行政としては大きな節目の時期を迎えています。その大きな要因の1つは、役場庁舎の移転です。  

現在の庁舎は、昭和41年に旧郡役場の跡地である中山道沿いに建設し、竣工から50年以上経過しています。そのため、建物全体が老朽化し、耐震性も不足しており、熊本地震でも課題となった防災拠点としての機能が十分発揮できず、駐車場不足や大型車輌等のアクセスが悪いなど様々な課題を抱えています。

このことから、平成28年に新庁舎基本構想を取りまとめ、庁舎を国道21号に面した垂井町文化会館南側に移転することとなりました。

新庁舎は、既存商業施設を建物の用途を変更し、改修して再利用する全国的にも珍しい「コンバージョン方式」を採用し、早期整備やコスト軽減を図り、平成31年からの供用開始に向け取り組んでいます。

この庁舎移転により、まちのあり方が大きく変わることが予想され、新庁舎を中心とした行政機能などを集約するコンパクトシティのあり方、現在の庁舎敷地を中心とした中山道を含めた市街地活性のあり方など、解決しなければならない課題が山積しており、住民、議会、行政協働のもと、課題解決に取り組んでいます。

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地方創生の取組

現在、日本は、人口減少社会に突入し、垂井町にもその波は押し寄せています。社人研の推計によると、平成72年(2060年)には約18,000人と、現在から約10,000人減少すると予想されています。そのため、その人口減少を少しでも緩和すべく「垂井町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、平成72年(2060年)までの目標人口を21,000人として地方創生に取り組んでいます。  

雇用の創出については、垂井町は合併直後の昭和33年に「垂井町工場誘致に関する条例」を制定し、積極的な工場誘致に取り組み、その結果、多くの企業や工場が町に進出しました。

現在でも、東西にJR東海道本線や国道21号が走り、名神高速道路や東海環状自動車道のICが近いという地理的優位性を活かし、積極的な企業誘致に取り組んでおり、ほ場整備事業における非農用地を活用した新工場の誘致や新規工場用地の整備、既存企業の敷地拡大の支援など企業活動がしやすい環境整備により雇用機会の拡大に努めています。

栗原地区におけるほ場整備の様子

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幼保一元化の推進

子育て支援としては、保護者からの多様なニーズや社会環境の変化に対応できるよう保育園と幼稚園の再編整備にあわせ、保育、幼児教育、子育て支援を総合的・一体的に支援するため、幼保一元化を推進しています。  

平成30年には、「垂井東こども園」に続く2番目の基幹施設として「垂井こども園」が開園を予定しており、各種保育や子育てサービスを充実させながら、発達などによって異なる子どもたち一人ひとりの個性(特性)を大切にし、きめ細やかな保育、幼児教育、子育て支援を実施しています。

最初の幼保一元化施設として開園した「垂井東こども園」

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交流人口の拡大

概要で記したように、垂井町は自然や歴史、文化が豊かなまちです。  

古代から交通の要衝として栄えてきたこともあり、それぞれの時代にゆかりのある史跡が多く残っています。

特に戦国の軍師「竹中半兵衛重治」公は、垂井町を拠点に活躍し、豊臣秀吉の天下統一に大きく貢献しました。今でも、当時の居城跡や明治維新まで旗本として続いた子孫の陣屋跡などゆかりの史跡があり、最近では半兵衛公の墨絵でPRするなど、半兵衛公を活用した観光PRにも努めています。

竹中氏陣屋跡

大河ドラマ「軍師 官兵衛」が放送された際は、半兵衛公が大きく取り上げられ、官兵衛の息子 松寿丸(後の黒田長政)が織田信長の命に背いて垂井町で匿われていたこともあり、大勢の方にお越しいただきましたが、放送後はその来訪者も急激に減少しました。

垂井町には、南宮大社や鯉のぼりの一斉遊泳といった歴史や自然、また、子ども歌舞伎と豪華な曳やまが有名な「垂井曳やままつり」といった文化など多くの観光資源となり得るものを有している半面、有効に活用しきれていないなど、戦略が絞れておらず、事業の一貫性に乏しい状況にありました。

そのため、マーケティング調査や観光資源調査など観光資源のブラッシュアップを図り、観光関連事業や地域住民、関連団体などの意見を取り込みながら、垂井町観光基本計画を策定し、行政から民間に主体が移行した観光協会とも連携を図りながら、交流人口の拡大と地域の魅力向上に取り組んでいます。

また、岐阜県では、「関ケ原古戦場」を、ベルギーの「ワーテルロー古戦場」とアメリカの「ゲティスバーグ古戦場」とあわせ、「世界三大古戦場」として観光客誘客に取り組んでおり、垂井町も毛利勢が布陣した関ケ原合戦の舞台の地として、県と連携を図りながら取り組んでいます。

駅前に立つ竹中半兵衛公銅像

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終わりに

垂井町は、JR垂井駅を有し、名古屋圏にも近く利便性があり、多くの企業が立地するなど財政的にも比較的恵まれた環境にあることから、町全体に危機感が薄い傾向が見受けられます。  

しかしながら、人口減少や少子高齢化、地域間競争の波は、それとは関係無く押し寄せ、今の取組こそが、今後を左右すると考えています。

現在、華が咲き、華開こうとしているこれらの取組は、今までの取組の成果であり、一朝一夕になし得たものではありません。

そのため、今後とも垂井町の可能性を信じ、一歩ずつ着実に発展させていくため、まちづくりに取り組んでいきたいと考えております。

また、皆さまにおかれましては、是非垂井町に足を運んでいただき、外から見た垂井町の魅力についてお聞かせいただければ幸いです。

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