全国町村会
 

稲作活性化による地域づくり
〜田んぼアートを活用した地域振興〜

田んぼアート「富士山と羽衣伝説」(平成26年)

 

青森県田舎館村

2911号(2015年3月2日)  田舎館村 企画観光課・産業課

田舎館村の概要

田舎館村は、青森県津軽平野の南部に位置し、東に八甲田連峰、西に岩木山を望み、村の中央部を東西に浅瀬石川、弘前市との境を南北に平川が流れており、 土地の大部分は沖積土(河水が運搬し沈積して生じた土壌)で覆われています。このように、豊かな水と肥よくな土壌は今も昔も私たちにたくさんの恵みを与え続けています。

村では、この肥よくな土壌により農業を基幹産業としながら、弘前市と黒石市の中間に位置する立地条件の良さを活かし、 企業誘致を進めるなど緑と工業の調和した稲薫るふるさととして発展していく取り組みを続けています。 

昭和30年4月1日に田舎舘村と光田寺村が合併して誕生した本村は、面積が22.31kuと青森県内40市町村の中で一番小さい村です。その小さな村には、 縄文時代や弥生時代の遺跡が数多く確認されています。なかでも史跡「垂柳遺跡」からは、昭和56年から58年にかけて弥生時代中期末の水田跡が656枚発見されています。 これは、北方稲作文化発祥の地を裏付ける大発見でした。本来、高温多湿を好むとされている稲が、ここ東北北部で発見されたことは、当時東北地方には弥生時代は存在しないといわれていただけに、 日本考古学史上教科書を書き換えるほどの重大な発見といわれました。  

この歴史ある稲作は現在も、村の基幹産業である農業の中心に位置づけられており、過去に反収日本一を11回記録するなど県内でも有数の稲作地帯となっています。

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稲作にこだわったイベントの発掘

二千百年の歴史を誇る村の基幹産業である稲作で、何とか地域おこしができないか検討していたその時、当時の担当者が教育委員会で「垂柳遺跡」に関連させて、 古代米といわれている紫色の葉の稲「紫大黒」と黄色の葉の稲「黄大黒」を作付けしている現場をみて、食用の緑とあわせ三色の稲を使って田んぼに文字と絵を書いてはどうかと発案しました。 しかも、ただ植えるのではなく昔ながらの手作業での田植えや稲刈りを一般の方に体験していただき、稲作を身近に感じてもらいながら収穫の喜びを味わっていただいてはどうかということで、 体験型イベントとして平成5年にスタートしたのが「稲作体験ツアー」です。 

春に裸足で田んぼに入り、一つ一つの苗を丁寧に手植え体験する「田植え体験ツアー」、秋には、春に自分で苦労して植えた稲を、 一株一株鎌で刈り取り収穫の喜びを体験する「稲刈り体験ツアー」を開催しました。当時は、2千5百uの田んぼに簡単な「岩木山」の絵と「稲文化の村いなかだて」の文字を三色の稲を使って描いていました。 参加者も数十人とこぢんまりとしたイベントでのスタートです。 

平成5年〜平成13年「岩木山」9年間は同じ図柄で

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「田んぼアート」の誕生

スタートから9年目までは、毎年同じ図柄で行っていましたが、10年目の記念の年にNHK・BSテレビの「千人の力コンテスト」に挑戦。千人の力で何ができるかを競うコンテストに、 村民千人で1万5千uの田んぼをキャンバスにみたて、三色の稲を使って絵を描きました。これが、見事「インパクト賞」に輝き、村民の団結力が高まっていきました。 これをきっかけに翌年度からは新たな試みに挑戦します。 

平成14年「岩木山と月」NHK・BS「千人の力」に挑戦

11年目を迎えた平成15年には、面積は3千5百uと前年より小さいものの、より芸術的な作品が作れないか模索し、世界の名画「モナリザ」に挑戦しました。ところが、 できあがった作品を役場6階の展望台から眺めてみたところ下ぶくれのモナリザとなってしまいました。真上から見た場合と、斜め上から見た場合のあまりの違いに思い知らされる結果となりました。 しかし、これまで「稲文字」と言われていたものが、この頃から「田んぼアート」と言われるようになりました。 

平成15年「モナリザ」遠近法導入前のためぽっちゃりに

12年目からは、前年の失敗を糧に大きく成長します。遠近法により展望台から見たときに一番きれいに見えるよう調整して下絵を作るようにしたのです。そして、年々図柄は繊細になり、 さらに稲の種類もどんどん増え平成24年からは7色の稲を使い分け、元祖の名に恥じない芸術作品としての「田んぼアート」を確立し、平成26年9月には天皇皇后両陛下にもご観覧いただきました。 

平成16年 棟方志功作「羅ご羅の柵と山神妃の柵」

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稲作活性化にむけて

村の基幹産業である稲作でのイベントについては、「田んぼアート」の成功により一定の成果を上げることができましたが、 肝心の産業としての稲作については米価の下落など暗い話題が多く、後継者不足などで経営が危うい状況が続いています。そんな中で、 明るい話題として平成26年に「第16回米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」を招致することに成功しました。 

このコンクールは、「米・食味鑑定士協会」が毎年全国各地で開催しているもので、食味計により食味値を審査する一次審査、 さらに味度計により米の保水膜を測定する二次審査を通過しノミネートされたお米を、最終的には鑑定士などによる官能審査によって良食味米を表彰するもので、青森県内では初めての開催となりました。 

今大会は、国内外から過去最高の4369点が出品され、その中でも特に食味の優れた最高部門である国際総合部門にノミネートされた40点の中には、本村の生産者のお米が2点選ばれました。 さらに、そのうちの1点は、最高賞である金賞に青森県で初めて選出されております。  

これにより、国際総合部門金賞1点、同部門特別優秀賞1点、 さらに国際総合部門に惜しくも届かなかったもののうち出品都道府県で1位となったお米で競う都道府県代表お米選手権の特別優秀賞1点、小学校部門の特別優秀賞1点の計4点が入賞したことで、 良食味米を栽培できる土壌で、優れた栽培技術を有する村であることが証明されました。

村には、良食味米の栽培を目指すグループがあり、このコンクールをきっかけに、良食味米の生産により高付加価値米の販売へ向けた土台ができたと実感することができ、 今後の村の米産業の活性化に大いに期待しているところです。 

第16回米・食味分析鑑定コンクール国際大会 ノミネートされたお米の炊飯の様子

第16回米・食味分析鑑定コンクール国際大会 官能審査の様子

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田んぼアートと稲作活性化の今後について

田舎館村は、海も山もない観光資源の全くない村でした。そこに、突如「田んぼアート」という大きな観光コンテンツが生まれました。平成17年、遠近法を取り入れてから2年目、 この頃からマスコミにも注目されるようになり、テレビ放映されるごとに見学客がどっと押し寄せ、見頃の時期には長蛇の列をなすこともありました。 

田んぼアート見学場所でもあるお城の形をした役場庁舎の天守閣部分は、もともと見学用には作られていないため、一日に見学できる人数が限られています。 そのため、平成25年までは最大2時間以上長蛇の列をなして待っていただくという効率の悪さでした。見学客を分散させようと、 平成24年に道の駅敷地内に第二田んぼアートを設置したものの状況は変わりませんでした。 

そこで、発想を転換し見学時間の短縮が無理なのであれば、見学までの時間を有効に使っていただこうと、平成26年より入館時間を指定した整理券を発行することとしました。 これにより、結果的に見学まで2時間以上あったとしてもその間は拘束せず出店での買い物や、先に第二会場を見学していただくなど、 時間を有効に活用していただくことにより見学客の満足へもつながったものと思われます。  

本村の田んぼアートは、6月上旬から10月中旬まで見学が可能で、見頃を迎えてからも3ヶ月以上という長い見学期間があり見学者数については年々増加傾向にありますが、 肝心の地元への経済効果につきましては、未だ課題が山積している状況です。本村は稲作単作地帯で特産品と呼べるものがほとんどなく、田舎館村に来たらこれを買って帰ろうというものがありません。 

これからは、良食味米の生産に力を入れ、売れるお米作りを目指し、それをお土産品へと結びつけることも重要であると考えます。米・食味分析鑑定コンクールで、 上位入賞が可能な美味しいお米を作れる土壌であることが証明されたことと、天皇皇后両陛下がご見学された田んぼアートの知名度により、観光と農業だけではなく、稲わらを活用した工芸品や、 良食味米を生かした食品やお土産品など特産品の開発に結びつけ、商工業など地場産業との連携を強化し、活力ある村づくりに向けて努力していきたいと考えています。

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