全国町村会
 

水産業と観光の村づくり
〜「おおいた姫島ジオパーク」活動をバネに〜

姫島村の全景

 

大分県姫島村

2902号(2014年12月15日)  姫島村長 藤本 昭夫

姫島村の概要

姫島村は、瀬戸内海の西端、大分県国東半島の北5qの海上に浮かぶ、周囲17q、面積6.8ku、人口約2,200人の沿岸漁業と車えびの養殖を主な産業とする一島一村の離島で、 大分県唯一の村です。 

島と九州本土とを結ぶ唯一の交通機関である村営フェリーが、国東市の伊美港との間を毎日12便(12月〜3月は11便)往復しており、所要時間は約20分です。 

姫島の歴史は古く、古事記、日本書記にも姫島に関することが記載されています。古事記には、国生みに際して、十二番目に女島(姫島)を生んだとの記述があり、 日本書紀には、姫島の名前の由来とされるお姫様が、姫島に来て「比賣語曽の神」になったと記載されています。このことは、姫島では黒曜石が産出され、これが旧石器時代以降、 矢じりや石斧等の材料に使用されていたからです。  

姫島の黒曜石は、色が乳白色で見分けやすく、主に九州、四国、中国、そして関西地方でも発掘されています。黒曜石の産出する観音崎一帯は、 平成19年7月に「姫島の黒曜石産地」として、国の天然記念物に指定されました。 

また、鎌倉時代の念仏踊りから派生したといわれている、子供達がキツネの粉装をした「キツネ踊り」に代表される「姫島の盆踊」は、 平成24年1月「国選択無形民俗文化財」に指定されています。 

「姫島の黒曜石産地」観音崎

  

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「おおいた姫島ジオパーク」取組みの動機

四面を海に囲まれた本村では、川らしい川がなく、水が少ないことから米作りができず、農業に多くを期待できなかったことや、昭和25年に「瀬戸内海国立公園」に指定されましたが、 交通アクセスの問題から観光にも多くを望めなかったことから、水産業の振興を村の最重点施策に掲げ、沿岸漁業と車えびの養殖の振興に力を入れてきました。 

その結果、沿岸漁業は、昭和40年代から平成の初めにかけて、村活性化の原動力になりました。しかしながら、昨今の漁業を取り巻く環境は、漁業者の高齢化、後継者不足、 漁業資源の減少、漁価の低迷、燃油の高騰等、厳しさを増してきています。 

塩田跡地を、利用して始められた車えびの養殖は、昭和40年に村も一部出資する第三セクターの「姫島車えび養殖梶vが設立され、紆余曲折を経て、 生産量が一企業としては日本一となり、「姫島車えび」は、村活性化のシンボルとなりました。  

しかしながら、平成7年、全国的に広がりをみせていたウイルスの病気が姫島にも入り、生産量が激減する等大変厳しい状況になりましたが、現在は、 生産量が全盛期の約半分位までに戻る等業績は回復傾向にあります。 

村の基幹産業である水産業が、このような厳しい状況の中で、村を取り巻く環境も、過疎化、少子高齢化、雇用の場の不足等大変厳しくなってきています。 

これまでのように、水産業に依存した村づくりは難しくなってきたことから、水産業の振興の他、観光の振興による交流人口の増加を図って、 村の活性化を推進していくことが必要となってきました。このため、水産業と共存共栄できる観光の振興を積極的に推進することとして、「水産業と観光の村づくり」を目指していくことにしました。 

その一環として、現在取り組んでいるのが、平成25年9月に「日本ジオパーク」に認定された、「おおいた姫島ジオパーク」です。平成22年の12月に、 県から「ジオパーク活動への取り組み」についての話がありました。 

「ジオパーク」の目的は、「地形や地質に関する素材(地質遺産)について、その成り立ちなどの調査研究を行いながら、教育学習活動や観光、ツーリズムなどに有効に活用し、 地域を活性化していくこと」で、姫島は、その成り立ちから、「日本ジオパーク」の認定を受ける条件は揃っているとの説明を受け、 村の活性化を図っていく上で大いに役立つ事業であることから、「おおいた姫島ジオパーク」活動に取り組んでいくことにしました。 

拍子水

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「おおいた姫島ジオパーク」取組みの内容

姫島は、20万年前からの火山活動によって生まれた大地が、瀬戸内海の誕生によって出来た島です。姫島には、七つの火口跡があり、溶岩ドーム、火口地形、火砕丘、 地層など貴重な火山地形を見ることができます。 

これまで、多くの研究者によって、姫島火山群の調査・研究が行われ「地質の宝庫」と呼ばれていますが、未だ解明されていないことが多く残されています。 

また、ナウマン象などの古代象の化石が発見され、春と秋には渡り蝶の「アサギマダラ」が休息に訪れ、「ハヤブサ」や「ミサゴ」などの猛禽類の営巣地も見られる等、 豊かな自然環境が残されており、生物多様性に富んだ島です。  

また、「黒曜石」や珍しい地層(コンボリュートラミナ)、藍鉄鉱、「拍子水」は、姫島を代表する地質遺産です。 以上のことから検討した結果、「おおいた姫島ジオパーク」のメインテーマを「火山が生み出した神秘の島」としました。 

褶曲(コンボリュートラミナ)

「ジオパーク」活動は、大分県の全面的なご支援のもと、まず、村民を対象に「姫島のジオパーク」活動についての勉強会から始めました。 勉強会では、学術関係者や「ジオパーク」に精通した県の職員、各地のジオパーク関係者に講師をお願いしました。一般村民の他、老人クラブ、婦人会、役場の職員を対象にした勉強会も実施してきました。 

各ジオサイトでの現地研修会や「ジオウォーク」、フェリーで島を一周して、 船上から各ジオサイトを見学する「ジオクルーズ」、村内外の人を対象とした「ジオシンポジウム」も実施しています。 

また、ジオガイドの養成にも積極的に取り組んでいます。また、「おおいた姫島ジオパーク」のパンフレットやリーフレットを作成し、村内の全世帯に配布したほか、 村営フェリーの待合所の外、県内の主要な集客施設などに置いてもらい、「おおいた姫島ジオパーク」をPRしています。 

小、中学校では、指導計画に「ジオパーク」に関する教育活動を盛り込み、子供達が「おおいた姫島ジオパーク」に関心を持ち、理解を深めることを目的に、学習会や、 現地学習を実施しています。小学校六年と中学校二年生が「ジオシンポジウム」等で自分達の「ジオパーク」活動を発表し、好評でした。 また、姫島小学校の児童と姫島村と一緒に「日本ジオパーク」に認定された、「おおいた豊後大野ジオパーク」の豊後大野市の小学校の児童との交流事業も実施しています。 

ジオシンポジウム

ジオクルーズ

また、各ジオサイトの点検、整備を行うとともに、「案内板」や英語での表示を加えた「説明板」を設置する等、 国際化にも対応して、訪れる人が楽しめる「ジオパーク」を目指しています。 

「おおいた姫島ジオパーク」活動に取り組み始めてから、「ジオパーク」の調査研究や見学のため、学術関係者や学生、一般の来島者が増えています。 そして、「日本ジオパーク」への加盟認定を目指した活動を本格的に行うため、平成24年3月に「おおいた姫島ジオパーク推進協議会」が設立されました。「協議会」は、村内の民間団体の代表者、 大分県の関係者、学術関係者、姫島村の関係者で組織され、村長が会長を務めています。 

平成25年2月に、「おおいた姫島ジオパーク基本構想・基本計画」を策定し、同年4月に「日本ジオパーク加盟認定申請書」を提出しました。5月に公開審査が、8月に現地審査があり、 9月24日に加盟が認定されました。 

10月15日に、島根県の隠岐の島で開催された「日本ジオパーク隠岐大会」の「日本ジオパーク加盟認定書」授与式で、 尾池日本ジオパーク委員会委員長から、「姫島村は、ジオサイトは色々あるが、一番素晴らしいことは、「日本ジオパーク」認定に向けて、 村民が一致協力して頑張っていることである。」とコメントを頂いたことは感激でした。 

認定を受けて平成26年2月に別府市で、大分県の主催、 姫島村と豊後大野市各々の「ジオパーク推進協議会」の共催で、「おおいたジオ国際フォーラム」が開催され、「ジオパーク」に取り組む大分県の強い思いが多くの人々に伝わりました。 

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「おおいた姫島ジオパーク」の課題

認定にあたって、専門員の設置や拠点施設の整備、神秘の島のストーリー作り等、いくつかの解決すべき課題が課せられました。 4年後には、「日本ジオパーク」認定の「再審査」が待っています。これから、課題の解決に取り組んでいくとともに、より良い「ジオパーク」づくりを目指して、学習会や「ジオガイド」の養成講座、 村内外の人を対象に、「ジオシンポジウム」、「ジオツアー」、「ジオクルーズ」等を精力的に実施していくことにしています。 

また、平成26年度に、昔ながらの漁業集落の様子や旧庄屋屋敷、 明治37年に建造された姫島灯台等が、「文化的景観事業」に採択されたことから、「重要文化的景観」の選定を目指した活動に、積極的に取り組んでいくことにしています。 

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観光の取組みと課題

村内最大のイベントである、毎年8月14・15の両日開催される「姫島の盆踊り」は、村観光の目玉で、特に「キツネ踊り」は、全国的に名前が知られています。 しかしながら、昨今の急速に進む過疎化、少子高齢化のなかで、踊り子の確保が大きな課題となっています。姫島のブランドである「姫島カレイ」と「姫島車えび」。 5月に開催される「姫島カレイ祭り」と10月に開催される「姫島車えび祭り」には大勢の観光客が姫島を訪れます。両方の「祭り」とも開催時期に、渡り蝶の「アサギマダラ」が飛来し、 訪れる人の眼を楽しませてくれます。また、アトラクションとして、盆踊りの「キツネ踊り」と「アヤ踊り」を披露して、人気を呼んでいます。 

姫島の名前の由来であるお姫様にまつわる「姫島七不思議」は、姫島観光の定番です。「姫島七不思議」の一つで、間断なく湧き出ている「拍子水」は、泉質が炭酸水素塩冷鉱泉で、 これを活用した「拍子水温泉」は、村内外の多くの人に利用されています。 

姫島で獲れる新鮮な魚介類を使った魚料理は、観光客に人気です。特に「姫島車えび」料理は好評で、中でも、おすすめの料理は、「姫島車えびのしゃぶしゃぶ」です。 これからは、「姫島車えびのしゃぶしゃぶ」を姫島の名物料理にしていくため、力を入れていくことにしています。また、旅館等宿泊施設や姫島産の土産品の充実等、 村外から訪れる人の受け入れ体制の整備が課題となっています。  

「おおいた姫島ジオパーク」が、「日本ジオパーク」に認定されたのをバネにして、「水産業と観光の村づくり」に邁進します。 

「姫島の盆踊」(キツネ踊り)

姫島車えびのしゃぶしゃぶ

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