全国町村会
 

子どもを生み、健やかに育てられるまちづくりの各種取り組み
〜幼保一体化による子育て支援〜

上空から聖籠町「国際拠点港湾新潟東港」を臨む

 

新潟県聖籠町

2899号(2014年11月17日)  聖籠町長 渡邊 廣吉

聖籠町の概要

聖籠町は、新潟県の北部に位置し、ほぼ平坦な地形で、政令指定都市である新潟市に隣接し、日本海に面する面積約38ku、人口14,300人の小さな町です。 昭和30年に旧聖籠村と旧亀代村が合併し、昭和52年8月1日に町制施行により現在の聖籠町が誕生しました。 

新潟県内の自治体としては比較的積雪量が少なく、もともと農業と漁業を主産業とする農漁村地域でしたが、昭和39年に新潟市及び本町が新産業建設都市建設促進法に基づく新潟地区の指定を受け、 新潟港(東港)の整備や新潟県が実施する新潟東港工業団地の造成に伴い、多くの企業が立地し、現在では本町の面積の約4分の1に相当する約1533 haに約150社が操業し、日本海側最大の工業地帯に発展しました。 

これらの企業立地に伴い、固定資産税等の税収の増により、昭和59年度から現在まで、本町は普通交付税の交付を受けない不交付団体となっています。  

また、日本海沿岸東北自動車道や国道7号(新新バイパス)が通過するなど、道路交通アクセスに恵まれ、新潟都市圏・近隣市への通勤・通学に便利なことから、これら地域のベットタウンとして、 民間の宅地開発ニーズが高く、活気のあるまちとなっています。    

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幼保一体化に取り組む背景

平成18年10月から、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律により、「認定子ども園」制度がスタートしました。 

聖籠町では、これに先駆けて平成17年度から町立の幼稚園及び保育所を一体化するため、それぞれの名称を「こども園」に統一し、3歳未満の乳幼児については、 公立・私立の保育所で児童福祉法に基づく保育を提供し、3歳以上の幼児は、保育所の機能も兼ね揃えた町立幼稚園で、学校教育法に基づく幼児教育と早朝・延長保育を実施しています。 

幼保一体化を始めて約10年がたちますが、保護者の方々からも高い評価を得ています。 

聖籠保育園開設(平成9年4月)

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町内初の保育園の開園

もともと、本町では平成8年度まで町内に保育所がなく、3つの小学校区にそれぞれ1箇所の幼稚園で3歳児から5歳児まで幼児教育を行い、 乳児については保護者の元で保育をお願いするという状況でした。 

しかしながら、平成のいわゆるバブル景気の頃から、本町においては、共働き世帯の増加や核家族化が進む一方、 雇用促進住宅(東山集落)の建設や民間の宅地開発計画(旭ヶ丘・ひばりが丘集落)が進むなど、社会状況が大きく変わる中で、乳幼児の保育施設を求めるニーズが高まり、 平成9年4月にようやく町立保育所(聖籠保育園)を開園することとなりました。 

当時の聖籠保育園入園式の様子

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保育園開園後の課題と幼保一体化の現実

平成9年度から保育園を開所しましたが、女性の雇用環境の充実等に伴い、年々入所する乳幼児が増え、定員を大幅に超過する状況となり、新たな保育施設の整備が課題となりました。 

その一方で、少子化の影響も重なり町立幼稚園へ入園する幼児が減少し、施設に空き教室が目立つようになりました。平成12年度に新たに私立保育園が1か所開園したものの、 今後の幼稚園・保育園の在り方を検討するため、平成13年度に有識者や町民(幼稚園・保育園児童の保護者)30人による乳幼児保育計画調査委員会を立ち上げ、幼保一体化の調査や審議を行いました。 

結果として、「保育園では0歳児から2歳児までを保育する」、「幼稚園では3歳児から5歳児までを保育する」という町内での幼稚園・保育園の役割分担の在り方が示され、 平成15年度から試行的に町立幼稚園に保育園機能を併設し、通常の幼稚園の午後3時までの保育時間に加え、希望者には早朝保育・延長保育(預かり保育)を実施し、運営上の問題点等を検証しました。  

その後、平成17年1月に聖籠町乳幼児保育振興計画を策定し、保護者等への説明会を経て、4月から幼保一体化を開始することとなりました。

「聖籠町立こども園」は保護者のニーズにあった保育時間を選択できます。

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子育て支援センター(すくすくさくらんぼ)の設置

幼保一体化に伴い、3歳児から5歳児が保育園から幼稚園へ移行したことで、保育園に空きスペースができ、これらの場所を活用し、在宅で子育てをしている乳幼児及び保護者を対象に、 仲間づくりや出会いの場として開放しています。また、子育ての悩みごとを相談したり、子育てに役立つ情報を提供するなど、子育て支援センターの機能を充実しています。 

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総合的な子育て支援の町の取り組み

☆ 健やか子育て誕生祝金制度の創設 
聖籠町では、出生率の向上と若者の定住を図る観点から、平成8年4月に健やか子育て誕生祝い金条例を制定しました。 
内容としては、第3子が生まれたときに、50,000円を支給し、第4子以降が生まれたときに100,000円を支給するとともに、第4子以降については、小学校に入学するまで、 月額5,000円の子育て支援金を支給するものです。  
なお、平成18年度からは、さらに子育て支援強化のため、第1子から誕生祝金50,000円を支給することとしました。 

☆ チャイルドシート購入の助成 
道路交通法により乳幼児へのチャイルドシートの義務づけがなされたことを受け、聖籠町では平成11年度から乳幼児の交通事故の防止と子育て支援を目的に、 チャイルドシートの購入費用の2分の1を助成しています。

☆ 幼稚園通常保育料等の無償化 
平成18年度から、保護者の負担を軽減するため、子ども園(幼稚園)の通常保育料を無料にし、聖籠こども園(保育園)の3歳児、4歳児、5歳児の保育料についても、 同額を減免する措置を行っています。 

☆ 児童クラブの創設  
平成15年度から、児童福祉法第6条の3第2項に基づく児童クラブ(放課後児童健全育成事業)を町内3地区にある各小学校の校舎内に設置しています。 
また、平成27年度以降、当該事業の対象児童が小学校全学年になるのに先立ち、受入れ児童人数の増加に対応するため、国の補助事業を活用し、 平成26年度に単独の建物である児童クラブを蓮野小学校区に建設しています。 

親子あそびを通して、親子のつながりを深めながら、
お子さんの感性や能力を伸ばすすくすくサロン「さくらんぼ」を開催。

在宅で子育てをしている家の方の仲間づくりや
出会いの場としても利用者のみなさんに大変好評です。

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保健・医療による子育て支援

☆ 子ども・妊産婦への医療費の助成 
本町では、妊産婦及び中学校3年生(15歳)に達するまでの児童に対し、医療費の助成を行っています。 

☆ 予防接種への助成 
インフルエンザ、ロタウイルス、おたふく風邪、水ぼうそうなど、法定外の予防接種を受ける乳幼児、中学生に対し、助成しています。

☆ 乳幼児健診、歯科検診などの保健事業の実施
保健師等による乳幼児訪問、定期的な健康診査、歯科検診など、健やかな子どもたちの成長のため、各種保健事業を実施しています。 

聖籠町の無形文化財である「蓮潟神楽」は約270年前頃から伝わる民族芸能。
社会情勢の変化により、一時は途絶えましたが、若手有志の手で復活しました。

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子ども条例の制定と組織体制の強化

聖籠町では、子ども・子育てに関する基本理念や、保護者、町民、学校、事業者及び町のそれぞれの責務、子育て支援に関する町の施策の基本的事項を一体的かつ総合的に取り組むため、 聖籠町子ども条例を平成26年4月1日から施行しました。 

この条例では、概ね18歳未満の子どもを対象としており、これまでの児童福祉や保健・医療、あるいは学校教育における施策を一体的・総合的に実現していこうというものです。

また、この条例の制定に併せて、子ども子育て部局の体制強化を図り、子どもに関する業務を一体的かつ総合的に実施するため、町長部局にあった保育所や児童館、児童手当など、 児童福祉に関する事務を教育委員会(子ども教育課)に一本化しました。 

☆ 子ども家庭相談センターの設置 
子どもに関する相談に適切かつ迅速に対処するため、平成26年4月から子ども家庭相談センターを設置しました。 
スクールソーシャルワーカー及び保育士を配置し、家庭や学校・子ども園等からの相談に応じています。 

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子育て支援に向けた今後の課題

本町では、更なる子育て支援充実のため、平成27年度から公立保育園を民営化することとしました。民営化による効果として、 これまで公立保育園が受けられなかった国県補助金が受けられるとともに、保育開始年齢の引き下げ(生後6カ月経過後から生後2カ月経過後へ)や延長保育時間の繰り上げ(午前7時30分から午前7時へ)など、 利用者にとって保育サービスが向上することになります。 

また、町としては民営化により捻出された財源を活用し、第3子以降の3歳未満児童の保育園保育料について、現行では、第1子が就学前児童までの世帯を対象に無料としていますが、 平成27年度から第1子が12歳に達する世帯までを対象とすることを検討しています。 

さらに、平成26年度に建設を進めている児童クラブと同様に、他の2つの小学校区においても同様の施設建設を計画しています。  

本町は不交付団体であるが故に、今回ご紹介した子育て支援等について周辺の市町村から羨ましがられることもありますが、そもそも「福祉」や「教育」は財源があるから行うのではなく、 財源がなくても、まず優先すべき施策であると思っています。町村には様々な問題が山積していますが、そのような状況の中でも、いかに住民に寄り添った施策を優先づけて実施するかだと思います。 聖籠町では安心して子どもを生み育て、将来を担う子どもの施策を優先しているのです。この想いがいずれ花開くときがくるのではないかと期待しています。 

併せて今後は、国の人口減対策と相まった対策が本町においても急務となっています。 

これまでの子ども・子育て支援策の拡充を含め、新たな産業の集積・形成による雇用創出、定住環境の整備を講ずる必要性を実感しています。 

本町は、東北電力鞄倹V潟火力発電所をはじめ、多くの企業立地による固定資産税等の税収により、不交付団体として普通交付税の交付を受けずにまちづくりを進めてきました。しかしながら、 長引く景気の低迷・経済不況等により企業の設備投資は進まず、これらの税収は年々減少傾向にあります。

このような状況に対応し、人口減対策としての子育て支援などのための財源を確保するため、これまで以上に町職員と一丸となって行財政改革に取り組むとともに、 地域の活性化に向けた施策を展開していきたいと考えています。 

 

新潟近郊の絶好の波乗りポイント綱代浜海岸ではサーフィン大会や船釣り体験を開催。
海洋レクリエーション活動を通じて、 町内外の住民の交流促進及び地域の活性化を図っています。

 

聖籠町の魅力は何といっても豊富なくだもの。
初夏から秋にかけて、さくらんぼや梨、ぶどうなど果樹栽培が大変盛んです。

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