全国町村会
 

「おかえりなさい」の声が聞こえるまちを目指して

避暑地としてにぎわいを見せる立神峡

 

熊本県氷川町

2896号(2014年10月20日)  氷川町長 藤本一臣

町の沿革

氷川町は、熊本県のほぼ中央、熊本市から約30q南、八代地域の北部に位置する人口約1万2600人、世帯数約4500世帯、総面積33.3kuの町です。 町の中央部を東から西へ2級河川「氷川」が流れ、南北に走る国道号を境に、東に山林・丘陵地帯、西には「西の八郎潟」として全国に名を馳せる「不知火干拓」をはじめとした平坦地が広がっています。 

氷川町の歴史は約1万年前までさかのぼります。そして5千年ほど前、縄文時代の終わり頃には、たくさんの貝塚が作られました。 その中の一つ「大野貝塚」では、近代考古学の父と呼ばれているエドワード・モースによって調査が行われました。これは、九州における近代考古学の始まりでもあります。 

そして、古墳時代になると、国道3号線から東の丘陵地帯にたくさんの古墳が造られます。特に国指定史跡野津古墳群(6世紀初頭〜中頃)と同大野窟古墳(6世紀後半)が著名です。 野津古墳群は、姫ノ城古墳・中ノ城古墳・物見櫓古墳・端ノ城古墳の前方後円墳4基からなる古墳群で、墳長60〜100mもあり、この時期大きな古墳が密集して存在するのはとても珍しいことです。 また大野窟古墳は墳長123mの前方後円墳で、県内で最も大きいものです。これらの古墳は、 その当時「火の国」を治めた「火の君」あるいはその一族の墳墓と考えられています。「火の国」とは現在の熊本県のことで、「肥後国風土記」や「日本書紀」では氷川流域の邑とされており、 現在の氷川町に当たります。つまり氷川町は「火の国」発祥の地であり、しかもその勢力は全盛期には佐賀県・長崎県(肥前国)まで及びました。  

大野窟古墳の石室(玄室)に納められた石棺。
玄室の高さは国内最高の6.5メートルに達します。

  

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「おかえりなさい」の声が聞こえるまち

氷川町は、『「おかえりなさい」の声が聞こえる町』を将来像としています。 

○ごく普通の、そしてとても貴重な、安心して暮らせるまち 
○顔見知りの人たちが住む地域社会のなかで、顔見知りの行政の人たちと一緒になって創るまち  
○安心して食べられるものを生産し、それを味わって暮らせるまち 
○地元で働き、地域の環境を守り育み、豊かに暮らせるまち 
○子ども達もお年寄り達も、地域で見守られていきいきと暮らせるまち 
○すべての町民の、顔と顔が向き合い、手と手を結び合い、心と心が通い合うまち 
○このようなまちは、訪れる町外の人にとっても心地よいまち 

そして、自然に「おかえりなさい」の声が聞こえ、広がっていくまちを目指しています。 

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地場産業を興していくまちづくり

恵まれた気象条件と肥沃な土地を活かした農業は、本町の基幹産業です。農業基盤の整備や高付加価値型の農産品振興をはじめ、様々な農業経営強化の施策を推進してきました。 

しかしながら、平成17年度以降、2ha以上の経営耕地面積を持つ農家数が減少に転じており、大規模集約化が急務となっています。組織化や設備の充実を進めると同時に、 青年農業者担い手塾事業として青年農業者の農業経営能力向上を図るとともに、パートナーを得るための交流会を実施しています。 

また、農産物の販路拡大のために、道の駅・竜北物産館では出荷協議会の皆さんの農産品や加工品が所狭しと出荷され繁盛しています。  

一方では、ジャンボ梨で有名な「新高梨」を平成16年度から台湾に出荷し、価格の安定と国際競争力の向上と地域農業の活性化を図っています。 

賑わいを見せる「道の駅」竜北物産館

また、九州新幹線の全線開通に合わせて熊本駅構内にアンテナショップを開設し、氷川町の魅力を発信し認知度を高めることに努めています。 ソフトバンクホークスの秋山幸二監督は氷川町出身で、特産品ポスターに登場してもらい、その一翼を担っていただきました。 

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一人でも安心して暮らせるまちづくり

平成24年3月に策定した高齢者福祉計画及び障がい者福祉計画に基づいて、各種サービスの充実と地域で福祉を支えるための組織・人材づくりと活動の支援を進めています。 

また、自分の健康は自分で守るという、町民一人ひとりの健康づくりへの意識の向上を支援していくとともに、きめ細かい健康診断に基づく保健指導、 予防活動を主眼とした健康づくり活動を推進しています。 

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子どもを見守り鍛えるまちづくり

家庭での子育て支援のプレママ・パパ教育、地域での子育て支援の児童医療費助成事業(中学校3年生までの現物給付)、 産前産後ホームヘルプ事業などの家庭教育力向上や地域の環境作り事業を推進しています。 

また、「ふるさとの大地に輝く氷川っ子」は本町が目指す子ども像です。 

学校教育に保護者(家庭)や地域の皆さんが参画した「地域とともにある学校」づくりを進めています。  

町内の5校(小学校3・中学校2)全てに学校運営協議会を設置し、地域住民、保護者、行政職員等の推進委員が学校運営に直接意見を反映させるコミュニティ・スクールを推進しています。 

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環境を守る暮らしのあるまちづくり

本町の魅力である森から里山、田園、海へと連続する多様な地形と、そこでの農地や山林などの自然環境は、町域の約65%を占めています。 

しかし、それらの地域は、現状では農地法に基づく農業振興地域の農用地指定により保全されていますが、それを今後どのように適切に守っていくかが大きな課題です。 

特に、農地や里山にあっては、農業経営上の問題から荒廃地が増え、景観的にも大きな問題です。緑と土に囲まれた豊かな環境の創造や、本町のシンボル清流「氷川」は暮らしを支え、 農業を支え、大地を潤しており、いのちの源としての水環境の充実は欠かせないものです。  

ここで、立神峡公園をご紹介します。 

立神峡公園は、昭和42年9月に五木五家荘県立自然公園の指定を受け、昭和56年から整備を行ってきました。 

遊歩道を整備し、その遊歩道に沿って羅漢像127体を設置しました。平成2年には吊り橋「龍神橋」を架設し、平成5年にはログハウス3棟と2基目の吊り橋「火の国橋」を架設。 これによって回遊できる遊歩道が完成しました。 

環境学習の拠点「立神峡公園」

平成9年に環境庁より地域環境行政推進モデル事業の指定を受け、里地等環境基本総合推進モデル事業に着手しました。「里地屋敷」は昭和30年代の農家住宅をイメージして建設しました。 土間、囲炉裏、かまど、五右衛門風呂など里山の自然資源を循環利用する生活を体験できる施設です。 

昭和30年代の農家住宅をイメージした里地屋敷

囲炉裏、かまどなどガスを使用しない生活を体験することができます

その他、公園内には研修室、キャンプ場のほか、環境学習、体験学習用の水田、畑、果樹園、竹林、里山林もあり、炭焼き窯も設置しています。 

平成16年には環境省の里地里山保全モデル事業が全国4カ所で実施されましたが、その中で熊本県南部地区として指定を受け、里地公園及び里地屋敷を中心に平成20年度まで実施しました。 

公園の管理運営は平成18年9月に管理委託から指定管理者制度に切り替えましたが、現在まで立神峡公園管理組合が継続して管理しています。 

管理組合には自然体験学習指導者の資格を持つ環境教育指導員がおり、以下のような環境プログラムを企画運営しています。 

☆里山暮らしの学校
○里山の手入れ(落ち葉かき、たい肥作り、蔓つる切りなど 
○花炭体験 
○スタードーム作り 
○料理体験(石窯ピザ、棒巻きパン、竹の子や椎茸料理、季節のジャムづくりほか) 
○竹の子掘り体験 
○椎茸のコマ打ち体験 

☆田んぼの学校 
○田んぼ観察、籾蒔き、代かき、苗取り、田植え、草取り、案山子づくり、稲刈り、脱穀 

☆宿泊通学合宿 
○薪割り、かまどでの炊事、五右衛門風呂での入浴、宿泊、里地散策と観測など 

☆里山フェスタ 
○シシ(猪)汁作り、森の文化祭、コンサート、薪ストーブ、チェンソーアートなど 

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次世代へ里地里山の生活文化や知恵を継承するため

里地公園の整備とともに生まれた団体「里山クラブどんごろす」は、地域内外の住民で構成されており、公園を中心としたフィールドで、 里山における生活の伝承と知恵の継承を目指して活動しています。 

竹林や遊歩道の整備、炭焼き、 椎茸栽培などの利用と管理の手法を中心とする体験学習と生物の生息地としての里山の役割や食文化を学ぶ環境教育を立神峡公園管理組合と連携して行うとともに里地里山の再生・ 復活と里山暮らしを体験しながら、その生活文化や技を次世代へ継承していくための活動を行っています。 

この地域でかつて行われていた里山の暮らしは、持続可能な循環型社会づくりへ向けて多くのことを教えてくれます。  

また、平成22年にオープンした竜北公園は、隣接する道の駅やウォーキングセンターと有機的に連携し、ひかわツーリズム(周遊滞在型交流)の活動拠点となる環境ふれあい型の公園です。 

自然と共生する里山の暮らしの中で育まれた伝統・文化や知恵を体験する環境学習は地域の環境保全活動へと波及しています。 

田んぼの学校「代かき」を体験する小学生

宿泊通学「薪割り」

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先進の住民自治による地域づくり

総合振興計画における地区別計画は、住民の身近な地区における住民主役のまちづくりを進める基礎となるもので、自分たちでできることは自分たちで取り組むことを基本に、 行政の支援を受けつつ、地区のまちづくりを進めていくための計画です。 

この計画は39の行政区それぞれに10名程度の委員で地区づくり委員会を組織し、その委員会に町職員全員をまちづくり担当職員として分かれて配置し、 地区の現状把握から目指す将来像を導き出したものです。 

昨年はこの計画が5年目を迎えましたので、10年計画の中間点として計画の見直しを行いました。  

それぞれに取り組んできた事業を洗い直し、事業完了、継続発展、新たな事業追加など今に即応した計画を作り直したところです。 

計画した事業は、 

「住民が中心となって取り組むもの」 
「行政が中心となって取り組むもの」 
「住民と行政が協働で取り組むもの」

と役割分担し、早期に取り組む重点的取組も定めています。

地区づくり会議の様子

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終わりに

小さな合併を選択してから9年。氷川町は新たなステージへとその歩みを続けています。 

協働型社会の実現を基本方針に、町民と行政が手を取り合い、自然に「おかえりなさい」の声が聞こえ、その輪が広がっていくまちを目指しています。 

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