全国町村会
 

ヘルスツーリズムの推進と地域振興
〜「ひと・森・癒し 安芸太田」 森林セラピーのまち〜

癒しの森でセラピー体験

 

広島県安芸太田町

2825号(2013年1月14日)  安芸太田町長 小坂 眞治

【町の概要】

本町は、広島県の北西部に位置し、国の特別名勝である三段峡、恐羅漢山や深入山をはじめとした美しい山容を誇る西中国山地国定公園を有する、 豊かな自然環境に恵まれた小さな町です。

町の南側は広島市に接しており、広島市中心部から直線距離にして約30q、中国自動車道・広島自動車道・広島高速4号線(広島西風新都道路)の 利用により、自動車の移動で約1時間の圏内にあります。このため、中山間地域にありながらも広島都市圏の観光・レクリエーションエリアとして、都市住民との交流が 多い地域です。    

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【町の経緯と歴史】

平成16年10月1日、私たちの新しい町「安芸太田町」が誕生しました。 

安芸太田町の「安芸」は「安芸の国」を意味します。「安芸」の名称は日本書紀(720年)の中で「安藝」の国名が初めて登場し、また風土記 (出雲風土記と推察される733年)には「四方の貢物、飽き足れり、因て飽國(あきのくに)と名けらる」と記されているようです。一方、「太田」は、本町を源流域とし、 広島市を経て瀬戸内海に注ぐ太田川から名を取っています。   

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未来戦略会議の立上げ

安芸太田町は、平成16年10月の合併以降、地域活性化に取り組んできましたが、少子高齢化による人口減少は歯止めがかからず、毎年100人以上の 人口減少が続き、平成24年4月には、合併時に約9,000人であった人口が7,300人余となり、町の存続の危機ともいえる状況となっています。 

そのため、町では、平成22年度に町の未来戦略を構築するため、官民協働による「未来戦略会議」を立ち上げました。

具体的には、町内にある地域資源【人材・観光資源・農林水産物】を生かして、「楽しく健康的に生活できる地域社会の構築」と「地域産業の再生・活性化」 を目指したプロジェクトを検討・実施していくものとし、町内の個人・関係団体の実務者で組織した3部会(集落再生・町民活力向上部会、観光再生・情報発信力強化部会、 産業再生・新産業創生部会)において、数十回にわたる活発な議論が重ねられ、平成23年2月、早急に取り組むべきまちづくり事業について提言を受けました。 

その結果、「健康・癒し」をキーワードとした安芸太田町ブランドの確立をめざすこととしました。    

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観光振興の主要な取組み(へルスツーリズムを中心として)

平成23年4月、観光再生・情報発信の体制強化策として町の玄関口、中国自動車道戸河内IC出入口にある道の駅「来夢とごうち」に、町観光協会と 併設して商工観光課を新設するとともに、町観光協会の事務局長を全国公募により採用し、地域ブランドや観光情報・定住情報などの効果的なプロモーションを実施する 仕組みづくりや人材の育成に取り組みました。 

平成23年7月には、官民協働のヘルスツーリズム推進協議会を発足し、「森林セラピー」、「田舎民泊体験旅行」による誘客と交流の仕組みづくりを新たに 開始しました。農林産物の直売と6次産品化を図る新たなビジネスチャンスは、町民に収入と生きがいを提供し、訪れる人も住む人も活き活き元気で生活できる町づくりの 実現に繋がります。これにより、町の魅力が向上し、町のファンの増加で入込み観光客・観光消費額が向上する環境と経済の好循環を目指すこととしています。    
  

@森林セラピーの取組み

○広島県初の森林セラピー基地認定

森林セラピーは、森の中に身をおき、歩行や森林内レクリエーションなどの方法によって、心身の健康維持・増進、疾病の予防を目指すもので、 いわば「一歩進んだ森林浴」です。 

それを支える森林セラピー基地は、森の香りや空気の清浄さ、美しい森の色彩や景観などが人の生理に及ぼす効果について医学実験による検証を終え、 お墨付きを得ている癒しの森です。 

安芸太田町は昨年3月24日、広県初の森林セラピー基地に認定されました。   
  

○森林セラピー 基地グランドオープン

人は、日々の都会のストレス社会に疲れたとき、森の中に身を置くことで、心身ともにリフレッシュし、再び明日を生きる糧を得ることが出来ます。 

里山の案内人であるあきおおた里山ガイドが、4つのセラピーロードと多彩なセラピーメニューを用意して、来訪者の皆様を癒しの森にいざないます。 

いよいよ本年5月25日と26日には、待望のグランドオープンを迎えます。

現在、プログラムのさらなる構築や、里山ガイドの研修などを重ね事業全体の魅力アップに取り組んでいます。    
  

○4つのセラピーロードとモニターツアーの開催

「森林セラピーロード」として「恐羅漢山」「深入山」「三段峡」「龍頭峡」の4コースが認定を受けています。昨年9月から11月に開催した モニターツアーでは、森林セラピー体験のほか、町の地形や文化・歴史を活かした森林ヨガや陶芸体験、ハーブ石鹸づくりなどの体験メニューを提供してきました。

ツアー終了後に実施したアンケート結果を検証し、プログラムをブラッシュアップしていきます。    
  

○あきおおた里山ガイドの育成

里山の案内人であるあきおおた里山ガイドは現在第1期、第2期が終了し46名が修了しています。今後里山ガイド100名の育成を目指しています。    
  

○イメージ戦略

森林セラピーをアピールするためプロモーションビデオを作成し、ホームページで紹介しています。併せて、キャッチコピーとして「ひと・森・癒し  安芸太田」を決定し、「森の妖精」といわれる「ヤマネ」をモチーフにしたイメージキャラクター「もりみん」を紹介しています。 

さらに、シンガーソングライターの丸本莉子さんを町のイメージシンガーに認定し、同じくイメージソングに認定した彼女の歌う「ココロ予報」は、 町の情景を歌った「空」とカップリングされ、昨年12月5日にCDミニアルバムがリリースされました。    
     

A体験型観光への取組み

○修学旅行(教育旅行)誘致

昨年度広島県が民泊受入れに関するガイドラインを整備したことから、準備をスタートさせ昨年2月1日、官民合同の安芸太田町田舎体験推進協議会を 立ち上げ、本格的に民泊引受け家庭募集及び教育旅行誘致活動を開始しました。 

当町民泊事業の最大の特徴は、スキームづくりこそ町において主導しましたが、運営は観光協会をはじめとする「町民」サイドが旧町村の枠を越えて連携し、 主体的に取り組んでいる点にあります。と言うのも、民泊受入れを最終目的とするのではなく、民泊事業を活用して高齢者の活性化や地域の再生に繋げていこうという 共通目的が、町と民泊に関わる町民の間で共有されているからです。 

その結果、民泊引受け家庭で組成する民泊部会では、毎回非常に熱心な話し合いがされ、既に2度の視察、2度の試験受入れ、7度の研修会を実施しています。 

一方、教育旅行誘致も順調で本年に2校、本格受け入れ元年となる来年、平成26年度には5校の来町が決定しています。 

小規模自治体単体としては極めて珍しいことですが、「安芸太田町人情田舎体験」として町民手づくりの民泊プロモーションビデオも完成させています。 

都市部の学生の教育に資し、引受け家庭や地域の活性化を促進し、町への経済波及効果が非常に大きい民泊事業は、中山間地の過疎高齢社会においては、 数少ない三方良し的事業であると考え、強力に推進しています。 

教育旅行で好評のラフティング体験

  
     

B欧米富裕層の観光誘致へ

観光施策の効率化を考えた場合、教育旅行素材や人材をそのまま活用できる点においてメリットがあると判断し、町観光協会が中心となり欧米富裕層を ターゲットとした観光誘致を開始しました。 

特に、周辺市町が中国・韓国に注力していることから、広域的な補完戦略としても欧米系かつ富裕層に向けた取組みが有効であると考えています。

手つかずの豊かな自然や素朴な文化に加え、「人情味溢れる」本町町民の心ばえを前面に押し出した「交流型体験」視点こそ、他市町との差別化が出来ます。 加えて、欧米系訪問者数が非常に多い広島市と隣接している点においても有利な状況にあります。 

昨年、町単独で1回、広島県との連携で3回、欧米系旅行会社やメディア招へいを実施し、特に、昨年9月実施した神楽ツアーは、単なる見学型では無く、 地元神楽団との「交流」、そして「体験」型にした結果、好評を博しています。

本年1月には、西日本最南端ともいえる豪雪地帯である本町のマイナスイメージを逆手に取った雪かきイベント等による欧米人誘致も予定しています。 このため、本年4月には外国人誘致の組織を立上げ、一層の取組み強化を図っていく予定です。 

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元気なまちづくりへの挑戦

  

◆町民との協働のまちづくり

本町をはじめとする中山間地域においては、過疎・高齢化が猛スピードで進み、小規模集落においては自治機能の維持さえ困難となり、すでに一部集落では 事実上の集落崩壊の状況を迎えつつあります。こうした地域の生き残りは、まさに町の生き残りでもあるとの危機感から、本町においては、平成23年2月の未来戦略会議の 提言を受け、集落再生への取組みに着手しました。

具体的には、合併前の旧町村ごとに専従の地域担当職員を2名ずつ配置し、48自治振興会の相談相手となるとともに、地域住民自らその地域の5年後、 10年後を見据えた地域づくり計画:地域マスタープランの策定を呼びかけたところ、平成23年度、24年度で3分の1の地域から手が上がり、町と地域の協働による取組みの結果、 現在6地域で策定が完了し、残る地域でも熱心な話し合いが重ねられています。 

策定した地域マスタープランの実施計画支援のため、『地域マスタープラン推進事業補助金・地域マスタープラントライアル事業補助金制度』を創設して 財政支援を行うとともに、平成24年度からは地域おこし協力隊員4人を地域に派遣して、地域活性化のための人的支援を図るとともに、周辺地域の自治機能維持のための 『集落支援員派遣事業』にも取り組むこととし、併せて地域マスタープラン策定・実施計画支援のために、担当課である地域づくり課職員以外の一般行政職員全員による 集落支援活動「地域サポーター制度」を本年度からスタートさせました。 

また、協働のまちづくりは、町民と行政が、その理念や方向性を共有してはじめて実りあるものとなることから、昨年度1年をかけて町職員が作成した 「協働のまちづくり基本方針たたき台」をベースに、本年度は学識経験者や自治組織の代表者、住民代表等13人からなる協働のまちづくり基本方針策定委員会で議論が重ねられ、 このほど『〜みんなで“つろうて(一緒に)やる”まちづくり〜』を副題とした、安芸太田町独自の「協働のまちづくり基本方針」が完成しました。    
     

◆協働による安芸太田町がめざす将来像について

自ら進んで地域の課題や問題を解決していく意欲や能力が育つことで、協働の担い手である住民、自治振興会、各種団体、事業者、行政のそれぞれの特性や 能力を活かした取組みを行うことで、みんなが活き活きと安心して暮らせる安芸太田町をめざしています。    
  

@ウルトラマラソンを通じた元気な地域づくり

毎年9月中旬に開催される、距離88q、高低差854mを制限時間13時間で走り切る「安芸太田しわいマラソン」は、ゴール直前に、アーチ式としては 国内で2番目の高さ156mを誇る温井ダムの481(しわい)段を駆け上がるという過酷なウルトラマラソンで、昨年3回目を迎えました。 

「しわい」とは、この地方の方言で「過酷、しんどい」などを意味します。 

人口7,300人余りの小さなこの町で開催されるこの大会には、今年も南は沖縄から北は北海道まで全国各地から400人余り、更には韓国からの参加もあり、 国際色も出てきました。 

特徴的なのは、大会を運営する実行委員会のメンバーのほとんどが、個人のボランティアということ。町も大会当日は大会車両として公用車と運転する 職員を派遣しますが、関与もそこまでで裏方に徹しています。それを補完しているのが、5qごとに設置されたエイドステーション(無料休憩所)の運営や選手誘導員に 携わるコース沿線・沿線外の自治振興会や町内事業所、消防団員の皆さんです。

コース沿線から寄せられる選手の名前を呼んでの声援やエイドステーションでの地域のおもてなしは、選手の皆さんに大きな感動と勇気を与え、 すでに多くの固定ファンをつかみつつあり、地域の皆さんも毎年参加する選手との交流を楽しみに、開催日を心待ちするなど、このウルトラ大会が元気なまちづくりにつながっています。

インターネットのマラソン専門サイトの評価では、昨年9月に全国で開催された数多いマラソン大会(ハーフ・フル・ウルトラマラソン)の中で、 参加選手による総合評価第1位を獲得しました。全国に誇るべき大会になりつつあることを大変うれしく思います。      
  

A日本一のウォーキング大会を目指して!

本町では、平成14 年から、《生涯現役、死ぬときゃぽっくり、歩いて棺桶まで》をスローガンにウォーキングを普及しています。

健診結果でメタボリックシンドローム「内臓脂肪型肥満」に該当する町民を対象に有酸素運動(ウォーキング)を指導し、運動習慣者になってもらい 「歩いて棺桶まで」を目指しています。

また長期総合計画における健康促進プロジェクトでは、全国規模のウォーキング大会の開催を掲げ、平成19年度から毎年開催しています。

第6回目を迎えた昨年の大会は、町内16の各種団体で結成された実行委員会方式により、10月6日(土)、10月7日(日)の2日間開催しました。

メインとなる2日目の10月7日は、西中国山地国定公園の草原状の美しい山容を誇る深入山周辺に、30q・20q・10q・ミニトレッキングコースを設定し、 昨年は新たに高齢の参加者や小さなこどもさんを連れた家族のための2qコースを設けました。   

当初参加者は1,000人を見込んでいましたが、他のイベントも重なったこともあり、最終的には846人の参加となりました。

参加者の感想は、「自然の景色を見ておいしい空気を吸えた」「スタッフの声かけに元気づけられた」「梅飴(商工会女性部)、漬物(女性会)、 ぜんざい(ヘルスメイト)のおもてなしが素晴らしい」などの感想がたくさん聞かれました。

実行委員会の反省会では『団体が自ら関わり汗を流すことは、ともにウォーキング大会を支えている実感がある。これからも手づくりの大会を 盛り上げていこう』など多くの意見が出されました。

これからも、心を込めた手づくりの大会を合言葉に、日本一のウォーキング大会を目指し、たゆまぬ努力を重ねていきたいと思います。

夜も空け切らぬうちから過酷なレースのスタート

雄大な自然のもとで気持ち良くウォーキング

  
  

B町女性職員らによる手づくりのまちおこし 〜乙女?たちの挑戦〜

昨年10月下旬、町の活性化を考える町女性職員6人による特命チーム「安芸太田町魅力UP →女性会議」を立ち上げたところ、わずかその10日後には、 小さな町でも、元気よく、楽しく、町を訪れる方々に「また来てみたい」と思っていただけるような『心からのおもてなし』に取り組んでみようと、町女性職員全員を メンバーとした『安芸太田町AKO』(AKO=あがぁ〜、こがぁ〜言う乙女たち(色々わいわい意見を出しながら町の活性化に取り組もうという趣旨))が結成されました。

このAKOでは、町を元気にする活動第一弾として、広島県観光プロモーション「おしい!!広島県」秋のキャンペーンとして11月末まで展開された 県庁男性職員による『全力歓迎課!』の理念と精神に倣い、広島県の公認を得て町内10か所で地元町民の皆さんと共演する「おしい! のぉ〜。安芸太田町」観光PR動画と ポスターを、町観光協会や町内若手事業者等と協力して手づくりで作成しました。ポスターは、町内の各公共施設に掲示してPRしているほか、PR動画については インターネット上にアップし、ホームページからも見られるようにしたところ、各メディアからも大きな注目を浴びテレビや新聞等で大きく取り上げられました。

町民の皆さんからも、楽しそうな取組みで元気があっていいと評価いただいています。AKOでは、結成以来、町内で開催されたイベントなどに ボランティアで出演し、町のPRとおもてなしに取り組んでくれています。

  

このように、今本町は、新たなまちづくり、地域おこしの取組みが産声を上げつつあります。こうした取組みを活かしながら、今後ますます厳しい状況が 予想される中山間地域の小さな町にあっても、心の温まるような元気を発信し続けたいと思います。

話題を集めているAKOポスター

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