全国町村会
 

「水源の里の恵みいっぱい 活力みなぎる人たちが暮らすまち
美濃白川」 〜白川町第5次総合計画キャッチフレーズ〜

新エネルギーシステムのモデルとして整備する道の駅「ピアチェーレ」

 

岐阜県白川町

2796号(2012年4月09日)  白川町長 今井 良博

はじめに

私の町には高速自動車道がありません(信号とコンビニはありますが・・・)。

岐阜県・白川町 よく世界遺産の白川村と間違えられます(今回の原稿依頼のあった時も、 もしかしたらと思いましたが、おかげさまで白川町のことを町村週報で全国の町村に知ってもらえることは、誠に光栄の至りです)。 

本町では、今から40年以上前、昭和43年8月に観光バス2台が、集中豪雨により川に転落し、106名の命が奪われました。 国道41号が2車線改良されてから間もなくの大事故でした。時の佐藤総理大臣も視察に来られました。この事故が 「飛騨川バス転落事故」で、天災か人災かで最高裁判所まで争われ、結果、道路管理者の責任が認定され、国が賠償金を払うことと なりました。この事故により、全国の道路では防災工事が積極的に行われるとともに、保険制度も創設されましたが、この時以来、 国道41号においては、雨量規制が行われ、度々大雨による通行止めが行われます。バス転落現場には慰霊碑「天心白菊の塔」が建立 されておりますので道路管理者の皆様は一度御参りください。

白川町は、55年前の昭和の大合併で、5ヶ村が合併した町で、当時の人口は18000人余ありましたが、 現在では1万人を切り、9830人(3月1日現在)の町です。面積は238kuと広大で、山岳地帯はなく、5本の河川 (白川、赤川、黒川、佐見川、飛騨川)沿いに、点々と集落があり(65自治会)町民が暮らしています。 

農林業が主体の町ですが、2万haの森林のすべてが民有林で、国有林は町の周辺には多く存在しますが町内には 1坪もありません。戦後植林された森林は、「東濃ひのき」の銘木を産出し、町内には多くの製材・建築会社があり、主に軸組工法 による和風建築を行い、白川大工と東濃ひのきの家として、名古屋周辺で建築しています。また、昭和40年代に農業構造改善事業で 行った茶園整備により「味と香りの白川茶」の生産振興に取り組み現在に至っています。白川茶は一村一品の先駆けと自負しております。

平成の町村合併は、1市7町村で協議を進め、合併議決・調印の目前で、中心市の合併反対により頓挫し、 合併することができませんでした。以来6年、行政改革と緊縮財政により、時代の要請に遅れないよう、懸命な町づくりを推進しております。 全国の皆様に紹介するような町づくりは行っておりませんが、いくつか紹介したいと思います。

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零細な水田農業を守るために

日本は、過疎地域と都市の格差を容認し、都市に暮らす人たちは、過疎地域を日本の重荷と感じるようになって しまっていると思います。その1例が、コンパクトシティー構想です。人口が少なく投資効果が小さい過疎地域の住民を都市周辺に 移転させ、道路・水道・下水道を効率よく整備するという考えですが、過疎、山村は無人にして、自然に戻せば良いのでしょうか? 日本の国土は、緑に覆われた豊かな森林と生まれたての空気、そしておいしい水が循環する楽園です。この国土は、自然にできた 訳ではありません。数千年の歴史の中で、山を育て、自然を破壊しない棚田を作り、その恵みを受けて、山村に人々が暮らし、 地域を守ってきたからだと思います。都会の人たちに山村に来て暮らせとは言いませんが、目の前の効率や採算や経済効果ばかり 言わないで、山村に暮らす人々にも感謝して、山村の重要性を認識してほしいと思います。私たち山村に暮らす者は、都会で 一生懸命に経済活動をして、日本を支えていただいていることに心からお礼を申し上げます。 

さて、本題である過疎、山村の農業を守るにはどうしたら良いかということですが、私は「個の農業から集団の 農業へ」ということを、平成17 年頃から主張し、集落営農組織の育成を図ってきました。その理由は、農業従事者の高齢化と、 後継者不在による農地の荒廃です。立派な水田も、1.2年耕作しないと大変な状況になります。そして、農業機械が高価であり、 作業ごとに別々の機械が必要で、常に機械の更新に山の木を売ったり、農閑期に働いた現金収入を投入する必要があります。反面、 米価は下落傾向にあり、1日働けば米1袋が買える時代となりました。それぞれの個人の農地を守ることに限界があり、農地の耕作権 を皆で出し合い、営農組合をつくり、共同で管理すれば、ある程度集落の農地は将来にわたって守ることができるのです。更に転作 も統一することができます。ちなみに白川町の水田の平均耕作面積は15a程度です。極めて小規模な経営面積ですが、50人、60人と 集まれば10ha程度の耕作面積となります。今白川町では、10組合、水田面積100haの集落営農組織が結成され水源の里を守っています。 

集団営農組織による大豆の刈取り

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「美濃白川産大豆100%のとうふ」という名前の豆腐

集落営農組織が拡大し、転作も統一され、大型機械化も進めることができました。転作作物の主体は大豆にして います。トマトや野菜、花などを栽培している農家もいます。そして、その大豆をJAを通じて販売すると、極めて安価であり 生産も遅いので、加工しようということになり、佐見地区に女性起業グループ「佐見とうふ豆の力」を立ち上げ豆腐加工場を建設し、 平成21年8月に製造販売を始めました。市販の豆腐との兼ね合いもあり、原価ぎりぎりの1丁150円で1日300〜400丁(製造限界)を 製造しほとんど完売しています。油揚げ、寄せどうふ、湯葉、あげ豆など新商品の開発もしています。 

現在、8名ほどの地区の女性が働き、小遣い程度しか稼げませんが、働き場としても効果をあげております。 

「佐見とうふ豆の力」での豆腐作り

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「光ケーブルによる情報・通信網の整備」

「光は1秒間に地球を7周半。バケツ1杯の情報から太陽1杯分の情報が流れる。いよいよ光ケーブルの時代が来る。」 今から10年以上前に当時の総務省審議官の月尾嘉男氏から聞きました。以来、白川町の情報化は光ケーブルしかないと決めていました。 しかし、莫大な投資が必要で通信会社と交渉しましたが、白川町では投資効果がないと断られました。その後、国において 地デジ化の推進が図られ、平成23年7月という目標もできたため、ケーブルテレビによる対策を図ることとし、民設民営、 光ファイバー網の全町整備を目標とし、5年以上の年月をかけて整備計画町民説明会、既設共同アンテナ組合の解散などを進め、 合わせて防災行政放送の個別受信機を設置することとし、平成22年9月に町内全戸への光ケーブル引き込みを完成しました。 

テレビはデジタル放送が見えるようになり、私の念願であった光ファイバーによる「e・しらかわち茶ゃっと」 で高速インターネット利用が全戸で可能となりました。    

  

※「e・しらかわチャット」とは
「e」はelectronic(電子的な)と「イー」(良い)という意味を併せ持ち、チャットは、 白川町の 特産であるお茶と「ちゃっと」(すぐに)高速通信が可能であることを表し、茶の間に居ながら町内から世界中までの 情報・サービスを利用できる情報基盤整備のことです。

  

見守りシステムのアンケートに答える利用

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「ICT利活用・老人見守りシステム等」

白川町の高齢化率は38%を超えています。しかし、高齢者の人口は10年後もあまり変わりません(人口が減少 するので高齢化率は上がります)。問題は、独居老人や老人世帯が増加することです。現在も独居老人は300世帯を超えています。 とても元気な方もみえますが、心配な方も多くおられます。そこで、今回の光インターネットを活用してテレビ電話とインターネット 自動通信により、独居老人の見守りができないか実験を始めました。 

現在30世帯に設置しましたが、平成24年度は50機増加して本格運用を目指しています。今のシステムは、 毎朝自動に「朝ごはん食べましたか?」などの簡単な質問が送られ、押しボタンにより返事をもらい、安否を確認します。 返事がない場合には、テレビ電話で呼び出し、状況を確認するシステムです。今後は、センサーなどによる安否確認もできればと考えております。 

また、河川監視カメラの設置(5台)、道の駅、クオーレの里などへの防犯カメラの設置(4台)も完成し、運用することになります。 

「情報化ICTコンソーシアム」にも積極的に参加し、全国の先進事例や新しい技術も取り入れていきたいと 考えております。光ケーブルの整備により、情報通信基盤においての過疎と都市の格差は無くなったと思います。ケーブルテレビの 加入率は97%となっていますが、インターネット利用は32%とまだまだ低く、積極的な利活用を推進しなければなりません。 テレビでは専用チャンネルによる「めざまししらかわ」や「ウィークリーしらかわ」などの番組で、特に子供たちの元気な活動の 様子や、町内の各種イベントの状況を放映し、多くの町民がテレビ出演し、大きな効果をあげています。 

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「新エネルギーシステムによる道の駅の充実」

白川町には、平成5年、国内で一番早い時期に道の駅の指定を受けた「美濃白川ピアチェーレ」があります。 

人・物・情報の発信基地として大きな効果をあげています。また、国内の大きな災害の時、防災機能を持った 道の駅の役割が評価されつつあります。ピアチェーレも断水時、停電時でも水洗トイレとして利用できる防災トイレに 改修してもらいました。太陽光発電(21kw)の設置も行いましたが、平成24年度には、新エネルギーシステムのモデル施設とする ため、燃料電池の整備、急速充電施設と電気自動車の導入、蓄電地設置などを計画しています。また、老朽化した温泉施設を道の 駅内に移設し、平成24年2月にオープンしました。この温泉は加温する必要があり、木質ペレットボイラーを導入しています。 

この道の駅内には、女性だけで運営する「てまひまグループ」と「白川育ち野菜村チャオ」を併設しており、 それぞれ相乗効果を発揮して経営しています。 

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「水源の里を守ろう、活性化しよう」

本町は、合併当時18校あった小中学校が、先人の決断により小学校5校、中学校3校に統合されました。 保育園は町立5園、私立1園あります。しかし、今白川町で産まれる子供は、年間50人前後しかありません。 

昨年樹立した第5次総合計画では、今後10年間は、学校・保育園も現状維持することとしております。 地域のあらゆる活動の拠点は、学校が中心になると考えるからです。しかし、どんどん子供の数が減少していくと、 学力のこと部活動のことなどでPTAは混迷します。地域の想いと親の考えは違います。 

また、空気がきれい、水がおいしいだけでは暮らすことはできません。山や農地から暮らしが成り立つだけの 収入がなければ子育てもできません。病院や買い物ができなければ老人も住めなくなります。過疎、山村における生活の原点を 見つめなおし、インターネットなどの新しい技術も積極的に活用し、更には、移動販売車や、ドクターヘリなどによる生活基盤の 整備が充実すれば、もっともっと山村暮らしをする人々が増加すると思います。

今年の11月2日、白川町で全国水源の里シンポジウムを開催します。「上流は下流を想い、 下流は上流に感謝する。」をキャッチフレーズに結成している全国水源の里連絡協議会(会長 大分県佐伯市西島泰義市長)が 中心となって進める限界集落からの脱却について考えてみませんか?

基調講演は、本誌にも度々登場しておられます小田切徳美先生を予定しております。 

全国の過疎地域指定市町村数は、776で全体の45%となっており、そこに住む人口は総人口の8・8%に 過ぎませんが、その面積は57%を占めています。特に国土を守るためには、過疎、山村の存続が必要であると思います。 みんなで知恵を出し、汗をかいて頑張りましょう。 

豊かな国は豊かな水源の里から

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