全国町村会

目指すは「飯南ブランド」

  

飯南町の冬景色


島根県飯南町

2787号(2012年1月30日)  飯南町役場産業振興課 主幹 奥野 憲孝

いのち彩る里 飯南町

島根県飯南町は平成17年1月1日に旧頓原町と旧赤来町の2町が合併し誕生いたしました。

島根県と広島県との県境に位置する本町は、中国山地の中央部に位置し北西には大山隠岐国立公園三瓶山、東側には大万木山や琴引山の標高1,000m級の山々が連なり、面積の約9割を山林・原野が占める緑豊かな自然に囲まれた高原の町です。総人口5,523人2,127世帯(平成24年1月1日現在)で標高が約450mの本町は年間平均気温が12℃前後と県下でも有数の高冷地帯で、冬は寒さが厳しく、豪雪地帯でも知られています。

まちの基本理念に“小さな田舎(まち)からの「生命地域」宣言”を掲げ、中国山地の自然の恵み、神戸川の源流、斐伊川・江の川へ注ぐ清流、里山に暮らす人々の営みを生命地域と位置づけ、「豊かな自然を活かしたまち」「安心して暮らせるまち」「住民参画によって育てるまち」を本町のまちづくりの将来像としています。

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今飯南町が直面している危機

さて、飯南町は今、転機を迎えようとしています。本町には南北に松江市と広島市を結ぶ国道54号線が縦断しており、山陰と山陽を結ぶ重要な役割を担ってきました。歴史的にみても石見銀山から銀の輸送が盛んに行われ、陰陽を結ぶ宿場町として栄えてきました。

しかし、平成24年度にはこの国道54号線に並行して本町の東側に中国横断自動車道尾道松江線が開通する予定です。県全体で見れば、広島方面からのアクセスがダイレクトになることで期待する面もあろうかと思いますが、本町としてはインターも無いことから、通過交通量激減により地域経済へ及ぼす影響が懸念され、これまで54号線の通過客や松江・出雲・広島方面のリピーター客によって支えられてきた飯南町にとっては大きな危機感を抱かざるを得ない状況にあります。

これからは「通過していた方」が無くなる事で、「飯南町を目指して来てくれる方」を作り出していかなければなりません。

私は飯南町役場産業振興課の中で観光振興を主として担当しています。

@ 飯南町を知っていただくこと(情報発信)

A 飯南町に来ていただくこと(誘客)

B飯南町産品を買ってもらうこと(販路拡大)

大きくこの3点を目標に職務にあたっています。

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飯南町と言えば・・・

平成17年に合併して出来た新町「飯南町」。町の名前の変更はこれまで積み上げてきた町のイメージを一気にゼロにしてしまった事は合併の弊害とも言えるかもしれません。まずはこの「飯南町」が何県のどこの町なのか、そしてどんな町なのか知っていただく必要があります。

飯南町の魅力はたくさんあります。牡丹園、スキー場、珍しい動植物の生息する湿地帯、温泉や石見銀山街道などの観光スポットや、特産品で言えば、県下一の良質米、高原野菜、奥出雲和牛、メロンやりんごなどの果樹、そばに椎茸などなどどれをとっても自信を持って薦めるものです。

しかしながら「飯南町と言えば」といった時に常にバラバラな回答していてはイメージも定着しないと考えます。

そこで本町では「一点突破」として観光では【森林セラピー】特産品では【やまと芋】を筆頭に掲げ、飯南町のイメージ作りを図ることとしました。

まず、【森林セラピー】ですが、本町は、9割以上を占める自然を活かした取組として山陰地方では初めての森林セラピー基地に認定され島根県では唯一の基地です。森林セラピーは、森林浴の持つ癒し効果を医学的に解明し、科学的根拠に基づく健康増進メニューにより、心や身体に元気を取り戻そうという取組です。四季を通じ様々な自然に触れ合うことが出来ます。

そして、【やまと芋】は、やまのいも類の中でも最も粘りが強く、特に高原地域である本町で生産される芋は、昼夜の寒暖の差が激しく濃厚な旨味が特徴で、島根県内でも唯一の産地です。

一点突破の意味するところは、この2つだけを推進するという意味ではありません。他地域には無いこの2つでまずは飯南町を知っていただくことで、その他の素材も必然と知っていただくことになると思います。

  

ハンモックで森林浴

  

紅葉の森林セラピーロード

  

飯南町の特産やまと芋

  

濃厚な旨みと粘りが特徴のやまと芋

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情報発信の取組

飯南町を知っていただこうとこれまで多くのイベントを開催、出店してきました。近隣の大都市広島市を中心に、関西、関東と可能な限り、出かけてはPRに努めました。森林セラピーをPRするために、時には町からトラックで木や草花を運び込み屋内に森を作ってみたり、時にはハンドマッサージをしてみたりとありとあらゆるPRを試みました。「うちのイベントにも来てくれないか」と声を掛けられることも少なくなく、おかげで色んなイベントにお誘いいただきPRの場が増えました。月の半分以上イベントで出かけることも多々あり、自分が役場職員であることを忘れる時すらあります。

やまと芋もそうです。全国的にはマイナーなやまと芋を地道にPRすることで、芋のみならず飯南町の農産物の評価が高まり各地で産直市を開催することができましたし、多くの販路も獲得できました。

その結果嬉しいこととして、積極的に出かけていくことで「飯南町ファン」が増え、飯南町応援団としてイベントのお手伝いや、口コミでPRをしてくださる方が増えました。

情報発信の手法としてインターネットの活用も手がけています。さらに「さとやまにあ」という名前で飯南町攻略サイトを立ち上げました。さとやまのマニアになって欲しいとの願いを込めて名づけ、飯南町の日々の暮らしや発見をブログに綴ったり、イベント情報観光情報を発信しています。他の業務をこなしながら常にブログなど更新する点に苦慮していますが、アクセス数が向上することでそんな苦労も吹き飛びます。

また、同様に「さとやまにあ商店」という飯南町の特産品がネットで買えるオンラインショップもあります。中でも一番人気なのは奥出雲和牛で全国各地からご注文をいただいております。もちろん自慢のやまと芋も販売しておりますので一度ご覧いただければと思います。

このインターネットでの課題は、いかに「飯南町」「さとやまにあ」という文言を打ち込んでいただき検索していただくかという点です。その情報発信の手法としてイベントでのPRのほかにメディアを活用してPRをしました。具体的にはテレビCMの作成、ラジオでのPRです。CMを流すことで全国各地からのアクセスが増えました。

イベントでの口コミ情報発信、インターネットを活用した情報発信、メディアを活用した情報発信と複合的にPRすることで効率的に認知度の向上が図れたと思っております。

  

飯南の森フェアで、飯南町をアピール

  

島根フェアでは、やまと芋の粘りをPR

  

さとやまにあロゴ

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受け入れ体制は

並行して地元の受け入れ体制についても整えています。特に森林セラピーについては、現在44箇所のセラピー基地が全国にあります。いかに他のセラピー基地との差別化を図るのか、ただの山歩きと思われない工夫、セラピーを絡めた体験企画、地元食材を使った料理など役場若手職員と運営する民間企業の若手スタッフが日々喧々諤々とミーティングを重ねています。全国の森林セラピー基地の中でも唯一宿泊施設があるのは飯南町です。そこを大きな強みとして今後も企画立案、そして最も重要であるセラピーガイドの育成を進めていき、どの地域にも負けない森林セラピーを構築します。

  

若手スタッフの熱いミーティング

  

森林セラピー基地にある宿泊施設「もりのす」

  

地元食材を使った「もりのす」コース料理

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目指すは「飯南ブランド」

終わりに、ただ飯南町の名前が売れれば良いということでありません。合併後の最重要課題として掲げる「定住人口の確保」を達成するため、住む場所の確保、保健・福祉・医療の充実、産業活性化による雇用の確保などなど関係機関が一つになり飯南町を作り上げていく必要があります。

目的は「定住」であり、「飯南町を知っていただく」→「飯南町に来ていただく」→「飯南町を感じていただく」→「飯南町のファンになっていただく」→「飯南町に住んでいただく」そんなストーリーを描き、そうなるための手段の一つとして、そういう町になること、そういう町だと感じていただくこと、そしてそんな町にある特産品や観光スポットに付加価値がつくことこそが目指す「飯南ブランド」だと思います。

追伸:飯南ブランドをPRするために生まれたキャラクター。名前は「い〜にゃん」です。どこかでお会いすることがあれば仲良くしてやってくださいね♪

  

飯南町のマスコットキャラクター「いーにゃん」

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