全国町村会

「人と自然 やすらぎと活力のある 村づくり」
〜さわやかな高原の村“つまごい”の明るい未来をめざして〜

  

「愛してる!」キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(通称キャベチュー)


群馬県嬬恋村

2770号(2011年8月22日)嬬恋村長  熊川 栄

はじめに

嬬恋村は、群馬県の西北端に位置し、東は長野原町、草津町、西北は長野県に村境を接しています。面積は337.51平方km、うち7割近くを山林で占めています。村の東部を除く外周には、浅間山、四阿山、白根山などの2,000m級の山々が連なり、北西部一帯は、上信越高原国立公園に指定されています。居住地は、標高700mから1,800mの間に位置し、集落の大部分は村の中央部を流れる吾妻川の流域に散在し、浅間山の影響を受けて火山灰土の腐食土壌が多い地質で、高原野菜の産地を形成しています。

明治22年の市町村制の施行に伴い、現在の嬬恋村が誕生。村名は、日本武尊と愛妻弟橘媛との間のロマンに満ちた伝説に由来しています。

気候は、高原地域特有の冷涼な気候であり、夏の降水量が多く、昼夜間の温度差が大きく、平均気温は7.5℃で、豪雪地帯に指定されているものの冬季の降雪量はそれほど多くなく、根雪期間は12月下旬から4月上旬までとなっています。

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過疎地域指定に

本村の人口動態は、昭和35年の15,214人を最多に昭和55年には10,737人と著しく減少しています。これは硫黄鉱山の閉山により、若年層が村外へ流出したことが大きな要因となっています。その時に過疎地域の指定となりました。平成22年度の国勢調査では、10,178人と減少傾向です。

一方日本列島改造などによる急激な経済成長で、浅間高原一帯に別荘分譲が盛んになり、過疎地域振興特別措置法(昭和55年)の指定からはずれることになりました。平成になり、ふるさと創生事業、大規模リゾート地域の指定など開発ブームが進む中、地価高騰や環境問題がクローズアップされ、急激なバブル崩壊とともに、公共事業の減少や地域経済が徐々に衰退傾向になり、過疎地域自立促進特別措置法(平成22年)で再指定となりました。

   

粉雪舞うバラギスキー場

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本村の財政運営

本村は、国営農地開発事業負担金やスキー場事業の債務をはじめ、バブル期以降に多くの建設事業に取り組んできた結果、平成20年度決算において、「実質公債費比率」が基準を超えたため「早期健全化団体」となりました。そのため平成18年9月に策定した「嬬恋村財政健全化計画」、その後平成20年9月に策定した「第二次嬬恋村財政健全化計画」に基づいて歳入確保・歳出削減を進め、平成21年度決算では、実質公債費比率を早期健全化基準の25%未満にすることが出来ました。さらには、起債の許可を要しないとされる18%未満も視野に入れた不断の取組みを進め、住民の安心・安全の確保と地域経済の活性化を図りつつ、信頼される財政運営に努めています。

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村の主な計画

平成23年度には、村の豊かさを築いてきた「人」と「自然」を村づくりの基本視点におき、「やすらぎ」の提供と「活力」を生み出すために継続性のある明るい未来を目指し『人と自然 やすらぎと活力のある 村づくり』〜さわやかな高原の村“つまごい”の明るい未来をめざして〜をスローガンに「第五次嬬恋村総合計画」を策定しました。次の6つの領域で具体的な施策に取り組みます。

(1)自然と人々が共生する村づくり
(2)健やかで人にやさしい村づくり
(3) 生きる力をはぐくみふるさとを愛するひとづくり
(4) 安定と元気のある産業を生み出す村づくり
(5)やすらぎと潤いのある村づくり
(6)未来へ向けた行財政をめざして

 また、過疎地域からの脱却を図り、若者の定住促進に向けた就業の場の確保や快適な生活環境の整備を目指し、地域の魅力をより高め、自然環境や地域資源を活用するような対策として「嬬恋村過疎地域自立促進計画」を策定しました。重点項目は、@保健・医療・福祉サービスの充実A嬬恋村を担う人材の育成B自然豊かで、やすらぎのあるむらC災害に強く、安心して生活できるむらD広域的な視点に立った基盤の整備E少子・高齢化の対策F基幹産業を基軸とした新たな産業構造の確立Gコミュニティを重視した協働の地域づくりH費用対効果の高い財政運営I地球温暖化対策への取り組みです。

   

夏のキャベツ畑と浅間山

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キャベツの大産地

特産のキャベツは、昭和初期から始まり、昭和30年〜40年には「嬬恋村の高原キャベツ」としてブランド商品となりました。昭和41年から野菜指定産地となり、大規模な農地造成が始まり、一大営農団地が形成され、出荷量とも、夏秋キャベツでは日本一の産地となりました。

キャベツがよく育つ気温は15℃〜20℃で、他の地域では、6月から9月の気温が高いため、キャベツの生産には不向きで、この期間にキャベツの生産が出来るのは、夏でも涼しい北海道や、標高の高い限られた地域だけです。嬬恋村では、昼間は暑くても、夜間には気温が下がり涼しくなるため、この気温差と高原特有の朝露のおかげで、おいしいキャベツを生産することができます。

   

夏秋キャベツは日本一

   

雄大な景観「愛妻の丘」

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愛妻の村づくり

平成16年11月に嬬恋村で週末農業を楽しむグループにより、村名の由来と発案した方ご自身の経験から「妻というもっとも身近な赤の他人を大切にする人が増えると、世界はもう少し豊かで平和になるかもしれない。」という理想のもと、愛妻家というライフスタイルを世界に広めていこうと「日本愛妻家協会」が設立されました。

キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(通称キャベチュー)は、村名の由来と生産量日本一のキャベツを活用したイベントとして、1年に一度くらいは妻への感謝の言葉、愛の言葉を大声で叫んでみてもいいのではないかということで平成18年に始まりました。妻を前に「ありがとう」や「愛してる」などの言葉が出にくいとされていますが、ひとまずキャベツに向かって叫んでみると苦手な愛情表現を克服できるのではないかと考えました。

平成19年に「愛妻家の聖地」としての村づくりを進める上で、田代湖や浅間山の雄大な景色の「愛妻の丘」を造成。この「愛妻の丘」では、住民の手により芝桜等の植栽や周辺の環境整備等が実施され良好な景観が保たれています。

平成20年度には、これらの地域づくりの活動が評価され、総務大臣表彰団体表彰を受賞しました。愛妻の丘には、いつ誰が来ても愛を叫ぶことができる「妻に愛を叫ぶ専用叫び台」があります。普段なかなか口にできない言葉を叫んでみてはいかがでしょうか。

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浅間山の噴火と防災

天明3年(1783)の浅間山大噴火では、本村鎌原地区で死者477人、集落の西側の高台にあった鎌原観音堂にたどり着いた者など93人が奇跡的に助かりました。

平成16年9月1日の噴火を契機として、浅間山火山防災対策連絡会議を組織して、ハザードマップの作成、噴火による土砂災害に備えるため砂防事業の実施、火山監視映像の配信や地震計設置、浅間山体内部の観測などの体制も充実しています。

平成21年10月には「火山との共生、観光の振興、国際性のある地域振興」をテーマに全国の火山を有する自治体が参加する火山砂防フォーラムが本村を中心に開催され、火山砂防意識の啓発に取り組んでいます。

   

天明3年の大噴火で運命を分けた鎌原観音堂

   

鬼押出し園

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村の観光

本村は、2,000メートルを超える浅間山・四阿山・本白根山・湯ノ丸山の雄大な景観に抱かれ、標高1,800メートルにある乳白色の硫黄泉の万座温泉郷、古くから湯治場として1,500メートルの高原にある鹿沢温泉郷など温泉も豊富です。

粉雪舞う5つのスキー場、本格的なリゾートコースの3 つのゴルフ場、雄大な景観と高山植物が豊富なバラギ高原エリア、浅間高原エリア、鹿沢・湯の丸・高峰エリア、万座・白根エリアに年間200万人を超える観光客が訪れています。各高原では、四季折々の石楠花・レンゲツツジ・コマクサ・ヤナギラン・リンドウなど高山植物が咲き乱れています。

また湿気も少なく、夏は涼しい気候のため9,000戸の別荘が建築され、軽井沢にも勝る別荘地を形成し、滞在型・体験型のメニューも豊富で、遊歩道、観光施設、景観ポイント、歴史的遺跡等豊富で、訪れる方々に大変喜ばれています。しかしながら、観光客数は、平成5年度の3,338,000人をピークに、平成21年度は2,161,800人と64.8%まで減少しています。

観光協会・商工会では、キャベツマラソンの開催や、千代田区における雪だるまのイベント、各観光エリアにおいても様々な取り組みで、誘客や宣伝活動に努めています。こうした事業がマスコミに取り上げられ知名度向上に効果を上げています。今後は真田街道など広域観光連携やネット関連の情報発信ツールの導入、施設の整備等により観光振興を目指します。

   夏の万座温泉露天風呂

   レンゲツツジの湯の丸山

   15万株の「しゃくなげ園」

   万座のコマクサ

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教育施設の再編

本村には、幼稚園3園、保育所1園、子どもふれあい館1箇所の施設が配置され、義務教育施設は、小学校5校、中学校2校です。過疎化、少子化による園児の減少、就労形態の変化等による保護者のニーズに応えるべく、幼稚園では預かり保育の実施、保育園では保育時間の延長や土曜日の保育、幼稚園と保育所の連携等を進めています。

平成16年度「嬬恋村教育施設再編計画」を策定し、平成21年度再度検討を重ね、平成27年までに小学校2校、中学校1校、幼稚園2園の再編成に向けて取り組んでいます。

   

川床が安山岩でできた石畳「石樋」

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おわりに

皆様には、村民憲章にあるように“なげかけることばにほほえみを さしだすその手に ぬくもりを”嬬恋村の素朴さと温かさを感じていただきたいと思っております。私は就任以来、Think Global Act Local !!(地球的規模で考えて地域のために活動する)を信条に日々活動しております。一人でも多くの方々に“嬬恋村に住んで良かった。”“嬬恋村に住んでみたい。”と思っていただけるように村づくりをしていきたいと考えております。皆様のお越しを心よりお待ちしておりま す。

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