全国町村会

ゼロ・ウェイストへの第一歩
〜住民協働と半減袋でごみ半減へ〜

  

湘南国際村からのながめ


神奈川県葉山町

2754号(2011年3月28日)  葉山町長 森 英二

海と山に囲まれた自然豊かな町

葉山町は、神奈川県の南東部に位置し、人口約3万3千人が暮らしています。相模湾の向こうに富士山を臨む風光明媚な海岸沿いには、明治時代に御用邸が造営され、その後「別荘」として発展したことから、現在も「保養」「リゾート」の町として知られています。一方で、町の山側には田畑が広がり、「にほんの里百選」にも選ばれた上山口では心癒される棚田の風景を見ることができます。

東京から50キロ圏内に位置した自然豊かな住宅地としての人気も高く、人口は微増傾向にあります。

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ゼロ・ウェイストへの転換

葉山町のごみ処理は、ステーション収集を基本とし、ごみ量は1人1日あたり約1キロ(事業系含む)と全国平均並で、その約7割を焼却しています。ごみの分別は、容器包装プラスチックなど14分別を実施していますが、資源化率は約24 %(平成20年度)にとどまっています。ごみ処理費は、町民一人あたり2万5千円/年と高額になっており、ごみの減量と併せて大きな課題となっています。

また、全国的なごみ処理広域化の動きを受けて、近隣の2市との広域化を、約10年間にわたり協議を行ってきましたが、大規模な施設建設への危惧や、資源の保全を重視したごみ処理のあり方を求める町民からの声がかつてないほど高まったことから、平成20年1月に初当選した私は公約どおりに同年5月に広域化協議会を脱退し、資源化・減量化に力点を置いた「ゼロ・ウェイスト」へと方針を転換しました。

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ゼロ・ウェイストとは

この「ゼロ・ウェイスト」という考え方ですが、日本語に訳すと「浪費・無駄・ごみをなくす」という意味になります。私たちは毎日たくさんの物にかこまれて暮らしていますが、ちょっと考えただけでも使い捨ての物が多いことに気づきます。さらにはそれらのほとんどを、多額の税金を使って収集・焼却するということが常態化しています。資源の枯渇が地球規模の問題となっており、また焼却後に残る灰を埋める場所も限られている今日、このような社会が持続可能であるとは言い難いのではないでしょうか。

このような問題意識から、できる限り物の無駄遣いや浪費をなくし、資源として利用できる物は利用しようという動きが、「ゼロ・ウェイスト」としてアメリカやニュージーランドを始めとする海外で広がっています。

日本でも、徳島県上勝町、福岡県大木町、熊本県水俣市が「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、先進的な取り組みが始まっています。

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第一期目標は「ごみ半減」

では、この「ゼロ・ウェイスト」を葉山でどう具現化していくのかということですが、まずは先進自治体にならって段階的な目標を設定することにし、その第一期目標として平成25年度末までに「ごみ半減」を掲げました。「半減」としたのには、現在2系列ある焼却炉の使用が半分ですむ可能性がでてくることや、「半分」という挑戦的な目標を掲げることが大きなインパクトとなり、推進の原動力となるという意図があります。

このことは、「ゼロ・ウェイスト」というイメージしにくい考え方を具体的にしたことから、当初「わかりにくい」という反応が見られた町民の理解を得ることにもつながりました。

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「ごみ」を「ごみ」でなくすために

さて、「ごみ」を「ごみ」として捉えているままでは、発想が生まれません。そこで、中身を把握するために、ごみの組成分析を行いました。

すると、燃やすごみについては、約60%を占めた生ごみに次いで、分別しているミックスペーパー類が11%も混入していることがわかりました(重量比)。他にも、古着・古布や植木剪定枝など、新たに分別すれば資源化できるものも多く含まれていることがわかりました。また、燃えないごみの調査では、分別しているびんが約50%を占め、燃やすごみと同様に分別の徹底がされていないことが明らかになりました。

徹底されていない要因としては、分別収集の様式がわかりにくいことが挙げられます。現在は「可燃系ごみの日」に、燃やすごみに加えて資源化する古紙類、白トレイを同じごみステーションに出します。(写真参照)分別の項目として分かれていても、同じネットボックスの中に出すわけですから、住民の方からすれば何が資源で何がごみなのかが非常に曖昧になってしまいます。不燃系ごみについても同様で、「燃やせないごみ(缶含む)」「びん」「プラスチックごみ」「乾電池」をそれぞれ袋に分けてだすのがルールなのですが、袋に入れてしまえば中に少々異物が入っていてもわかりませんし、同じネットボックスの中に入るとなれば、分別は曖昧になってしまいます。

これらのことから、分別ルールの明確化による徹底、新たな資源化品目の追加、そして生ごみの資源化によって、「半減」への鍵であることが明確になってきました。

また、分別の不徹底は、ごみステーション周りでのトラブルの原因にもなっており、近隣の方が掃除をされていることも少なくありません。間違った出し方をされた本人には正確な出し方が伝わらないまま一部の人たちに負担が生じていることからも、この問題の解決が望まれていました。

   

組成分析で実態を把握

   

地域内のごみステーションの様子

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分別収集方式を一新!

そこで、収集方式を抜本的に改編することにしました。まず、「ごみ」と「資源」とが明確に意識されるよう、出す曜日と場所を分けるようにしました。具体的には、燃やすごみ、プラスチックごみ、容器包装プラスチックは、各戸が家の前に出す戸別収集によって責任の所在を明確にし、それ以外の資源物については、新たに設置する資源ステーションでコンテナに分け入れるという方式です。さらに資源物は、袋から出して、アルミ缶はアルミ缶のコンテナに入れるようにすることで、資源ステーションに行けば何を分別しなければならないかが明確になることを考えました。また、植木剪定枝や古布などの新たな資源化品目を追加し、25種類の分別によってリサイクルをより進める方式の検討を行いました。

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まずはモデル地区で〜牛ヶ谷戸町内会〜

しかし、「戸別収集」と言うと、「一軒一軒集めることが可能なのか」「うちは車が入れないところにあるが取りに来てくれるのか」という疑問や不安の声があがりました。そこで、一部の地区をモデル地区として、実験的に導入することとしました。

モデル地区となった牛ヶ谷戸地区は、約360世帯を有し、日頃から防犯パトロールなどの町内会活動が盛んな地区です。国道沿いに多くのごみステーションが設置されている地区でもあり、不法投棄などのごみ問題に頭を抱えていたことから、この新方式に関心を示し、モデル地区に応募されました。応募を決められるまでに、町内会ではアンケートの実施や、地区内のごみステーション前などでの説明会を20回以上開催され、住民の理解を得るにあたり大いにご尽力いただきました。モデル地区決定後にも、町主催の説明会への開催呼びかけや、パンフレットの戸別ポスティングなど、われわれ行政と一体となった活動を展開してくださったことが、円滑な導入にむけた大きな推進力となりました。

こうして、平成22年9月1日から牛ヶ谷戸モデル地区での新方式がスタートしました。初めは、分別間違いなどが見受けられましたが、町内会の役員の方々が資源ステーションをまわられ、間違いを正すなど、きれいな資源ステーション環境の維持に努めてくださったこともあり、2ヶ月後に実施した意見交換会では概ね好評な反応を得ることができました。また、町で作成した50音順で分別方法を詳細に記した分別早見表と、収集日カレンダーは好評でした。

燃やすごみの量は、大幅に減量しました。実施前には、地区全体で1日に約600kg排出されていたのが、実施後2ヶ月目には約260kgにまで減量し、実施後の組成分析では、ミックスペーパーや容器包装プラスチックの混入が7〜8割減少していることがわかりました。燃やすごみが減量した分、資源物の量は増加し、一部古紙や金属類については回収量に応じた奨励金を町内会に支払う制度を開始したことで、町内会は活動資金を得ることができています。

   

牛ヶ谷戸地区での説明会

   

資源ステーションで分別

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さらに「半減袋」で意識づけを

この新方式は、今後全町での実施を目指して準備を進めています。併せて、導入を検討しているのが燃やすごみの指定袋制です。すでに指定袋の有料化を実施している自治体は全国に数多く存在しますが、葉山町ではこの指定袋の大きさを少し工夫することで、減量の意識付けを図ることを考えました。

それは、第一期目標である「ごみ半減」を、目に見える形にするということです。半減の目標値は、具体的には「1人1日329グラム」という指標になるのですが、ごみ量を何グラムと言われてもピンと来ない人が多いと思います。そこで、重量を袋の容積に換算し、それをさらに収集1回あたりのごみ袋の大きさに表しました(=半減袋)。つまり、収集1回に出すごみがこの袋に収まれば、その世帯は目標値をクリアしているという目安になるのです(収集は週2回)。これを、収集1回につき1枚分は無料で配布し、不足分は購入していただくことで、費用負担の公平性と減量の意識づけを図ることを現在検討しています。

平成21年度に100世帯を対象としたモニター実験を実施したところ、初めの説明会では「袋が小さすぎて入らないと思う」という反応が多かったのですが、実際に使ってみるなかで、「袋に収めよう」「分別を見直そう」という意識が働き、結果的には9割以上の世帯が2ヶ月間袋に収めることに成功しました。また、実施後のアンケートでは、7割が「分別に対する理解が深まった」と回答し、意識に変化が生じたことがわかりました。

   

シンポジウムなどで取り組みを紹介

   

庁内に展示された生ゴミ処理容器

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持続可能な社会に向けて

このように、葉山町ではごみ半減を目指していますが、さらなる減量に向けてそもそもごみにならない商品がもっと増えるような社会をつくっていこうと、ゼロ・ウェイストを進める他自治体との連携も図っています。

3万人強の小さな自治体の取り組みですが、こういった動きが少しでも持続可能な社会につながっていくと願い、引き続き取り組んでいきたいと思います。

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