全国町村会

風車と名探偵コナンに会える町
“人と自然が共生し、確かな豊かさを実感するまちづくり”

  

日本海から望む風車と松林と大山


鳥取県北栄町

2749号(2011年2月14日)  北栄町長 松本 昭夫

本町は平成17年10月1日、旧北条町と旧大栄町が合併し誕生した町で、人口16,000人、面積57平方kmの農業を基盤としたコンパクトな町であります。鳥取県中央部に位置し、北は日本海に面し、南は霊峰大山山麓にあり、海と山に囲まれた風光明媚な所にあります。

日本海に面した海岸線はすべて砂浜であり、その砂浜に沿って防風・防砂の為の松林が東西に12.5qにわたり、白と緑のコントラストが美しい白砂青松の風景が臨め、その南側に広がる砂丘地には戦後、全国でも一早く灌漑施設が整備され、砂丘ブドウ、葉タバコ、長芋、ラッキョウ、白ネギ等が栽培されており、スプリンクラーで散水する姿は、のどかな田園風景を醸しだしています。

また、平野部には水田が広がり大部分が区画整備され、大きな区画では2haに及ぶものもあり、効率的でコストを抑えた水田農業が展開されております。集落営農の数も県下で一番多く結成されており、地域の結束力を強めております。

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販売額1億円を超える14 品目、認定農業者県下一の農業の盛んな町

そして大山山麓に広がる丘陵地帯は、養分に恵まれた肥沃な黒ぼく地となっており、ブランドとなっている大栄西瓜を始め、ほうれん草、ブロッコリー、花卉、中玉トマト等がハウス栽培されており、更には乳牛、肥育牛等、畜産事業もあり、県下でも有数の農業地帯であります。また、砂丘ブドウを原料とした「北条ワイン」は西日本で一番古いワイン醸造所で醸造され、その品質は国産ワインコンクールで銀賞、奨励賞を受賞し本場外国人にも好評を博しております。日本酒の醸造所もあり、地元の酒米を利用した清酒「うまいがな」や長芋を使った「長いも焼酎」は大変親しまれております。

大栄西瓜は平成19年に栽培されて100年を迎え、記念式典をすると共に、糖度センサー、空洞検査器を整備した最新鋭の選果機を導入するなど更なる品質・規格の統一を図り、消費者の皆さんに大玉でシャリシャリ感がありとても美味しく、大栄西瓜ブランドとして喜ばれています。またその時にマスコットキャラクターとして「夏味ちゃん」というゆるキャラを作り、販売促進を始め多くのイベントで活躍をしています。

砂丘ブドウについても平成21年に栽培100年を迎え「北条砂丘ブドウ音頭」を生産者自らが作詞・作曲・振付を考え、各イベントや販売先で披露すると共に「ホジョピー」というマスコットキャラクターのストラップと共に販売促進に活用しています。また、ラッキョウについても昨年11月、全国ラッキョウサミットを開催し、全国産地と交流を図ると共に更なる飛躍に向けて意思統一を図った所であります。そして長芋の新品種「ねばりっこ」は長芋より木目が細かく、ねばりが強い特徴を持っており、生食で販売すると共に、チップスとしての6次産業化を考えています。

しかし、その一方で、高齢化・耕作放棄地の増加、あるいはグローバル化の波等、問題は山積しており、担い手・後継者の育成、新規作物の導入等、強い農業、儲かる農業、そして持続・発展する農業を目指して真剣に考える時期にきています。

   

大栄西瓜初出荷式、マスコットキャラクター「夏味ちゃん」

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風力発電とエコ活動

また、北栄町は地域の資源を活用し「風車と名探偵コナンに会える町」としてまちづくりを進めています。風力発電への取り組みは旧北条町が平成12年から地元、鳥取大学との共同による風況調査が最初でありました。日本海から吹く北風・西風は砂丘農業に多大な悪影響を与え、その防風・防砂対策として松林を植林して参りましたが、この負の財産を風力発電へと活用したものであります。高さ20mから30mそして70mと、支柱を伸ばし3年間にわたり風況を調査し研究する中で、事業実施可能という結果を得て取り組みました。松林と国道9号の間に1、500q/hの風車を9基設置し、その総事業費は28億円という事業であります。その当時の当初予算が約30億円ですので、NEDOの補助金7億円があったにしても大変な金額でありました。風況調査の成果を裏付けに、住民説明会の開催や議会に説明をし、ご理解を得て、そしてまた土地の交渉や電力会社との売買交渉、1年にわたる渡り鳥の調査等を行い、平成17年に事業着手、11月に本格稼動し5年を経過した所であります。当初は皆さんに大変ご心配をいただき、停止していると「どうしてだ、故障か」等連絡がありましたが、現在まで順調に稼動し、計画通りに発電しています。今は皆さんは風車が回っているのが楽しみのようで、風車が元気で回っている姿を見て、自分も元気をもらうとか、風車の羽根の方向で風の方向がわかったりして喜んでもらっています。因みにこの風車により、約6,600戸の家庭に電力供給ができ、年間12,000tのCO2の削減にもなっています。そして自治体直営では全国最大規模となっています。この風力発電事業をきっかけに本町は、環境にやさしいまちづくりに力を入れています。町ではあまりないと思いますが、環境に特化した環境政策課(現在は生活環境課)を設置し、色々な事業に取り組んでいます。太陽光発電設置事業、菜の花プロジェクト、北栄町版環境家計簿、全自治会に環境推進員の配置、BDFの取組み、LED防犯灯の設置、地球温暖化対策実施計画の策定等、そして保育所の園児から中学校までの全ての子ども達が、子どもエコクラブに加入し、それぞれの園、学校でエコ活動に取り組んでおります。

   

   

風サミット 大誠保育所エコクラブ発表

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町民参加型のまちづくり

また、平成21年には、「風車から世界にとどけ エコの風」をテーマに第14回全国風サミットを開催し、これからの風力発電事業についての講演や、平井鳥取県知事にも出席していただいてのパネルディスカッション、そして本町の取り組み、エコクラブの発表、町民有志によるスライドリーディング等の発表を行い、盛会裡に終了いたしました。

本町では全てのイベント・大会等は町民参加型の実行委員会方式を取り入れており、町民と行政がコラボをしたものとなっており、この大会も多くの町民のボランティアに支えられて実施したものでありました。この年には経済産業省による新エネ・省エネ100選に選定されました。

また、平成22年2月には、環境省主催のストップ温暖化「一村一品大作戦全国大会2010」において風力発電を始め数々の環境施策が認められ、見事、最優秀賞に選ばれ大いに喜んでいる所であります。そしてこの2日後、同じく環境省主催による「環境・共生・参加まちづくり」も受賞し、二重、三重の喜びであり、町民と共にこの快挙を分かち合いました。県下でも、環境といえば北栄町といわれるくらい浸透していますが、更に住民周知をはかり全国一の環境の町を目指して頑張りたいと思っています。

   

一村一品 最優秀賞受賞

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名探偵コナンに会える町

また、本町は「名探偵コナン」の作者である青山剛昌氏が本町出身である事から、コナンのまちづくりをしております。旧大栄町時代からコナンや蘭ちゃんのブロンズ像の設置や、コナン通り、コナン大橋の整備、毎年7月第1日曜日に開催される「スイカ長いも健康マラソン大会」での参加賞のTシャツにコナンのオリジナルイラストのプリント等、取り組んできましたが、合併後、本格的に町の重要施策として取り組んでいます。平成19年3月にコナンの館として「青山剛昌ふるさと館」を開館し、国内外からたくさんのお客様にお出でいただいています。館内には青山剛昌氏の少年時代の作文、絵画から仕事場の再現、コナンのセル画やトリック等、素敵な品物が展示してありますし、ここでしか買えないコナングッズの販売もあります。最近は国内だけでなく台湾、韓国、中国等、海外からのファンの来館も増えています。またコナン通りには単行本の表紙の図柄の石版画モニュメントを設置したり、季節毎にコナン館で色々なイベントを実施しています。また、明治大学の連携で、学生達と「マンガ寺子屋」を開催し、マンガイラストの募集・表彰、青山剛昌と話す会等を開催しました。今後も引き続き取り組み、更なるPRを行い楽しい施設として多くの人が来館されるよう頑張っていきます。今年はバイクのナンバープレートにコナンの図柄を入れるように考えていますし、住民票等はすでにコナン図入りのものを使用して喜んでもらっています。鳥取県にはNHK朝ドラの「ゲゲゲの女房」で有名になりました、妖怪の町、境港市に鬼太郎の水木しげるロードがあり、多くの観光客で賑わっています。まだまだその足元にも及びませんが、世界で唯一の施設・キャラクターとして、オンリーワンのまちづくりに向けて頑張っています。また、平成24年には鳥取県で世界マンガサミットが開催されます。まだ具体的な内容は検討中でありますが、会場の一つとして本町が選定されるのは確実であります。県及び県中部の市町で構成する広域連合と共に楽しいプランをたてて、海外からのマンガ家やアニメファン、そして国内の多くの方に喜んでいただけるようなサミットにしたいと考えています。本年はそのプレ大会として色々な取組みを考えていますので、来町してくださることを楽しみにしています。

   

コナン大橋 コナンブロンズ像

   

「青山剛昌ふるさと館」内部(一部分)

本町は先に述べたように、農業を基幹産業とした町であり、「風車と名探偵コナンに会える町」としてまちづくりを進めていますが、その他にも色々な施策に力を入れています。特に「子育てするなら北栄町」「教育するなら北栄町」をキーワードに幼保一元化による幼児教育の充実や、学力向上による教育力アップ等、これからの未来を担う子どもたちの人材育成に取り組むようにしています。また、本年4月には福祉事務所を開設し、住民と身近に接する事によりサービスの向上を図っていくようにしています。そして、4,000人規模の「スイカ・長いも健康マラソン大会」、由良川に親しんでもらうための「由良川イカダレース大会」、オートキャンプ場での「北栄砂丘まつり」等、各種イベントで多くの来場者と共に多くの町民の皆さんにもボランティアとして協力をいただいております。

   

すいか・ながいも健康マラソン大会

   

由良川イカダレース大会

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結びに

本町は合併時に策定した新町まちづくり計画と私のマニフェストによって、事業を実施して参りました。その中で平成19年には本町の最高規範となる「北栄町自治基本条例」を町民主体で策定し、町民との協働によるまちづくりを進めて参っております。また本年1月には、「人と自然が共生し確かな豊かさを実感するまち」を将来像に、これも町民手作りによる今後10年のまちの方向性を示す「北栄町まちづくりビジョン」を策定いたしました。今後は北栄町自治基本条例を基に、北栄町まちづくりビジョンに沿って住民と共にまちづくりを進めて、北栄町に住んで良かったと誇れる町に向かって更に邁進して参ります。

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