全国町村会

人口12千人の都市近郊型のまちづくり
〜何もないという贅沢〜

  

「日本の棚田百選」に選ばれた能勢長谷(ながたに)の棚田 
オーナーになれば、農家の管理している棚田で、田植えから稲刈りまで、
年数回の農作業やイベントに参加できます。


大阪府能勢町

2736号(2010年10月11日)  能勢町長 中 和博

てっぺんのまち

能勢町は、大阪府の最北端、いわゆる「てっぺん」に位置し、緩やかな北摂山系に囲まれた自然豊かで多くの文化遺産に恵まれた里山文化の息づいたまちです。

この地域は、縄文時代に、すでに人々が暮らし、「日本書紀」雄略天皇17年の条(5世紀頃)に「摂津国来狭々村」の古名で、文献に初めて登場し、古来より、日本海方面から瀬戸内海方面への街道筋にあたり、能勢街道・丹州街道など交通の要衝の地として早くから開けてきました。

町内各所には、歴史的な文化財が数多く残っており、中でも、「能勢の浄瑠璃」は江戸時代後期から約200年もの間、語り継がれています。

また、江戸時代に関西一の霊場として、多くの参拝者で賑わった「能勢妙見山」は、山頂から、摂丹連山、六甲の山々が一望でき、厄難・病苦を避け、開運を願って今も多くの人が参拝に訪れています。

日本棚田百選に選ばれている「長谷の棚田」は、静かな山あいに位置しており、きれいな曲線美を見せています。

夏の緑や秋の黄金色と四季の彩りが美しく、日本の原風景を彷彿させてくれます。

樹齢1000年以上と推定される「野間の大けやき」は、野間神社の旧蟻無神社境内で神木として保護されてきたまちのシンボルで、町の木、大阪みどりの百選、国の天然記念物にも指定されています。

   

能勢妙見山

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てっぺんの拠点

積極的に「能勢」をPRし、農業の振興と地域の活性化をめざして作られた、道の駅「能勢(くりの郷)」。

観光情報の発信拠点でもある能勢町観光物産センターは平成12年5月にオープンしました。

玄関でくり坊が皆さんをお出迎えしています。

平成21年度には来店者数28万人、総取扱金額522,073千円、経常利益22,502千円の規模となり、さらなる充実をめざしています。

ここでは、毎朝、町内で生産された朝採りの新鮮な野菜をはじめ、しいたけや玉子のほか、農産加工品など栽培した生産者自身が出荷、陳列を行っています。

「新鮮」「安心」「安全」をモットーに、顔の見える販売を理念としており、「旬」の農林産物以外にも、「でっちようかん」や「ミネラルウォーター」などの特産品も販売しています。

栗の最高品種といわれる「銀寄」は、能勢が原産であり、実が大きく、ほくほくした甘味が人気です。

江戸時代には多くの銀札(当時のお金)を寄せたことから「銀寄」と名づけられたといわれており、大飢饉の際には、人々を飢餓から救ったと伝えられています。

「能勢米」は、良質のきれいな水と風土、寒暖の差が大きい気候など自然の恵みが作り出した逸品です。

「池田炭」の名で知られる能勢の菊炭は、昔、能勢街道を通って大阪・池田方面に積み出されました。

菊の花を思わせる断面の美しさ、燃え尽きた後に白い灰が残る風情、火付き・火持ちのよさから、現在も茶席には欠かせない炭として珍重されています。

能勢の冬の味覚の代表格である「ぼたん鍋」は、里山の豊かな恵で育ち、締まった肉質・甘味、野趣に富んだ味わいにひかれて毎年多くの方が「ぼたん鍋」目当てに訪れています。

他にも、原料となる米の栽培から酒造りまで一貫して生産する蔵元のこだわりと、冬の厳しい寒さが作り出す深みのある純米酒のほか、能勢の農林産物を原材料に用いた加工品がたくさんあります。

能勢町にお越しの際は、ぜひ、ご賞味ください。

また、物産センターでは、春のたけのこ、夏のトマト、秋の栗のほかにも、朝採りの「旬」の野菜や切り花などを販売しており、大勢の人で賑わいます。

併設しているレストランでは、能勢でとれた「旬」の食材をふんだんに使ったふるさと料理を味わうことができます。

他にも、能勢町内の行事や施設案内、観光情報を提供する観光案内所があり、町内9ケ所の観光コースを案内する「観光ボランティアガイド」の受付も行っています。

情報・案内コーナーでは、伝統文化の「浄瑠璃」を定期的に上演しているなど、「観る・食べる・楽しむ」の三拍子揃った能勢の地域振興・情報発信の拠点になっています。

   

観光物産センターでは「くり坊」がお出迎え

   

能勢町のまちなみ

   

野間の大けやき

   

「顔の見える」モノだけを提供。新鮮で美味しいものを求めてくる人たちでにぎわう観光物産センター内

   

能勢菊炭(池田炭)

   

能勢栗「銀奇」

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てっぺんの文化

〈能勢の浄瑠璃〉は、“素浄瑠璃”と呼ばれる形態のもと、江戸時代後期文化年間から今日まで、200年余に渡り伝え続けられてきた、太夫(語り)と太棹三味線だけで物語が進行する渋い座敷芸です。

農業のかたわら、土地固有の芸事として、農閑期に師匠からマンツーマンで稽古を受け、芸を身につけていくスタイルは、江戸時代から平成の今も変わらずに受け継がれています。

現在も、200名を越える太夫が町内に存在しており、ここ能勢町がいかに浄瑠璃になじみ、親しんできたかを物語っています。

淨るりシアターの開館をきっかけに、永く伝えられてきた〈能勢の浄瑠璃〉を地域の財産として守り育てていくと共に、次の世代にむけて発展するため、人形・囃子を加えたビジュアル化が計画され、1998年に《能勢人形浄瑠璃》としてデビューしました。文楽座のプロを師匠に迎える稽古(ワークショップ)で技芸員を養成すると同時に、オリジナル演目の製作に取りかかり、プロフェッショナルのスタッフを集め、人形首・人形衣裳・舞台美術は一から制作を行い、200年の伝統〈能勢の浄瑠璃〉に新しいオリジナルな形が加わりました。

2006年10月には、活動をより確かなものにするため、劇団として《能勢人形浄瑠璃「鹿角座」》を立ち上げ、そして現在、鹿角座は定期自主公演以外に、年間30件もの公演依頼を受け、「アマチュアのてっぺん(日本一)!」をめざし、意欲的な活動を行っています。

また、「伝統文化の黒衣隊」という組織を能勢町商工会青年部有志が中心となり立ち上げ、能勢の伝統芸能と伝統技術を融合させた活動も行っています。

全国の人形浄瑠璃団体の活動の視察に赴き、営業活動を行うなど、若さあふれる視点で「てっぺんを支える!」と意気込む彼らの活動は、能勢だけでなく、他の地域における祭礼や伝統芸能の継承に力を貸し、地域活性化に役立っていると確信しています。

能勢オリジナルを重視した、現在の能勢の文化活動は、全国の中でも珍しいとされています。

しかし、現在行っている事を50年・100年と続けることができれば、目新しいとされているこの活動も長い歴史の一部分になり、常識となるものと思います。

古い芸能をそのまま守り続けるだけではなく、現代に生きる芸能として新しさを加えることで、その時代時代にあった芸能の形を創り続けることができると、強い信念を持ち、舵取りをしているところです。

   

能勢の「うまいもん」と言ったら、「ぼたん鍋」を外すわけにはいきません!

   

庶民によって創られ伝え続けられた文化<能勢の浄瑠璃>は極めて特殊な地域芸能として、1993年に大阪府指定無形民俗文化財、また1999年には“浄瑠璃という芸能が地域に伝播し伝承する過程で、全国的にも希少な伝承のあり方を生み出したものであり、芸能の過程を知る上で重要”とのことから国の無形文化財の選択を受けた。

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てっぺんのええとこ

スタートは、町の観光資源のひとつである浄瑠璃以外にはどれだけの資源があるかを把握することからでした。

それらの大切な資源を「大阪のてっぺん能勢」として一人でも多くの人に「まずは知ってもらおう」と、観光情報誌を発行することにしました。

しかし、発行までの道のりは想像以上に険しく、町を観光地として改めて見直したとき、観光地開発の難しさにぶつかったのです。

情報誌発行の会議では、「能勢には、お店の数が少なく、何もない」「看板も整備されていない」・・・などのマイナス面の言葉ばかりが行き交う状況でした。

ところが、これらの言葉こそが、他のまちの情報誌との差別化を図り、能勢の観光の核となることに気がついたのです。

山の中にひっそりとある神社。誰にもみつからないような場所に隠れ家のようにあるカフェ。

町全体が宝探しのような町。つまりは「何もない」と思っていた町に、「こんなものが」「あんなところが」という、新しい発見と感動を与えることができるのではないか・・・という発想の転換に変わったのです。

こうして2010年3月に、近畿圏を中心に「おおさかのてっぺん」というタイトルで情報誌が発売となりました。これがすぐに交流人口の増加に繋がったかどうかをすぐに把握することはできませんが、情報化社会の現在では、インターネット上で「大阪のてっぺん」と「能勢」を紹介してくれるファンが増えてきていることはあきらかであり、この口コミが大阪のてっぺん能勢を観光地として、そして地域を活性化させていく最も効果的な方策の一つとなることを期待しています。

   

能勢オリジナル演目「能勢三番叟」

   

能勢オリジナル演目「風神雷神」

   

情報誌は、都市圏で働く若い女性をターゲットにして、おしゃれなカフェや特産品、田園地帯ならではの農作物などを特集し、やわらかく、かわいらしいデザインでまとめた。自分だけのとっておきの場所を探してもらおうというコンセプトだ。

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てっぺんのこれから

地方分権が進展する中、もとより自主財源の乏しい、財政基盤の脆弱な能勢においては、住民の皆様とともにこのまちのあるべき姿・めざすべき姿を想い・描き、まちの特色を最大限活かす施策を戦略的に展開するなど、これまで以上に効率的・効果的な行財政運営が求められていることは申し上げるまでもありません。

能勢が持つ自然環境やそこから生まれる浄瑠璃などの文化、新鮮で安全安心な食を通じて、四季を感じることのできる癒しの空間を提供することが能勢の果たすべき役割だと思います。

そして能勢の中には、まだまだたくさんの未利用資源があると思います。

そういう認識を住民の方々はもとより、観光客の皆さんとも共有しながら、今までも、これからも、高い住民自治意識を礎に、里山とともに、「おおさかのてっぺん」が地域ブランドとして幅広く認識していただける、そういう持続可能なまちづくりをめざしていきたいと思っています。

てっぺん」にはそういう想いが込められています。

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