全国町村会

豊かな自然、大地の恵み、心のふれ合う協働のまち
〜長寿の種、福寿の種、楽の種を語源とする三種川のように〜

秋田県三種町

2733号(2010年9月13日)
三種町企画振興課課長補佐 伊藤祐光

三種町は、平成18年3月に3町(琴丘町、山本町、八竜町)が合併して誕生しました。西は日本海に面し、秋田県の北西部、男鹿半島の北に位置している人口20、115人の農業が基幹産業の町です。
特産品は、生産量日本一の森岳じゅんさいのほか、八竜メロン、梅、岩川水系米などがあり、観光資源には、しょっぱい温泉の森岳温泉や36ホールの秋田森岳温泉36ゴルフ場、砂の彫刻展サンドクラフトをはじめ、昔、修験者の道場地として栄えた信仰の山、房住山があります。また、じゅんさい摘みとりなどの農業体験、夏には、旬の森岳じゅんさい鍋、冬が旬のだまこ鍋などの田舎料理もあり、三種町はこれらの地域資源を活用し地域づくり活動を行っています。

砂の彫刻展「サンドクラフト」

砂の彫刻展「サンドクラフト」は平成9年に開催して今年で14年目になります。きっかけは、平成8年に旧八竜町で開催された日本砂丘学会に参加した鹿児島県南さつま市(旧加世田市)職員の1枚の名刺からでした。名刺にあった砂の彫刻写真を見た、当時の佐藤亮一町長が、「釜谷浜海水浴場でも砂像ができないか」と聞いたのが始まりです。地元釜谷浜海水浴場でも砂像づくりが可能と分かり、役場職員や町民を派遣させ、第1回サンドクラフトは、南さつま市から砂像を制作できる砂像連盟会員を招聘して開催しました。

彫刻家保坂俊彦氏制作メイン砂像(高さ5b)

サンドクラフトの目的は、地域資源を活用した交流人口の拡大と特産品や町のPRによる活性化を図ることです。当初は電源交付金を活用し2,000万円を超える予算で実施しましたが、今年は事業費1,000万円で実施することができました。入り込み客数は野外イベントのため天候に左右されますが、今年は時折雨の降るあいにくの天気にもかかわらず、開催2日間で約34,000人の人出がありました。また近年は、他県からの観光客が増え、イベントの知名度は広く着実に伸びてきていて、町の貴重な観光資源となっています。 

このサンドクラフトを利用したイベントには、東京みたね会会員等を対象にした、ふるさと体験モニターツアーなどがあります。今年で4回目となりますが、毎年20名前後が参加し、町の魅力紹介や各種体験などが参加者に好評を得ています。

サンドクラフトの課題は、砂像作り後継者不足と資金確保とマンネリ化です。砂像づくり後継者不足対策については、昨年から県の元気なふるさと秋田づくり活動支援事業補助金を導入し、「砂像づくり出前講座」を実施しています。今年は町内各地で出前講座による砂像制作と展示を実施し、後継者育成とサンドクラフトのPRを実施することができました。来年は今年以上に町内各地で砂像づくり出前講座を実施し、将来は町内各地で砂像が作られる日本一の砂像の町になることを目指しています。

資金確保とマンネリ化対策については、平成15年に民間の力と智恵による運営を目指し、それまでの町主体イベント協議会と民間主体実行委員会が統合しました。それ以降はサンドクラフトが終了したその年の秋頃から、企画会議を開催し、早い時期から企業広告協賛金集め等の準備活動を始めるようになり、全体予算に占める自己資金(広告協賛金と環境協力金と出店料)の割合が高くなりました。また、効果的でない企画の廃止や新しい企画の取り入れなどを積極的に行う方式により、一時後退していた特産品のPRや販売活動強化、伝統芸能の取り入れが、観光協会やNPO法人、農協、商工会、バレーボール連盟、綱引連盟などで実施されています。

来年は15周年目ということで、記念イベント的に実施する計画を立てています。予算面での自己資金の割合を更に高めて安定させ、継続できるイベントへ成長させる方向で、今年の9月から企画会議を開催し、イベントを積極的に考えるスタッフと、メイン砂像制作者、県立大学教授と学生、長信田の森心療クリニック副院長と学生、最近定住したAターン者など「若者、ばか者、よそ者」によるメンバーで、企画を練り上げ、地域資源のサンドクラフトを活かした地域づくりを進める計画です。

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田んぼの中から突然湧き出たしょっぱい温泉

森岳温泉は、昭和27年に石油採掘中に田んぼの中から突然湧出し、長く秋田の奥座敷として親しまれてきました。無色透明で、弱アルカリ性の「とてもしょっぱい温泉」として有名で、泉質も優れ皮膚病などに効く効用があります。

しょっぱい温泉 森岳温泉郷

塩分濃度は、海水(塩分濃度約3%〜3.5%)には及びませんが、約2%の塩分濃度があります。料理への利用など色々な活用アイディアはありましたが、実現には至りませんでした。しかし温泉については、温泉付分譲地や温泉付別荘、病院、介護施設などに利用されています。

森岳温泉が全盛期の頃には、数多くの温泉ホテルや旅館、飲食店、みやげ店などで賑わっていましたが、現在は3軒のホテルと町営温泉1軒だけになり、飲食店も少なくなっています。宿泊観光客数も年々減少し、21年は149,000人(内町営温泉133,596人)となりました。

森岳温泉郷の振興のために開催されているイベント、花火と日本一の森岳じゅんさいを取り入れた「森岳温泉夏まつり」は、「森岳温泉まつり」と「じゅんさい王国ゆう湯フェスタ」を平成10年に一本化したイベントで、今年で13回目の開催となりました。以前から実施していた「温泉まつり」から数えると56回目となる歴史のあるイベントでもあります。

森岳温泉夏まつり わんこじゅんさい競争

森岳温泉郷周辺の観光資源には、36ホールの森岳温泉36ゴルフ場があります。昨年の年間利用客数が43,174人、ゴルフ場としては県内一の利用者数となっています。また森岳温泉郷のホテルと連携した韓国人ゴルフツアーの誘致も行われています。

そのほかには、遊歩道やバンガロー等が整備され、四季折々の自然観察などの野外活動のできる石倉山公園。岩手競馬の場外勝馬投票券販売所として開設され、140インチの大画面で迫力あるレースシーンを見ながら、手軽に競馬を楽しむことができるテレトラック山本。農家や町民有志で組織した農業体験受け入れ組織で、人気のじゅんさい摘みとりや、そば打ち、干し餅作り、郷土料理作りなどが体験できるやまもと百姓大学。三種川の源流にある信仰の山、房住山(409b)には、バンガローや登山道が整備されており、今年は房住山を主体とした観光ガイド協議会が結成され、町内各地をガイドできる人材を育成する計画です。

三種町観光協会では森岳温泉郷を核とした三種町観光振興のため、今年度は秋田県緊急雇用創出臨時対策基金事業を導入し、2名の失業者を雇用した「森岳温泉郷活性化支援事業」を実施し、森岳温泉郷に観光案内所を設置したり、観光イベントの企画や、ご当地グルメの普及、温泉郷全体の営業活動、首都圏等へのPR活動など、しょっぱい温泉や町内外観光資源の活用による観光客の拡大と、地域資源森岳温泉郷の活性化を進めています。

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日本一の生産量〜森岳じゅんさい

じゅんさいの歴史は案外古く、万葉集に、ぬなわ(沼縄)として詠われている多年草の水生植物です。昔は日本全国の自然の沼で繁殖する植物であったようですが、水稲の転作として旧山本町地域で栽培が広まり20年間以上も「じゅんさいの生産量日本一」を誇っています。しかし、価格の低下や生産者の高齢化などにより、生産量は平成3年の1,260トンをピークに昨年は最盛期の1/3の400トンまで減少しています。

じゅんさい摘み取り

三種町商工会では、森岳じゅんさいによる地域振興を図るため、町内の農協を含むじゅんさい加工業者9社による「森岳じゅんさい加工業者組合」を組織し平成21年度から秋田県緊急雇用創出臨時対策基金事業による「森岳じゅんさい摘み取り担い手育成事業」を受託しています。雇用期間は6ヶ月間で、摘み取り担い手15名と事務員1名を雇用し、加工業者組合8業者に分かれて、約1週間のローテーションでベテラン摘み取り手からじゅんさい摘み取り技術を習得しました。始めは1日約2〜3キロしか取れなかった雇用者も、雇用期間後半には約10キロ近く取れるようになります。摘みとり担い手育成事業終了後は、派遣制度を作る計画で検討しています。また自立を目指す人には商工会主催経営革新塾に受講してもらい、受講生の中には今年じゅんさい沼を購入し、独立を目指す人も誕生しました。2年目は加工業者組合加盟全9社が、摘み取り担い手を受け入れすることになり、3人1組でじゅんさい沼へ廻るため27名を雇用しました。

じゅんさい摘み取り体験

また、三種町商工会では今年、地域資源じゅんさいによるまちづくりの基本となるビジョン作りのため、商工会連合会と秋田県ふるさと雇用再生臨時交付金事業と町の補助金を利用して、森岳じゅんさいビジョン策定事業を開始しました。町職員のほか、生産者、加工業者、市場関係者、大学教授ら20名で作った森岳じゅんさい産業育成戦略会議と作業部会により策定します。

作業部会はさらに「生産」と「加工」と「里づくり」の3つのテーマに分かれ、ワーキンググループ方式により作業を進めています。この夏には、ビジョンを作る期間の有効活用とPR効果を狙って、里づくりワーキンググループ主催で、町内小学生5・6年生による自然学習会を実施しました。参加した26人の児童は、水生生物や植物などの調査や学習をし、その成果を町民祭で発表する計画をしています。

じゅんさい沼観察風景

森岳じゅんさいを取り巻く環境は、国内の新たな産地の誕生や、安価な中国産の流通増加などにより年々厳しくなっているため、商工会主催で取り組んでいる、「森岳じゅんさい摘み取り担い手育成事業」と「森岳じゅんさい産業育成ビジョン策定事業」は、喫緊に必要な事業となっています。じゅんさい産地として生き延びるために、品質と認証の確保などを進め、じゅんさい産業関係者の手取り収入を向上させ、日本一の森岳じゅんさいによる地域づくりを進めてゆきたいと思っています。

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