全国町村会

笑顔があふれるまち ながいずみ
〜子どもが輝き 子育てが楽しい 心ふれあうまちをめざして〜

  

放課後こども教室「のびのびスマイル」
毎週水曜の放課後は、子どもたちが学年をこえて仲間とふれ合う場です。


静岡県長泉町

2724号(2010年6月28日)  長泉町長 遠藤 日出夫

はじめに

長泉町は、静岡県の東部、伊豆半島の基部に位置し、東を三島市、西を沼津市、そして南北を駿東郡清水町と裾野市に接しています。東海道新幹線三島駅や東名高速道路沼津インターチェンジに至近の地であり、東京まで約100q、県都である静岡市まで約qの地点にある、南北に細長い紡錘形をした面積26.51平方kmと県下で3番目に小さな町です。

北に霊峰富士を仰ぎ、東に箱根連山を眺め、温暖な静岡県内でも特に降雪が少なく、穏やかな気候の地でもあります。このような人が住みやすい地であることを裏づけるように、町内各所から旧石器時代から弥生時代にわたる遺跡が発掘されています。

明治22年、10か村が合併し長泉村が誕生しましたが、当時の人口は3,962人で、世帯数は655戸を数えるに過ぎませんでした。その後、合併することなく昭和35年に町制を施行し、そして、今年4月1日、明治22年当時の区域のまま、人口40,956人(5月1日現在)の県下一の人口規模の町として、町制施行50周年を迎えたところです。

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企業誘致と町の発展

当地には、昭和10年代の後半までに製紙、製薬等の大きな規模の工場が創業をしておりますが、当時はまだ、サツマイモを代表的な作物として栽培する農業が中心の町に一大転機が訪れたのは、昭和31年に決まった大手繊維関連企業の進出からでした。

工場の主体部分の土地として旧軍用地跡地が国有地としてあったことが有利に働きましたが、当地が、冬期もほとんど降雪のない温暖地であること、富士の雪解け水を水源とする大量の地下水が容易に得られ、しかも、その水が水温、水質ともに工業用水としても最適と折り紙がつけられている良質の水であることなども評価されました。また、東京、横浜、名古屋に近く、原材料、製品輸送面においても三島駅に近く、その接続も容易な立地条件も当地への進出が決定された要因でした。

そして、昭和44年(1969年)に新幹線三島駅が開業し、隣接地である長泉町にとって新たな南玄関口となり、その後の町の発展に大きな追い風となったことは言うまでもありません。

これらの企業誘致により、町の税収は増大しました。さらに業種の異なる企業誘致を推進したため、景気の変動に左右されにくい足腰の強い町として、昭和58年から現在まで連続して不交付団体であることや、平成20年度決算でみると、経常収支比率が70%、公債費比率が5.9%と財政の健全性を見ることができます。

以後も大規模工場の誘致を展開する一方で、当町では、町民有志の協力のもと、「スポーツを通じた健康で明るい住みよいまちづくり」を目指しています。ここで、企業の従業員として全国から集まってきた新たな住民が、スポーツの普及に大変大きな力となり、また新旧住民の交流によって、文化・風習なども幅広くなったと言われ、当町の特色の一つである新旧住民の隔てない良好なコミュニティ形成につながっています。

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人口増加の要因

2010年3月に発表された土地の公示価格では、全国総下落という中、地下鉄駅ができた名古屋市緑区の5地点と当町の2地点の7地点のみが上昇したという発表がありました。何て読むかもわからない「長泉町」という町がなぜ?合計特殊出生率も上がっている、子育て支援策が評判だとか・・・ということで、新聞、テレビ、雑誌と取材の嵐でした。

しかし、土地の購入や転居先として当町を評価していただけるようになった要因は、子育てなどの一分野の政策の充実によるものだけとは考えておりません。

前述の東海道新幹線三島駅は、三島市と当町の境界部にあり、当町の中心部からは車で10分とかかりません。三島駅から品川駅まで46分、通勤時間帯である6時から8時台の東京行きは12本あるなか、内6本が三島駅始発です。まさに首都圏への通勤圏であり、必ず座れる新幹線で新聞を読みながらの通勤を選択し、近年、東京都や神奈川県からの転入者も多くなっています。

平成14年に当町内に静岡県立静岡がんセンターが開院しましたが、ここへのアクセス整備を確保するため、JR御殿場線への新駅設置や、これまで遅れていた町内の幹線道路網の整備などが促進されました。

そして、恵まれた財政力を背景にした福祉や教育施策への対応など、これらすべての相乗効果により、県内外の方々から転居先の選択に際し、当町を選択肢としていただけるようになったと理解しています。

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住民目線の「子育て支援」

少子化、人口減少という社会の大きな流れの中にあって、当町は、合計特殊出生率も国・県平均を大きく上回っています。「出生率が上がったのは雇用機会や交通の便に恵まれたことが大きいが、上昇が長期で続いていることは子育て支援策の効果である」と、人口問題を研究する機関の方からお話をいただいたこともあります。

その子育て支援策ですが、当町では、これまでナンバーワンやオンリーワンを目指す政策を打ち出してきたものではありません。今必要なことをやれる範囲でスピード感を持って進めてきた結果です。

昨年4月から始めた医療費の中学3年生までの入院・通院ともの自己負担なしでの無料化が、子育て世帯に評価を頂いております。これは県内でも3自治体で実施しており、現在では、珍しくありませんが、当町では、昭和48年から3歳未満の無料化を始め、平成14年から就学前、平成19年から小学3年生までと拡大してきました。

就園前の子とその保護者が対象の子育て支援センターは、現在どの自治体にもありますが、当町では、平成11年に第1号を開設しています。結婚してから当町に転居して出産するなど周囲に知人、友人などがいない母親に、常駐の保育士による子育てのアドバイスや、子育て仲間ができるなど利用者に好評であったことから、現在町内に3施設を開設しています。

放課後児童会では、平成19年度末に次年度の希望をとったところ、多くの待機が発生する状況がわかり、予備費を投入して2箇所にプレハブの施設を建てて4月からの受け入れに対応し、2ヵ年かけて恒久的な施設を整備してきました。

また、人口の増加に伴い、町内に3つある小学校の2校で教室が不足することが予想されたことから、昨年度、2つの小学校で6教室ずつ校舎を増築しました。

しかし、様々な需要に対し、すべて新たな施設を作るなどして対応できている訳ではありません。当町でも、幼稚園に比べ預かり時間の長い保育園への入園希望が多い状況ですが、この状況がいつまで続くかわからないなか、新たな保育園設置には踏み切れません。そこで、この4月から幼稚園の保育時間を希望により1時間延長し、また、認可外保育施設の利用者に対し、町で定める保育料との差額を補助するなどの制度を今年度から実施しています。

また、少子化のなか、たくさん子どもを産みたいが経済的に大変という声を聞き、出生順位で第3子以降を対象として公立幼稚園、保育園の保育料等を無償化するとともに、私立に対しては公立の料金を上限に助成をしています。

   

   

保育園に併設されている子育て支援センター「みかんちゃん」。他にも「アップル」と「ちぇりーぶらっさむ」があります。

   

働いているお母さんたちにも安心して預けられる「放課後児童会」。

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教育現場の充実

保護者に対してこのような支援をする一方で、子どもに対しては教育現場への支援員の配置などにより、学校と連携を図った取組みを進めています。

小学校には、小学1・2年生のすべての教室に、学校における生活、学習の基本的な習慣等について担任を補佐する小学1・2年生支援員を配置している他、義務教育において重要な学年である3・4年生では、算数や国語などの授業をクラスを分けて少人数で授業をするための少人数指導員の配置、背筋を伸ばし授業へ集中する態度を養うことを目的に1・2年生で書道科の授業を導入しています。また、全小中学校に特別支援教育の補助員や図書館に教員以外の図書館補助司書なども配置しており、教員や保護者からも高い評価を頂いております。

また、平成12年に行った行政改革の取り組みで、これまで町長部局が所管してきた児童福祉に関する業務を教育委員会に置き、保護者の立場に立った“出生から中学卒業までの窓口の一本化”を目指した「こども育成課」を設置しました。当時としては斬新なものでしたが、10年を経た現在、当初意図した「住民の利便性」から、行政内部での「子育て課題の共有化」や、「人材の有効活用」、「幼保・小・中学校との連携」、「施設整備の計画的な推進」などで成果が見られております。

   

2つの小学校で、6教室ずつ校舎を増設。長泉小学校

   

南小学校

   

小学校1・2年生を対象にした書道教室 
背筋を伸ばし授業に集中する態度を身につけます。

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地域の力を子育てに

しかし、子育てにおいて行政がやれることには限界がありますし、地域全体の関わりの中で子どもを見守り、育てていくことが本来の姿であると考えます。当町でも、大変多くのボランティアの方々が、子育てに関わってくれています。

乳幼児を抱える世代が対象の事業において、子育て経験の豊富なボランティアによる託児サービスを始め、生涯学習の分野で小・中学生を対象とした事業での関わりが目を引きます。

その中でも特記されるものとして、「放課後子ども教室推進事業(通称:のびのびスマイル)」や「長泉町少年少女サークル(通称:はぴはぴサークル)」があります。

外遊びの機会が減少し異学年交流の機会も減少していることもあり、毎週水曜日に3小学校を会場に実施される放課後子ども教室を楽しみにしている児童は多く、保護者から好評を得ています。

また、少年少女サークルは、土曜日午前の時間を利用し、小・中学生が多様な体験を通じ、豊かな感性を育んでおり、なぎなた、筝曲尺八、大正琴、ハーモニカ教室などの講座が用意されており、実行委員を務める地域ボランティアとの楽しい時間を過ごしています。

中学校の授業活動として行われる野外教室では、同窓会が中心となり、沢登りや竹炭作りなど様々な体験コースを設定し、子どもたちと会員が一緒になって活動しております。

この他にも学校教育の現場において地域の力を借りることも多々ありますが、最近では、行政主導ではなく、地域で子育て支援をしていく新たなボランティアの動きが見られ、町としても大変心強いものがあります。

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おわりに

人口減少、少子高齢化、企業誘致や道路整備に追われる時代ではない・・・これが現在の自治体間での共通認識かもしれません。しかし、その地域によって課題はまちまちであり、自治体における施策の優先順位もおのずと違ってまいります。住民生活の現場の声に耳を傾け、必要なこと、できることを、タイムリーに進めていくことの必要性はいつの時代でも同じと考えます。

平成22年度の予算編成にあたり、町政の基本姿勢を「住民目線の行政の推進」とし、「健康」「環境」「子ども」を重点においた施策を展開してまいりたいと考えております。行政内部では他部署を巻き込んだ「施策の総合化」が、そして地域・住民を巻き込んだ「協働」が、これら重点課題への取り組みの鍵を握るものだと考えています。

子どもの笑顔は、町にとってかけがえのない財産であり、住民の活力の源になるものです。これが絶えないまちづくりに今後も取組んでまいります。

   

毎月1日に発行する町の広報で、1歳6ヶ月検診にきた子どもたちの写真を掲載しています。

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