全国町村会

”協働型まちづくり”で未来を拓く
〜富山大学とも連携協定を締結〜

富山県舟橋村

2698号(2009年11月2日)
総務課 吉田昭博

日本一小さな自治体として知られる舟橋村(富山県)。平成の大合併でも独立の道を選択しました。しかし、村政はいま大きな曲り角を迎え、"協働型まちづくり"を重要な柱のひとつとして取組んでいます。富山大学と包括連携協定を結び、まちづくりを展開する舟橋村のいまを紹介します。

日本一小さな舟橋村

舟橋村は、富山平野のほぼ中央部に位置し、県都富山市まで車で20分、電車で13分という利便性の高さと、立山連峰を一望できる恵まれた自然環境にある緑豊かで住みやすい文化的な都市近郊農村です。面積が3.47平方km、縦,横それぞれが、約2q。村中心部に位置する小中学校への通学距離は1qと非常にコンパクトな村で、全国各地で小規模自治体の合併が進んだことにより、北陸3県で唯一の村になるとともに、平成18年3月27日には日本で一番面積の小さな自治体となりました。

また、立地環境の良さを活かして平成元年から取組んだ人口増対策が功を奏し、平成4年の人口1,450人が、平成19年には2,900人を超え、平成17年度国勢調査では、人口増加率24.2%と全国第2位になり、村民の平均年齢が38歳と非常に若いのが特徴です。

日本一小さな舟橋村ですが、それはこれまでに"タウンミーティング"等を開催し、地域の現況と住民の意見を十分に検討して選択された結果としてある、舟橋村なりの地域づくりの姿なのです。

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身近な人口増加による環境変化

平成の大合併では近隣市町村の合併が進む中、独立独歩の道を選択した舟橋村とは言え、いま新たな地域づくりの途上にあります。元来舟橋村は人口約1,400人程度の小規模自治体として、住民も職員もお互いの顔が見えるといった、特異な信頼関係のもとでまちづくりを推進してまいりました。その後、平成元年にスタートした村の人口増対策により倍増の3,000人弱となり、平均年齢も38歳と若返りましたが、一方では住民の半数以上が村外からの転入者となり、地域に対する愛着や行政に対する関心の希薄化、コミュニティの断片化といった、従来通りのまちづくりでは困難な状況をも生むこととなりました。

転入者の増加で村では子供たちの姿も多く見られるようになった

確かに平均年齢は若返り、子供たちの姿も多く見られるようになりました。しかし、いまだ自治体としてみればこんなに小さいにも関わらず、急激な人口増加はそれまでの地域秩序に倣った行政の有り様に変化を求め、新たな地域づくりへの対応を迫られることになったのです。合併の道こそ選ばなかった舟橋村ですが、地域構成の急激な変化によって、村政は大きな転換点を迎えていると言ってよい状況にあります。

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"協働型まちづくり"がキーワード

舟橋村が直面しているのは、第一には地域構成の急激な変化によって、旧来からの集落と新興宅地に在住する新旧住民に分断されたコミュニティの課題です。それは単に交流促進が必要というだけではなく、新旧の集落コミュニティで、一方には高齢者が多く、一方には若い世代が集中するといった、地区毎に構成世代が分かれていることによる地域ギャップが発生し、地域活動にも影響が現れ始めていることです。

「ふなはしまつり」は毎年2千人以上の来場者で賑わう

そして第二には、上記とも連動することですが、将来の急激な高齢化への懸念です。これまでの転入者は、若い夫婦世代が多くを占めていました。つまり、新たな養育世代の転入者が続かない限り、子供の成長に合わせて高齢化率は一気に上昇していきます。しかも、現時点において地域全体では若返ったものの、年齢構成は18歳から28 歳までの人口が少なくなっています。これは大学進学等で県外へ流出・就職していることが第一の理由と考えられる県レベルで検討すべき課題ですが、今後当地では高齢化を加速する大きな要因となります。これらは、現在の住民はもちろん、新たな転入者をも惹きつけ、またUターンを促すだけの舟橋村の魅力や居住満足度に関わる課題です。

ここに求められるのは単なる行政発想ではなく、まちづくりの過程において、住民の理解を得ながら、その意思が充分に反映されるものでなければならないことです。そして住民発想による知恵と協力を得ながら、地域が一体となって取組むことを必要としています。自分たちのまちは自分たちが創るという意識のもと、行政と住民が真に協力しなければ実現できないものです。

将来を見据えてどのようなまちづくりを展開すべきなのか。これからを考える上で、"協働型まちづくり"は舟橋村にとって、他の自治体にも増して重要な意味を持つキーワードです。

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協働型まちづくりと富山大学との連携

舟橋村が抱える大きな課題に取組んでいくためには、お互いの顔が見えるかつての地域の姿のように、まず礎となる住民との協働関係を構築していくことが必要です。それは地域への関心の芽生えを促し、住民参加のきっかけを提供し、そこから住民主体による自発的活動の輪を育むことです。これが地区を越えた取組みになってこそ、協働型まちづくりの土壌となり、ひいては舟橋村の置かれた現状を打開することに繋がるものと考えます。

そこで、まず最初に取組まれたのは「村民憲章」の策定です。一般公募による住民参加を呼び掛け、住民視点で舟橋村について見つめ直す機会としました。作業にあたっては富山大学の協力のもと、ワークショップ形式で実施し、個々の考え方を作業グループ内で充分に議論を重ねられたことから、参加者の満足度も高いものとなりました。また、富山大学との取組みの新鮮さと、成果が実感できたことから、継続的な連携を求める声が上がり、その結果、平成20年2月15日には「舟橋村と富山大学における地域づくり包括連携協定」を締結するに至りました。

富山大学とは包括連携協定で継続的な協力体制を構築

富山大学との連携事業の目的は、大学の有する専門的知見や人材育成のノウハウを活用しながら、協働型まちづくりの展開を促進することです。その対象は、住民のみならず行政職員も含み、地域構成主体がテーマを共有しつつ、双方からの意識改革と行動に移されることを目指しています。そして、特に住民に対する取組みでは、年度毎にテーマを設け、第一に、まちづくりへの意識の芽生えを促し、有意な人材を発見すること。第二に、参加のきっかけを提供し、そこから持続的な活動組織を組成すること。以上を目指して、取組まれることになりました。なお、講師はすべて富山大学の教員が担当し、指導にあたっては住民と接する時間も多く割いていただき、密な関係を築いています。

◆ふなはしまちづくり塾の開催


ふなはしまちづくり塾の目的は、まちづくりへの意識の芽生えを促し、まちづくり活動に向けて有意な人材を発見することです。連携事業の初年度となる平成20年度には、地方分権改革を踏まえた村の方向性や他自治体のまちづくり事例等をご紹介いただきながら、60名もの参加者とともに「協働型まちづくり」について理解を深めました。

◆まちづくり協議会の設置


まちづくり協議会の組成は、ふなはしまちづくり塾の受け皿であり、年度テーマに設定された取組みを通じて、まちづくりへの参加のきっかけを提供することにあります。同時に、そこから持続的な活動組織が育まれることを狙ったものです。初年度は、村の最大イベントである"ふなはしまつり"をテーマに設定して開始しました。

"ふなはしまつり"は、毎年2,000人以上の来場者があり、露店等の出店も多く、来場者には非常に満足度の高い夏祭りです。しかし、これまで運営を一手に担ってきた商工会スタッフの高齢化や人員不足が深刻となり、開催が危ぶまれる状況にありました。

そこでこれまでの運営スタッフに、ふなはしまちづくり塾を通じて公募した住民を加え8名で、「ふなはしまつりまちづくり協議会」を組織しました。

来場者である住民の意識調査やこれまでの開催の変遷を踏まえ、今後の課題やその具体的な解決策についてワークショップが開催され、まつりの目的・コンセプトをより鮮明にすることの必要性や、村民誰もが携われるような仕組み・機能の確立など運営体制の整備について、更には、次年度に向けての実施戦略などについて話し合われました。

まちづくり協議会では「ふなはしまつり」の今後のあり方について議論を重ねた

この取組みは、その後新たに8名の参加者を得て総勢16名に拡大し、1年を経過した今年度のふなはしまつり開催で実を結びました。

ここでの成果は、1年のうちに活動の輪が拡大したこと。また、「舟橋村を知る日」をテーマに開催され、村にまつわる歴史や特徴をクイズ形式で出題する「クイズ村民SHOW」の実施、その他に露店関係者のPR時間を設けるなどで、まつりのテーマである「舟橋村を知る日」を具現化し、企画の点でも住民アイディアが活かされたことです。さらに言えば、前年の準備会合が4回であったのに対し、今年は実に21回を数えたにも関わらず、終了後の運営スタッフからは、「疲れたけど楽しかった。でも来年の課題も見つかった。」と声をかけられ、私自身も翌年への意欲が湧いてきたことでした。

もちろん、来場者は2,000人を超える盛況で、企画から運営まで、多くの方が加わり、真に住民が中心になったまつりであったと思います。

◆行政職員の意識改革と実践


ここまでは住民主体の取組みをご紹介しましたが、協働型まちづくりは住民だけが取り組むものではありません。むしろ、行政職員の取組みこそが大切だと思っています。これからの舟橋村職員は、住民の意見・要望をまず聞き、現在の行政の状況を十分に説明したうえで、どのようにしていけばよいのかを一緒に考えていく姿勢を持たなければいけません。そのための「協働」に向けた「職員研修」を実施しています。

昨年は、「協働型まちづくり実現のため、職員は何を考え、どのように進めていけばよいのか」をテーマに仮想行動計画づくりの演習を実施し、職員の意識改革を目指しました。ここでも富山大学の協力のもと、ワークショップ形式での、考えること、議論することを中心に進められ、職員にとっては大いに啓発される機会となりました。

今後はこの仮想的な計画づくりを一歩進め、自らの発案を実践に移す機会を用意することで、意識改革の深化を図っていく予定です。その方法論としては、先に紹介した「ふなはしまちづくり塾」において、各職員の発案計画に対し住民評価を受ける機会を設けるなど、職員提案がどの程度住民に支持されるのか、それによって事案を予算化し、実現させることが検討されています。

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小さいなりのまちづくりに向けて

舟橋村の協働型まちづくりは、始まったばかりの試行的な段階にあります。

しかし、小さいながらもいくつかの成果を実感するにつれ、この取組みを地域を挙げた当たり前のものにしていけると信じています。

先にも述べたように、舟橋村は大きな不安要因を抱えています。そのためにも、協働型まちづくりを通じて、住民とともに解決策を見出していくことができる施政のあり方を形にしていきたいと思います。また、その活動の中からこそ、舟橋村の魅力というものも、浮かび上がってくるのだと考えます。

そして、小さいからこそ可能な住民主体のまちづくりが、舟橋村なりの形で実現できるものと考えます。

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