全国町村会

"連携"が合い言葉 協働で創る住みよい町

千葉県大網白里町

2682号(2009年6月8日)
全国町村会広報部 黒田治臣

「協働」が、近年、まちづくりのキーワードになっている。住民ニーズが多様化する一方、少子・高齢化、核家族化、過疎化等により地域の連帯が弱まっていること。さらに自治体財政の逼迫で、こうした社会情勢の急激な変化に対応できない様々な問題が生じてきている。こうした「協働のまちづくり」を実践する拠点として、このほど、千葉県大網白里町で「大網白里まちづくりサポートセンター」がオープンした。「協働のまちづくり」で、同町はこれからどんな町をつくろうとしているのか。
この春、新たな一歩を踏み出した町の様子と、協働の現場を取材した。

人口増で住民活動が活発化 「協働のまちづくり」へ

千葉市から電車で約25分。九十九里平野のほぼ中央に位置する大網白里町は、東京都心から50〜60kmの距離にある郊外型ベッドタウンだ。JR等交通アクセスの向上で、昭和50年代以降都心からの転居者が急増し、2万人だった人口は5万人にまで脹らんだ。これに伴い、町内に住む住民も多様化。古くから地域の自治を担ってきた区や自治会などに加え、NPOやボランティア団体など小規模なグループの活動が活発化するようになった。

まちづくりサポートセンター4月にオープンしたまちづくりサポートセンター。関係住民の長年の夢が実現した。

こうした状況に対応するため、町では平成13年に策定した第4次総合計画で「住民の参画と共存できるまちを創る」と宣言。平成20年7月には「大網白里町住民参加・協働のまちづくり委員会」を発足させ、官民が一緒になって協働のあり方について検討を重ねてきた。

その成果として、この4月、町では「協働のまちづくり推進計画」を策定。今後取り組んでいく施策を具体的に示した。同計画では今後3年間を学習期間と定め、協働への理解を深める準備期間と位置付けるが、「大網白里まちづくりサポートセンター」は、その拠点としての役割も担い、この春のオープンを迎えた。

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すべてが手作り 民設民営の活動拠点

チラシ団体やイベントのチラシで情報交換

サポートセンターは、役場からほど近い場所にある空き店舗を利用し、平成21年4月4日にオープンした。設立に係わった住民は、約3年にわたり、先進地の視察や学習会を重ねたほか、町内で100を超える団体の聞き取り調査などを実施して、オープンにこぎつけた。

立ち上げに際しては、8人の理事が運営資金を出し合い、テーブルや椅子、パソコン、コーヒーカップなどの備品は全て寄付でまかなった。運営は朝の9時から夜の8時まで。その11時間を、無償ボランティア18人による交代制で回している。

活動内容は、テーマを決めて情報交換をする協働サロンの開催、講座によるボランティアの養成、まちづくりに係わる情報の共有と発信など。手作りの広報誌「きずな」も毎月発行する。

個人・団体の交流や、行政との橋渡し、情報の収集・発信が当面の活動テーマだ。

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協働の広がりを生むカギは地縁組織との連携

MY箸特産品として施策した「MY箸」

取材に訪れた日、サポートセンターは20人ほどの住民の声で賑わっていた。「自らやれることをやれば、行政も動く。積み上げていけば変わることを実感した。」設立に向けた準備段階から携わってきた理事の野老真理子さんは、長年の夢を実現させたことに胸を張る。オープンしてまだ2ヶ月足らずだが、開設当初からのPRが功を奏し、現在31を数える加盟団体は、徐々に広がる気配を見せている。

サポートセンターの黒川有昌所長は「サポートセンターはあくまでも民主導でできた施設だが、行政の支援も不可欠。様々な問題を民間と行政の連携で解決していく姿勢が大切だ。」と協働の理念を語る。今後は、行政と住民の連携を密にしながら、住民の一部にとどまっている協働の熱意を町全体に広げて行くことが課題だ。

これに対し町企画政策課は、「協働のまちづくり」が浸透していくかどうかは、今後3年間の学習の取組み方にかかっていると見ている。そのため今年度、住民向けに全6回の講座を開催するほか、職員への意識改革にも積極的に取り組んでいく。

さらに、「協働のまちづくり」を浸透させるためには、地縁組織である区や自治会の働きが不可欠となってくる。町内には102の区と15の自治会があり、多くの住民にとっては最も身近な組織となっているからだ。町担当者も「地縁組織と住民活動団体との連携は、「協働のまちづくり」を大きく進展させる可能性を秘めている」と期待する。

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「協働のまちづくり」で目指すものとは?

黒川所長は「当面は個人・団体の交流、行政との橋渡しが主な活動テーマとなるが、最終的には住民の連携で明るく住みよい町にすることが目標」と語る。

例えば、高齢者は毎日の買い物や自宅での電球交換などができなくて困っている場合がある。そうした、行政だけでは対応できない「小さな福祉」の問題をすくい上げ、サポートセンターを基地に住民の連携でケアすることも考えている。また、将来的には、高齢者の買い物サービスを地元商店街でまかなって街の賑わいづくりにつなげたり、特産品の開発・販売などで地域経済の活性化にも貢献したいという。

「まちづくりは個別施策ごとに考えてはダメ。人間の暮らしに係わることは全てつながっている」と黒川所長は強調する。日々の暮らしの中で生じる様々な問題に、きめ細かく対処していくため、行政と住民、さらに住民同士の連携をどれだけ広げることができるのか。大網白里町の息の長い取り組みは、まだ始まったばかりだ。

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