全国町村会

未来への夢をつなぐまちづくり
〜景観条例で魅力あるふるさとを目指す〜

鹿児島県長島町

2650号(2008年8月25日)
町長 川添 健

1 町の概況

長島町は、鹿児島県の最北端の町として薩摩半島の北西部に位置する阿久根市と黒之瀬戸大橋で繋がっており、県都鹿児島市との距離は約100q。 長島(90.57平方q)、伊唐島(3.05平方q)、諸浦島(3.87平方q)、獅子島(17.04平方q)の有人4島のほか大小23の無人島からなり総面積は116.2平方q。東シナ海、八代海、長島海峡等に囲まれ、北部一帯は雲仙天草国立公園に指定され豊かな自然に恵まれた地域です。

黒之瀬戸大橋南の玄関口、黒之瀬戸大橋

長島は古くから人の居住が認められ、多数の古墳が発見されています。室町時代までは肥後に属していましたが、島津氏の進出により1565年に同氏の支配するところとなり、江戸時代は薩摩に属し長島郷となりました。

明治22年の町村制施行により、長島郷は2村に分離され、やがて東町と長島町の町制をたどり、平成18年3月20日合併により再び新「長島町」としてひとつになりました。

基幹産業は農業と漁業で、就業者の総数に対する割合は43パーセント。主な農産物は赤土ばれいしょ、甘藷、肉牛、紅甘夏などの柑橘類、水産物は、日本一の生産を誇る養殖ブリ、天然の海峡アジ、萬さばの他、アオサなど海草の生産も盛んに行われています。人口は、平成17年国勢調査で11,958人、近年も減少傾向は続いています。

交通は、長島の西海岸を国道389号、東側を主要地方道葛輪・瀬戸線が北上し、伊唐島と長島は伊唐大橋で長島と諸浦島は乳之瀬橋で結ばれ、唯一獅子島が有人離島となっています。

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2 合併後のまちづくり〜キーワードは夢〜

元々長島地域は離島であり、行政区域が分かれていても文化的、人的つながりは強かったものの、これまでのまちづくりの手法は必ずしも同様ではありませんでした。そこで、この2町の合併を契機として、まちづくりの基本を、旧町間の差異、地域間の格差解消を主眼として、長島町総合振興計画を策定しました。

針尾公園から雲仙天草国立公園内にあるブリ養殖生簀群を望む針尾公園から雲仙天草国立公園内にあるブリ養殖生簀群を望む

計画は、基本理念を「夢と活力があり、住民一人ひとりを大切にする福祉のまちづくり」として、フル・デュー・プラン(Full DEW Plan)と名付けました。「Full」は、満たす、「DEW」は、夢(Deeam)・活力(Energy)・福祉(Welfare)の頭文字をとったものです。また、「dew」は、小さな水滴という意味もあります。小さな水滴を町民一人ひとりに準え、小さな水滴も集まればやがて大河となるように、町民一人ひとりは小さく弱いけれど、全町民参加のもとで施策を推進することにより、大きな力となって町民の願いを満たしていこうという意味を込めています。町の将来像として、@夢を育むまちA快適で利便性の高いまちB誰もが安心して暮らせるまちC活力あふれるまちD自然と共生するまちE健やかに暮らせるまちF魅力ある人材を育むまちG町民が主役のまち―等を描き、その実現に向けた施策の基本方針として次の4つの柱を立てています。

・夢と希望に満ちたまちづくり(社会基盤)
鹿児島・熊本・長崎三県架橋や獅子島架橋の実現など夢と希望の持てる町として発展して行くために、粘り強い行動を続けるとともに一層の社会基盤の整備を図る。

・快適で住みよいまちづくり(生活基盤)
自然環境資源と人とが調和し、誰もが安心して暮らせる生活環境の整備を図る。

・活力あるまちづくり(産業の振興)
恵まれた豊かな自然を活用し、創造性あふれる産業の振興を図り、本町経済を浮揚させる。

・健康で生きがいのもてる福祉のまちづくり(医療福祉)
全ての町民が生涯にわたり健やかに暮らせるまちづくりを進める。

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3 合併後のニュー・アイデンティティ

・長島町ふるさと景観条例
平成18年9月には町花に水仙、町の木にツバキを定め、更に平成19年3月、町の豊かな海・山の美しい自然や歴史的文化遺産を生かしながら、地域住民の意見を踏まえたうえでふるさと景観づくりを推進し、魅力ある個性豊かな住みよい町を創出しようと、「長島町ふるさと景観条例」を施行しました。また、町長部局の事業推進課に景観係を新設し、景観形成に関すること、屋外広告物に関すること等景観行政を一元化しました。

景観づくりの具体的目標としては、@町花・町木を中心とした花と緑があふれるまちづくり。A雲仙天草国立公園区域の景観を守り育てる運動推進。B東シナ海の夕日と段々畑、黒之瀬戸の渦潮、離島の島々、養殖生簀群、風 力発電風車、鶴の北帰行を観光交流に生かす展望公園づくり。C自然生物にやさしい水辺環境等の保全。D石積みを用いた自然にやさしい道づくり。E住民総参加の沿道修景づくり。F里山の原風景を生かした魅力ある景観づくりーの7つを掲げています。

・石積みと花のまちづくり
地域には、安山岩の転石が無尽蔵にあります。道路工事や畑地造成などで排出されるそれら大小様々な形の天然石は、これまでも、宅地の石積みや段々畑に利用されてきました。本町の建設業者は石積みの技術も高いことから、この地域の特性を生かし、町道の新設改良時には、排出される自然石を法面に利用することとしました。道路自体が周りの風景とマッチし、やさしい表情を見せることに着目し、国道・県道の改良においても景観づくりへの配慮を要請することとしています。

天然石を法面に利用した道路天然石を法面に利用した道路

・ふるさと景観協定
美しい魅力あるふるさと景観づくりに協力し、活動しようとする団体等と協定を結び支援を行うこととしています。現在14団体が協定を締結。花壇には四季を通じて花が咲き誇り観光客や地域の人々の目を楽しませています。

・住民参加による花の植栽
平成19年度当初、町花水仙は旧長島町の路傍や公園の植栽数が約50万球ありました。集落の活動や役場職員の終業後のボランティアによる2万球の植栽により、増殖分を加算すると平成22年度末には55万球になる見込みです。春先の国道・県道沿線の水田に植栽した菜の花は、2.5ヘクタールで鮮やかな黄色の絨毯を敷きつめたようです。また、街路には、約1万本のフクロナデシコが深いピンクの花を付けました。

国道・県道沿いの水田に植栽した菜の花国道・県道沿いの水田に植栽した菜の花

・島内周遊観光地づくりへの課題
2011年の九州新幹線全線開通や、整備が進む南九州西回り自動車道など、地域的には大きな魅力を秘めています。今後、交流人口の拡大を図るには、町の基幹産業である農業・水産業との融合が必要ですが、そのためには、島内を巡る周遊観光の拠点作りが課題となっています。南の玄関口である黒之瀬戸大橋のたもとには駐車場と特産品を販売する物産館の建設を計画しています。 また、出水平野に飛来する鶴は、春には長島上空を旋回しシベリアへの旅が始まりますが、島の中央部に位置する行人岳は鶴の編隊を真下に見下ろせる絶好のポイントになっています。さらに、中央高地の稜線に並ぶ国内では最大級(50,400kw/h)の発電量となる風力発電施設は、平成20年秋の営業運転開始となり、環境教育の拠点ともなる風力発電展示施設を併せた「風車公園」の整備が望まれています。

長島造形美術展地域を代表するイベントとして成長した長島造形美術展

・長島造形美術展
旧東町において20年間開催してきた造形美術展は、ススキや松かさ、貝殻など身近にある環境にやさしい素材を使って造形物を製作し、その出来栄えを競うもので、製作に多くの住民が関わるため、地域づくりの面からも大きな成果が得られています。迫力ある作品群は、広く県外からの見学者も集め、地域を代表するイベントとして成長してきました。平成19年には旧長島町の住民が初めて製作から参加することとなり、新たな町の夢のあるイベントとして定着することを期待しています。

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4 住民一人ひとりを大切にするまちづくり

・福祉事務所の設置
平成17年国勢調査による65歳以上人口は3,730人、高齢化率は31.2%です。少子高齢化の進行は続き、平成22年33.4%、平成28年には36%に達するものと予測しています。これまでは、介護や生活保護などの手続きのため、わざわざ60q離れた薩摩川内市にある福祉事務所まで行く必要があり、住民にとっては大きな負担となっていました。そこで、県から福祉事務所設置の権限委譲を受け、平成19年4月、長島町福祉事務所を開設しました。全国の町村では4番目、九州では初めてのことです。合併により福祉分野への職員配置が可能となり、普段から町民とふれあいを持つ町職員が対応することもあり、手続きのスピード向上だけでなく、「身近できめ細やかな行政」が実現されました。

・「ともしび隊」の活躍
高齢者のみの世帯や独居老人世帯では、日常生活や安全対策に対し不安を抱きやすいことから、役場の福祉担当職員を中心に「ともしび隊」を組織。地域担当の民生委員と連携して、高齢者の居宅訪問活動を行うことで、各種の生活相談を行っています。相談内容は多岐にわたりますが、話し相手になることで孤独感の払拭に役立つなど、高齢者の方々の評判は予想以上です。現在は、消防とともに、災害時の緊急対応に備え要援護者リストの整備を進めています。

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5 世代をつなぎ夢をつなぐ

平成の大合併の中で、2町による合併を選択して2年が経過しました。

先人達が連綿と築いてきた地域の歴史や文化を今の世代が受け継ぎ、次の世代へつないで行くためには、高齢の方、私たちの世代、若い人、そして子供たちも夢を抱きながら生活できる地域であることが必要です。そのためには町の特性を最大限に生かした施策をすすめることが、未来へ夢をつなぐ鍵となります。

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