全国町村会

森林(もり)の里親促進事業を生かした森林づくり

長野県朝日村

2647号(2008年7月21日)
産業振興課 大池 守

村の概要

朝日村は本州のほぼ中央、長野県松本平の西南端に位置し、東は塩尻市、北は松本市、山形村、西に波田町、南に木祖村と境を接しています。

東西15.84q、南北9.89q、面積70.63平方qでその約87%を山林が占めています。平坦地の標高は740mから900mに展開していて、日本の屋根といわれる北アルプスと中央アルプスの接点に位置する鉢盛山(2,446m)を背にして北東面に緩い傾斜をしつつ扇状に台地が広がり、住居地、耕地をなしています。

鉢盛山に源を発した鎖川は、野俣沢、中俣沢、樫俣沢などの5大支流を集めて村の中央を流れ、両岸の耕地を潤しながら奈良井川へ注いでいます。

気温は年平均10℃前後で、最高33℃、最低マイナス14℃と準高冷地の気候です。

森林は、6,157haで、97%の5,992haが民有林です。民有林のうち人工林の面積は4,261haで人工林率は71%と県平均の49%を大きく上回っています。人工林は、カラマツを主体として構成されており、4〜9齢級が人工林の82%を占め、間伐を主体とする施業を実施し健全な森林づくりを進めようと努力しています。しかし、木材価格の低迷等による森林への関心の薄れ、森林整備の遅れが目立っており、景観や林地の保全が損なわれています。このため様々な方々から支援を受けながら森林整備を実施していきたいと考えています。

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森林(もり)の里親促進事業

地球環境の問題がクローズアップされている中、環境活動に熱心な企業の皆様にご支援をいただきながら、企業と地域の交流を深め、新しいかたちの森林づくりを進めていくため、「森林の里親促進事業」を長野県が仲人となり推進しています。
森林(もり)の里親促進事業の仕組み

○背景
・企業の社会貢献活動の高まり
・フィランソロピー(社会貢献活動)→ 社会的責任(CSR)
・行政の財政難
・間伐が喫緊の課題(長野県全体251,400ha)
・農山村の過疎化、高齢化、後継者不足

※フィランソロピーとは
フィランソロピーはギリシャ語のフィラン(愛)とアンソロポス(人類)を語源とする合成語で直訳すると人類愛、慈善のことですが、日本では「社会貢献」の意味で使われています。

○目的
・企業と市町村・地域が結びつき森林整備を行なう
・企業等の社員と地域住民との交流による山村地域の活性化

○メリット
・地域 森林整備の実施 交流等による地域の活性化
・企 業 社会貢献フィールドとしての活用 アダプトサインの設置等イメージアップ 社員・家族の福利厚生の場 企業イメージにあった森林づくり(CO2、水源の森等)

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事業締結県内第1号

平成15年12月、朝日村は森林の里親促進事業で、清涼飲料水製造販売のダイドードリンコ轄b信支店(山梨県)さんと里親契約を締結しました。締結は県内で第1号となり、、村は、同社から10年間にわたり年間50万円の支援を受け、間伐・除伐など森林整備に役立てます。ダイドードリンコ鰍ウんは、自動販売機による飲料販売を中心とした企業であり、自動販売機の省エネ化などエコロジーに配慮した取り組みを行なっています。

この里親契約により、村は、森林の所有者等関係者と調整を図り、森林整備が実施されるよう努めるほか、契約企業に対して森林の利活用を図るための便宜を図り、企業との交流を積極的に進めます。また、企業は森林整備が計画的に行われるよう資金を支援すると同時に、村との交流を積極的に進めます。

さらに、森林はCO2を吸収しジュースやミネラルウォーターの基となる綺麗な水も、森林から供給されていることを認識し、少しでも森林にお返ししたい、そのような気持ちから農林水産省林野庁管轄社団法人国土緑化推進機構の認定を受け、自動販売機から「緑の募金」ができるシステムを全国に展開しています。また、募金だけでなく、実際に森林整備を行ないたいという思いから、この事業に応募し、県の紹介で私ども朝日村を選んでいただき今回の事業締結となりました。

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森林整備開始

他の多くの事業は、整備資金の援助にとどまっていますが、ダイドードリンコ鰍ウんは、甲信支店の開発課スタッフを集めて、「森林整備隊」をつくり実際に森林整備をボランティアで行なっています。契約翌年の4月から、村の「あさひプライムスキー場」隣の森林を「ダイドードリンコプライムの森林」として整備を始めました。約9ヘクタールのヒノキの私有林です。以前は、手入れが行き届かなく、枝が張り森林の中は暗く木の成長を妨げていました。間伐をしない森林は、下枝が枯れたり、光合成も十分にできないため、幹が太くなれず根も十分に張ることができないため、森林のもつ様々な機能が果たされなくなってしまいます。風雪害や土砂崩れの原因にもなります。

作業は、毎年4月から11月まで月1回のペースで行なわれ、間伐作業、枝打ち、下草刈などを実施。森林は見違えるように明るく変身しました。また、村のクラフト体験館を利用し、間伐作業で出た間伐材を使ってプランター作りも行ないました。このときは家族も招いての作業となり、親子で協力してプランターを作りました。このとき出来上がったプランターの一部は村の公共施設に寄贈していただきました。

椎茸の駒打ち作業で交流椎茸の駒打ち作業で交流

この他に、県の移動式粉砕機(チッパー)を使い、間伐材をチップにして村の公園の遊歩道に撒いて整備したほか、今年の5月には、朝日小学校の児童(みどりの少年団)と間伐材を利用した、椎茸(しいたけ)の駒打ち作業を共同で行ない交流しました。ドリルでの穴あけや重い木の運搬など、子どもたちだけでは大変な作業も楽しくできたようです。

森林整備隊の皆さんも、当初は普段ほとんどやらない作業に戸惑いもありましたが、今では簡単な技術も身につき作業を終えた後の爽快感から次回の作業を楽しみにしているようです。ダイドードリンコ轄b信支店さんは、平成18年に長野県ふるさとの森林づくり賞表彰式において「森林づくり推進の部・長野県林業改良普及協会長賞」を受賞しました。今までの活動が評価されたものです。

村は、手の入らなかった森林が整備され、ダイドードリンコ鰍ウんは、森林整備作業で社員に連帯感が生まれ、従業員の福利厚生としての効果、社員の環境学習の場としての利用など、この事業は双方にいろいろな事業効果をもたらしています。

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今後の課題

長野県でも、今年4月1日から「長野県森林づくり県民税」を導入しました。課税期間は5年間。森林を健全な姿で次の世代に引き継ぐため、間伐等の森林づくりを集中的に行なうことにしています。県も森林の大切さを再認識し、森林づくりに力を入れています。

朝日村でも、県森林税の事業も活用し森林整備を進めていきます。森林の里親促進事業は、10年契約の半分が過ぎ基礎的な部分が出来上がりつつあります。里子である朝日村は、今後も県のサポートを受け、ダイドードリンコ鰍ウんのご協力をいただき森林づくりを進めていきたいと思います。最近、環境問題への関心が高くなっています。村の中にも環境活動に取り組んでいる方がたくさんいます。森林づくりも環境活動の一つです。この森林の里親促進事業の活動を通じて、村民も森林づくりへ関心を持ってもらい、地域に根ざした活動が続けられるよう努力していきます。

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