全国町村会

自治体経営はジャストインタイム!
〜利益を生む組織管理に向けて〜

  

桜と図書館


愛知県蟹江町

2634号(2008年3月24日)  愛知県蟹江町長 横江 淳一

町政クリニックから6政策の処方箋

私は、平成7年から議会議員となり、平成17年3月、任期を半ばにして町長選に出馬しました。そのときに町政をクりニックし、その町政処方箋として6政策(@行財政改革、A少子高齢化社会の福祉、B自立できるまちづくり、C町村合併、D防災防犯対策、E生活基盤整備と商工農業の振興)を掲げ、多数の方々からの支援を受け、町長に就任しましたのは、平成17年4月2日です。町長に就任してから、早3年目を終えようとしています。

平成20年度は、私の集大成となる任期最後の年として改革を主体とした処方箋の仕上げの重要な年であると思っています。

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観光資源を生かした行政経営

明冶21年(1888年)4月に市制町村制が公布、翌年4月に施行され、10月には蟹江町が誕生しました。

濃尾平野の南端に位置する蟹江町は、風光明娼な水郷地帯として長閑な田園風景と賑やかな漁村で活気づいていました。

昭和34年(1959年)に襲った伊勢湾台風は、町の産業である農業に甚大な被害をもたらしましたが、高度成長期と名古屋からの利便性の良さも相まって民間による宅地開発が盛んになり、徐々に名古屋のベッドタウンとして発展していきました。

更に土地改良・土地区画整理事業の基盤整備が進み、昔の水郷の面影はなくなり、先人の築いてきた風景やくらしが様変わりしていきました。

そこで、再び蟹江の水郷景観と環境を蘇らせるために、「水郷の里再生計画」が、第2次蟹江町総合計画の「まちづくりの戦略プロジェクト」として位置づけられました。

この「水郷の里再生計画」が、平成16年12月に内閣府から地域再生計画「水郷の里“蟹江” 再生計画」として認定を受けたことから、この先人の知恵を更にまち再生施策(地域再生・都市再生)へと住民とともに力を注いでいくことが、私に課せられた役目だと思っています。

それには、まだ残る河川の魅力を活かし、貴重な観光資源でもある55度の天然温泉を活用し、平成18年度に設置した足湯とともに、未だ光を見ていない歴史的遺産・文化の発掘にも力を注いだ観光施策で、「小さくともキラッと光る蟹江町」を実現して行きたいと思っています。

利益を生む施策へと展開を図り行政経営手法の取組みに向け、改革を手がけてきたところであります。

   

花菖蒲

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足湯設置が意外な効果を

平成18年度に、民間の温泉施設の敷地と天然温泉を無償で提供してもらい、「天然かけ流しの足湯(13人ぐらい)」を設置しました。設置費は「財団法人日本宝くじ協会」の助成制度を活用して町からの持ち出しはゼ口で商業・観光の活性化一を図りました。これが人気を呼び、「足湯で見す知らずの人と数分で仲良くなれる」とか、また、「温泉の効能もあって関節痛が治った」とか、なかなかの評判でほとんど満員(平日は200人から250人、休日が250人から300人が利用)の状態です。

このことから、私も改めて蟹江の温泉の効能の再認識をしたところですし、住民にも良さを知ってもらいたいと思っています。この資源を観光や健康づくりに使わない手はないと考えているところです。

足湯が作用してか敷地と天然温泉を無償で提供していただいた企業からは、お陰で入湯する温泉客も増えたと喜ばれています。

   

足湯の風景

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幹部はマネージャー、提案型の組織へと改革を

行政管理から行政経営へと変革させることは容易ではありません。そこで、課長以上を「マネージャー」と呼び、「マネージメント感覚を持って人を動かす」意識を浸透させようと様々な施策と一緒に手がけているところです。

観光施策からは、入湯税の増収策を考える中で、今ある高齢者福祉の拠点である町の公共施設の「総合福祉センター」と「総合福祉センター分館(憩いの家)」の老朽化か進み、改築を迫られています。

この公共施設は温泉施設を備えており、沢山のお年寄りが温泉浴を主に利用しています。

私は、ただ単に公共が建て替えるのではなく、これから団塊の世代が高齢者となって利用か増えていくことを視野に入れ、町内の民(企業)の温泉施設を利用した高齢者福祉策を考えるべきだと思っています。

公共施設建設を極力抑え、民とのコラボレーションで、民の施設を活用することで入湯税を増やすという財源確保施策への展開を進めたいと検討しています。

このように、行政経宮にはマネージメントが必要であり、また、既成概念に捉われずに様々な提案が出てくる組織へと改革を進めていくととろです。

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観光の拠点「川の駅」構想へ

行政改革は歳出削減はかりではないという考えが私の持論です。限られた財源の中で、新しい住民サービスを提供していくためには、今後、事務・事業や公共施設の管理運営のあり方を考え、廃止、統合などによって、どう転換するかだと思っています。

今、整理統合によって空いた土地を観光の拠点とする構想を描いています。

それが「道の駅」ならぬ「川の駅」構想であります。

足湯(有料)と川沿いの風景を楽しみながら、町の歴史や文化に触れられ、地元の特産品の展示・販売コーナーで楽しめる交流の場所づくりであります。

そこは、ガイドボランティアの拠点があり、できたら管理運営もボランティアでと考えています。20年度中に構想を固め、建設に向けて進めたいと思っています。

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観光散歩マップで町の良さを住民に再認識してもらいたい

ガイドボランティアの協力を得て、天然温泉と水郷・歴史の町〜歴史と伝統の息づく町・文人の足跡を訪ねて〜をキャッチフレーズに観光散歩マップを町観光協会で作成しました。

@木曽義仲と巴御前ロマンの寺コース、A寺社・史跡めぐりと温泉コース、B水郷と文学の里散策コース、B足湯といつか見た水郷の里コース、Dかくれた歴史の町と温泉コース、D佐屋川創郷公園散歩コースでハイキングが楽しめるマップです。

町民の人にぜひ蟹江を再発見・再認識をしてもらうというねらいであります。

また、私鉄が行うハイキングは、観光協会とのコラボレーションで実施されますが、町外から1,000人以上の参加者があり、回数を重ねるごとに増えてきています。名古屋のベッドタウンとして今後も成長する町に、新たな息吹が民と行政の協働で動き始めたところです。

   

観光散歩マップ

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住民とは膝を突き合わせ、ニーズ対応にはスピードアップを

住民には町長に就任以来、膝を突き合わたまちづくりミーティングを町内会(30町内会)単位で行っています。意見や苦情をもらいますが、町政の出来事や将来のことを伝えてきたこともあって、「行政が身近なものとなった」と住民の意識が変わってきました。

まちづくりミーティングは、19時半から21時まで各町内に出向いて行います。副町長が取り回しをし、町長が全て答えます。即答できないことは後日町内会長へ文書で返し、本人に伝えてもらう対応をしています。

要求・要望に対して、事務局(行政改革推進室)が関係課に翌日文書で伝え、スピード対応を原則としています。関係課は、すぐにできるものはその日に、対応はするがすぐ対応できないものはいつまでに対応するのかを伝え、できないものはできないと町内会長に文書をもって返すことが、当たり前のシステムになりました。

このことが、各セクションの窓口対応などに大きな影響を与えると考えてのことです。住民からは、「大分改善された」という声を聞くようになりました。

今日の社会的状況下での住民対応は、一概に職員だけの問題ではないことは多々ありますが、それでも職員は、「住民に安心感を与えるためにどうするか」のセンスを磨き、的確で適正な判断とバイタリティをもって対応しなければなりません。

そして、誠意とスピードある対応で、「よき信頼関係を築くことが大切である」と考えています。

   

まちづくりミーティングの会場風景

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ジャストインタイム

機を逃すとできることもできません。この機をどう判断するかも重要なことで、私の信念とするところでもあります。

平成19年度は改革元年だと住民、議会議員に対して言い続けてきました。

改革の重点項目で住民に直接影響を与える受益者負担である保育料の値上げ、公共施設の使用料の見直し、水道料金の値上げについて、昨年の12月議会で関係条例を可決していただき、平成20年の4月1日から施行することができました。

税制改革の余波で、住民からは苦情が殺到していた時期で、議会からは、このような時期にと言う声もありましたが、「将来を考え健全財政を維持していくには、今しかない」と説得しました。

まさに、この機を逃したら後はないと判断したものであります。これは一例でありますが、ジャストインタイムは各分野で効果を出していると思っています。

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施策のキーワード5K

私の集大成は、2008年にあると考えています。平成19年度から重視している「3K」、つまり「観光(Kanko)」、「環境(Kankyo)」、「改革(kaikaku)」に平成20年度には、「健康(Kenko)」、「教育(Kyoiku)」をプラスした「5K」を重点に、施策として対応させていきたいと考えています。

もちろん、職員からの提案も引き出していきたいと考えています。「観光」は先に述べたことを、「環境」はゴミの減量化と地球環境を守るためのエコロジーを重点に、「改革」は、最大のテーマである行政のスリム化を目指し行政改革を推進、「健康」は、住民のみなさんが健やかに暮らせるよう『かにえ活き生きプラン21』の推進、「教育」は、『中学生海外派遣交流事業』を計画しており、現地でホームスティを通じて、文化や言語を学ぶ異文化交流体験させ、広い視野を持ったインターナショナルな蟹江っ子を育てたいと考えています。

※「かにえ活き生きプラン21」とは、21世紀における国民健康づくり運動の指針として国が策定した「健康日本21」および愛知県が策定した「健康日本21あいち計画」を踏まえ、推進するための地方計画。

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住民との協働で新しい公共を

町では、平成20年度から「第4次総合計画(平成23年度〜平成32年度)の策定に着手する予定です。

総合計画においては、町からの住民分権に備えた「住民自治」の枠組みをどう構築するのか、また、住民の参画のもとで「かにえのまち再生」をするための「協働」の仕組みをどうつくっていくかなどが検討課題になると考え、「輝来都(きらっと)かにえ・まち再生懇話会2007)を平成19年度に一部住民公募委員を含めた構成で懇話を進めてきました。

輝来都(きらっと)とは、「輝く蟹江の未来にふさわしい水郷の里を継承する都市づくり」を表すものであります。

「懇話会2007」は、蟹江町のまちづくりの課題について、住民と議会と行政が自由に意見交換することにより、町の政策や「協働」の取組みへと発展させていくための、「きっかけを作る場」として設置したものです。「懇話会2007」の活動をひとつの契機としながら、住民の自治力、行政の政策形成能力、そして住民、議会議員、行政による三位一体の協働の力を高めることが「輝来都輝く蟹江」をつくる確かな一歩となるものと考えてのことです。

今後は、「懇話会2007」から、更に「輝来都かにえ総合計画検討会議2008・2009」、そして「輝来都かにえ協働まちづくり推進会議2010〜」とシフトアップして行く予定であります。

平成20年度には「輝来都かにえ協働まちづくりモデル事業」の実現ができるよう計画をじているところです。

自冶体経営は行政のみでは限界ですので、住民との協働による新しい公共のルールづくりに手がけたいと思っています。

   

輝来都(きらっと)かにえ・まち再生懇話会の懇話風景

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