全国町村会

自治会と取り組む「元気なまちづくり」
〜住民と職員の協働が育む"共助"の芽

  

眼前に広がる田園風景と北アルプス

2615号(2007年9月17日)
町づくり推進室 大澤 孔

池田町の概要

雄大な北アルプス連峰を望む、自然に恵まれた池田町は、田園風景が広がる信州安曇野に位置し、花とハーブの里づくりを進めながら活力あるまちづくりを目指す、面積40.18平方km、人口約1万1千人の町です。

町内の小中学校をはじめとする各教育施設、道路、上下水道、公園、各種福祉施設など、生活関連施設や土地基盤整備などがほぼ終了しましたので、現在は行政の主軸をハード面から教育や福祉、産業振興などソフト面に向け行政執行を進めています。「健康で笑顔と心の通い合うまちづくり」をモットーに、18年度策定した自立プラン「まちづくり推進プラン」を軸に据え、住民と行政がまちづくりのパートナーであることをお互い認め合い、協力してまちづくりを推進する「協働のまちづくり」や、観光推進本部を中心とした「観光まちづくり」推進に積極的に取り組んでいます。

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今なぜ「協働」か?

これまでのまちづくりは、住民の要望などを踏まえ、どちらかというと行政が主体となって施策の実現に取り組んできました。また、公共サービスは主に行政が担うという考え方が、住民と行政の双方で一般的でした。

しかし、地方分権が進展する一方で、住民ニーズが多様化・高度化し、変化し続ける中、これらに対応したきめ細やかな公共サービスの提供について、限りある財源で行政がすべてを担うことは困難な状況になっています。特に、子どもにとって安全・安心な地域の実現、高齢化社会の中でどのようにして幸せに地域で生きるか、そして、地震などの災害時にどのように命を守るかなどの問題は行政のみの力では解決できず、地域住民の主体的な取り組みが求められます。

こうした状況から今後は、住民と行政がお互いに目標と課題を共有し、一緒になって考え、解決していくという協働のシステムを構築し、地域課題の解決や魅力あるまちづくりなどに取り組んでいく必要が出てきました。

住民や自治会、NPO、団体、企業など、地域で生活するすべての人々と行政が、今以上に連携を深めながら、それぞれ責任と役割を分担し、対等な立場で補完・協力し合う「協働のまちづくり」はこれからの行政執行に必要不可欠な要素なのです。

   

今後の「協働のまちづくり」イメージ

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協働のまちづくり3原則

@自助=「自分のことは自分でする」
A共助=「地域や団体は、近隣住民のお互いの力を結集して助け合う」
B公助=「自助・共助でできない町全体に関わることを行政が行う」

池田町では、これら「自助・共助・公助」の3つの原則を協働のまちづくりの基本に据えています。これは、行政が取り組まなければならないものを地域に押し付けるということではなく、個人や地元で出来ることは取り組んでもらうという役割分担を明確にするもので、公助については今後も町が行っていきます。

   

「桜並木整備事業」で桜の由来案内板を住民が設置

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まずは自治会と協働の土台づくりを

まずは全町に協働意識を浸透させることを目的に、地域づくりの根幹をなす自治会組織の充実と支援を中心に町内33自治会を対象にした事業を18年度からスタートしました。ほぼ全住民が加入し、地域に密着した住民自治組織である自治会をまちづくりの中枢に据え、自治会が地域振興のために取り組むまちづくり活動や、道路・水路等の整備・補修に要する資材経費に対して補助金を交付する「池田町元気なまちづくり事業」を導入、取り組めるものを地域で考え、その必要な経費を町が負担するという、地域のやる気の掘り起こしや協働意識のきっかけづくりとして本事業を位置付けました。

元気なまちづくり事業の主な内容は次のとおりです。

・まちづくり事業…地域振興や活性化のため自主的に取り組む事業に対し1自治会30万円を限度に交付する
・建設資材支給事業…自治会が自主的に整備・補修する道路、水路等の資材等経費に対し1自治会30万円を限度に交付する

なお、営利を目的とした事業、宗教的・政治的な催し、飲食費・人件費等は補助対象外です。

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職員も自治会を支援

住民と行政が同じ立場で協働するため、また、この元気なまちづくり事業を単なる補助金交付事業に終わらせないために、全職員が各自治会のまちづくりに参画し、活動を支援しながら、住民による自主的なまちづくりの発展に寄与できるよう、職員の自治会担当制度「自治会パートナー」も併せてスタートしました。

住民が苦手とする補助金申請等 の書類作成や、資材支給事業の工事手伝い等を通じ職員が積極的に地域に入っていき、汗を流しながらその地域の課題を肌で感じとることで、住民と職員の信頼や協働精神の相乗効果もなされ、併せて、行政への理解・職員研修・意識改革等の効果も狙っています。

自治会パートナーの任務は、自治会の実情を理解する、自治会の活動及び運営への支援(自治会主催会議への出席、自治会への情報提供、要望事項の把握・相談・協力など)、「元気なまちづくり事業」の取り組みについて必要な協力を行うなどです。パートナー職員は、各自治会の実情に応じ、様々な場面で、無報酬で任務にあたっています。

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1年目を終えて

18年度の事業実績は、町の予想を大幅に上回り、まちづくり事業が3事業、建設資材支給事業が11事業と、計12自治会で14事業が実施されました。

まちづくり事業では、「ほたるを育てる環境整備事業」「史跡案内整備事業」「桜並木整備事業」と、それぞれ地域の特色を活かした事業が行われており、今まで持て余し気味だった地域資源を自らの手で活性化につなげる動きが出てきています。

また、建設資材支給事業は、コンクリート舗装等の道路補修が5事業、水路改修による道路拡幅が3事業、児童遊具補修や水路落葉目詰り対策等が3事業行われ、日常生活に密着している生活道路や水路の補修も軽易なものは自治会で取り組む機運が高まりつつあります。この資材支給事業の概算効果額は、事業費実績合計約280万円に対し、仮に同様の工事を町で発注した場合の積算事業費約490万円(町振興課試算)となり、効果額は約210万円に上りました。

事業に参加した住民からは「改めて皆が仲良く力を合わせることの大切さを学ぶことができた」と目標をひとつにして全員で取り組むことにより各地区内での交流の輪が広まる効果を歓迎するとともに、「地域の良さを再発見できた」「道路舗装により通行が容易になった」「道路拡幅により登下校の児童の交通安全確保ができた」などと好評をいただいています。このように元気なまちづくり事業は自治会の課題解消や夢実現に大きく貢献することができました。

また、自治会パートナー制度については、初年度ということもあり、自治会長からは「パートナーとの密着は難しかった」と意見もありましたが、反面「パートナー制度は非常に良かった。自分が昼間勤めているので役場へなかなか行けなかったが、パートナーに協力してもらい感謝している」などとパートナー制度を歓迎する意見も多く寄せられ、概ね及第点をもらえたものと感じています。

≪住民による建設資材支給事例の一例≫

   

【工事前】路面の傷みがひどい

   

【作業風景】工事は丁寧かつスムーズ

   

【完成】素人技とは思えない素晴らしい出来栄え!

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今後の課題

新規事業は普及啓発活動にその成否がかかっており、かつ、大半の自治会が単年度ごとに役員構成が変わるので、自治会パートナーをさらに浸透・活用し、住民に趣旨が深く根付くよう推進していく必要があります。自治会ごと取り組む姿勢に「温度差」があることも事実なので、自治会パートナーがいかに地域に入りこんでいき、行政と住民の「接着剤」になれるかもポイントです。

また、伝統文化と宗教の関係の扱いについては難しいものがあります。宗教的なものは要綱で補助対象外としていますが、神社祭り等は習俗化しており、宗教を意識している人が少ないのが現状です。ただ、宗教と切り離し「関連がない」と言い切ることも出来ず、地域のお宝として眠っている伝統文化の継承・保存に対し、思うように支援ができないのが現状です。

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おわりに

このように新規事業ゆえ、様々 な課題があるわけですが、18年度からスタートした、地域協働の土台づくりである自治会との協働のまちづくり事業も、住民と職員のパートナーシップによりまずまずの成果を残すことができました。町の財源不足やニーズの多様化等を住民が理解し、自分たちの地域は自分たちの手で良くしようとする「共助」の最たる事業として根付き始めたこれらの芽を今後大きく育てるため、町では引き続き重点事業と位置づけ実施していきます。

「まちづくりの主役は住民」を基本に、自治会の取り組みを支援しながらゆっくりと全町へ浸透させ「元気なまち・池田町」を住民とともに築き上げていきたいと思います。

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