全国町村会

水とみどりの輝くまち 丸森
〜世界一しあわせの町をめざして〜

宮城県丸森町

2599号(2007年5月16日付号)
町長 渡辺 政巳

丸森町の概要

丸森町は宮城県の南端に位置し、 南西は福島県に隣接しています。 町の総面積は、273.34平方キロメートルで、宮城県の約3.85%。町の北部を阿武隈川が貫流し、その流域と支流一帯が平坦地を形成している一方、南東部は500メートル内外、西北部は300メートル前後の阿武隈山脈の支脈で囲まれた盆地状の町であります。

丸森町空影丸森町空影

本町は、昭和29年に2町6村が合併して誕生。平成の大合併においては、合併ではなく自立の道を選択しました。合併当初3万弱あった人口は平成2年には2万を割り、平成19年3月1日現在で16,853人となりました。さらに、少子高齢化の進により、高齢化率は31.5%と、宮城県で2番目に高い状況にあります。

丸森町は、宮城県沖を流れる暖流の影響をうけた温暖な地域で、多くの動植物の北限、南限の地となっています。町内の阿武隈渓谷県立自然公園で行われた調査では、たくさんの貴重な動植物が確認されました。そうした恵まれた自然環境に加え気候を生かした様々な野菜や果物などが栽培されるなど食材も豊富、情感豊かな住みやすい町です。   

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地の利を生かす

豊富な水を太平洋へと注ぐ阿武隈川は、町の北部をゆったりと流れ、人々の生活に大きくかかわりをもつことで、昔から親しまれてきました。遠く江戸時代には年貢米を、明治時代には町で採れる材木、木炭、石材を運ぶために舟運が栄え、小鵜飼(こうがい)舟が行き交った盛況が、昭和の初期まで続きました。

阿武隈ライン舟下り阿武隈ライン舟下り

この舟運の名残を今に伝えるのが、昭和39年から始まった「阿武隈川舟下り」です。上流から下るコースと周遊コースの2コースで実施している船下りでは、びょうぶ岩、夫婦岩など奇岩怪石が織りなす変化に富んだ景観を楽しみ、舟運盛んなりし頃を偲ぶことができます。新緑、紅葉の季節はもちろん、冬はこたつ舟となって通年運行をしています。

阿武隈川の恵みは、その景観の素晴らしさだけではありません。川の周りの渓流からとれる新鮮な川魚や川ガニは、郷土料理として食卓を彩ります。また、阿武隈川にそそぐ支流の清冽な水を使って生産者が丹精込めた米は、県内でも一、二を争うほどのおいしさです。大河である阿武隈川は、町の生活に今なお深く関わり、人々に愛されているのです。

これまで観光のメインは、この阿武隈ライン舟下りと江戸時代から続いた豪商の屋敷を蔵の郷土館として公開している齋理屋敷、さらには県立自然公園の指定を受けている不動尊公園を中心としたエリアでした。 これに加え、町では、観光物産館「やまゆり館や滞在型市民農園等の観光交流拠点を整備するなどの観光振興に着手。昨今では、町民による農産物特売所や農村での体験活動が都市市民に受け入れられていることから、観光客が年々増加、年間40万人に迫る勢いです。

齋理屋敷 齋理屋敷

町としては、今後も町民や関連団体と連携しながら、豊かな自然や歴史・文化が育んできた地域資源を活かし、滞在型・体験観光「丸森型グリーンツーリズム」を積極的に推進して、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図ることとしています。

併せて、来年開催される宮城の観光キャンペーンであるデスティネーションキャンペーンにも参加して、丸森町のすばらしさを全国に発信していく予定です。

また、様々な分野においてリーダーづくりが重要なポイントであると考え、「町づくりはひとづくりから」をモットーに人材育成に力を入れ、地の利を活かした個性的なまちづくりを目指しています。

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一人ひとりが『しあわせ』を実感するまち

第4次丸森町長期総合計画は、「一人ひとりが『しあわせ』を実感するまち」を将来像に設定。それを達成するための4つの基本理念として「人を育むまちづくり」、「安全・安心のまちづくり」、「活力と交流のまちづくり」と、それらを住民と町とで進めていく「協働のまちづくり」を提唱しています。

さらに、各施策分野毎に「町民が主役となり協働で創るまちづくり」、「未来を拓く人と心を育むまちづくり」、「健康で互いに支え合うまちづくり」、「安全・安心で快適に暮らせるまちづくり」、「豊かな資源を生かした産業が根づくまちづくり」、「町民自らも楽しみながら交流するまちづくり」の6つの柱を定め、施策体系別に事業の推進を図っています。

特に「町民が主役となり協働で創るまちづくり」の施策を推進するため、住民が主役となる住民自治組織「地区協議会」を8地区に設置。いきいきとした地域づくりを実現するための「地区別計画」に沿って、住民とのコラボレーションを推進し、地区住民の知恵と創造を取り入れた住民自治を促して行く予定で す。

まずは、これらの組織を統括する施設を「地域コミュニティー施設」に移行し、将来はNPO等法人化も視野に入れた住民自治組織に発展させたいと考えています。

さらに、町の活力と安定を高めるための企業誘致・増設、定住人口の拡大を促進する政策や、町を訪れる交流人口がもたらす経済効果を誘導するような施策を重点的に展開しています。

・「地区別計画」とは

当町では、第3次丸森町長期総合計画(H8〜H17)から住民主体のまちづくりを進めてきており、その象徴的事業として平成13年度から町内各地で住民の手による「地区別計画」を策定していただきました。この「地区別計画」は、それぞれに異なる特徴を持つ町内8地区において、住民自らが自分の住む地域の魅力や課題を再確認。地域が目指す将来像をみんなで考えるとともに、それを実現するための具体策を体系化したもので、平成17年度までに全地区で策定しています。

8地区の計画名をあげますと、筆甫地区=筆甫地区振興計画、耕野地区=耕野元気計画、大張地区=「やってみっぺ大張」、金山地区=あいうえおの里金山、大内地区=歴史の里大内、小斎地区=日本一おいしい米づくりの里小斎、舘矢間地区=すくすくいきいきゆうゆう「たてやま」、丸森地区=あぶくまの恵み・太古の歴史。それぞれ地域の特色をいかした計画名になっています。

計画策定に際しては、住民には初めての経験で不安や戸惑いも多かったようです。考え方と進め方は民族研究家の結城登美雄先生の講演やアドバイスに学び、後は自分たちの地域を何とかしようという"思い"と地域在住の町職員の支援を頼りに、数々の試行錯誤を重ねながら最終的には各地域の個性を巧く活かした計画を作ることができました。各地区のニューファーマーズ(新規就農者)の意見も大きい刺激となっています。

実施計画においては、特に各地区とも地域づくりのために行政が取り組むこと、住民が取り組むこと、行政と住民とが協働で取り組むこと等、役割分担を明確化。計画の策定と実施をとおして、行政に依存するだけではない住民の自治意識の高まりが見られたことは、これまでにない大きな成果であると考えています。

・丸森方式の地区協議会〈住民自治組織>

地区別計画で培った住民の自治意識を更に高揚し、「協働のまちづくり」を実りのあるものとするため、各地区では地区協議会〈自治組織〉の設立に向けての活動が始まっています。

この組織は、これまでの行政依存型の地域づくりから脱却し、住民自らが主体的かつ能動的にそれぞれの地域づくりを実践するための住民団体と位置づけています。設立を目指して各地区では熱心な話し合いが行なわれ、平成18年度末までに全地区で立ち上げが実現しました。

今後は、平成19年度から20年度にかけて事務局を担う地元職員を育成。平成21年度からは地区協議会〈自治組織〉が独立して地域づくり活動を行う体制にしたいと考えています。また、財政面では、施設の運営費及び事業実施のための交付金・補助金等を用意しています。

当然、住民はこれまでの行政依存からある程度脱却することが求められますので、不安の声もありました。 しかしその一方では自治意識の高まりもあります。町としては、そのような流れを確実なものとし更に加速させるよう、本庁組織を再編するとともに、期間限定ではありますが地区公民館の職員を増員して地区協議会〈自治組織〉や人材育成、住民啓発などに積極的に取り組んでいきます。特に宮城県地域振興センター理事長の大村虔一先生(前宮城大学副学長)のコーディネーターと支援が大きい支えとなっています。

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町民自らも楽しみながら交流するまち

・直売所

直売所は、地区別計画の策定をきっかけに、行政からの押し付けでなく、地区住民のやる気、地域の盛り上がりで始まりました。

本町は、大きく8地区に分かれますが、地形、自然環境、産業構造、地域文化、経済圏など、それぞれ特徴を有する集落が散在しています。地域に適した農産物や特産品の奨励をし、販売を行っています。

おもに観光客をターゲットに土産を扱う直売所、地域のよろずやを兼ねた直売所、レストラン、ふれあい交流センターなど、地元農産物や山菜、きのこなど季節の新鮮野菜を直売所ごとに工夫して販売をしています。地域住民にとっても利便性は高く、ないものの調達に利用されているようです。

また、中にはお客さんとコミュニケーションを大切にした囲炉裏のある直売所もあり、お茶や自家製漬物・菓子を無料サービスで提供しているところがあります。そうした場所では、町内外からの来訪者の方々はもちろん、地元のご近所さんも一緒にお茶を飲みながら話をすることで、町についての新たな発見や魅力の再確認ができます。さらに、町外へ出かけることが少ない高齢者にとっては、外の世界を知る機会ができるなど大変プラスとなっています。 

さらに、直売所が交流人口拡大に一役買っていることも成果の1つです。特に、沖縄の「共同店」をモデルにして地区住民の出資により運営している大張物産センター「なんでもや」では、他の地域との交流が盛んに行われています。

・クラインガルテン

平成12年には、東北地方初の長期「滞在型市民農園不動尊クラインガルテン」を造りました。農業を体験しながら丸森の自然に親しむ都市住民を受け入れ、地域住民さらには、町民と継続的な交流を行う拠点施設です。

クラインガルテン不動尊クラインガルテン不動尊

整備の目的は、交流を通して農業・農村、そして当町に対する理解を深めていただくこと。そして地域住民の意識の高揚を図り、地域の特産物等の流通に結びつけて活力ある地域をつくることです。 「不動尊クラインガルテン」の大きな反響に、平成17年には筆甫地区の山間部にも「筆甫クラインガルテン」を整備しました。

さらに、土地を購入して移住したいという声も多いことから、風光明媚な不動尊公園の隣接地には、団塊の世代等をターゲットに20戸の農園付き宅地を造成しています。それらの宅地は、地形を壊さず、住宅建築にも景観を考慮するという条件をつけて、今年中に売り出すこととしています。

・地区住民の「自信と誇り」

地元新聞「河北新聞」紙上で、平成18年正月元旦から6ケ月間に渡りニッポン開墾「拓かれた里、宮城丸森」が連載、丸森の魅力が広く紹介されました。

がったりがったり

連載では、ニューファマーズの方々が「農の暮らし 人を結ぶ」のコラボレーションにより地域住民とかかわっている様子など、丸森全地区の5歳の子どもより78歳の高齢者まで、80名近い人々が紹介されてきました。

その結果、交流人口の増加はもとより、丸森でのこれまでの生き方に「自信と誇り」がみなぎり、地域の問題解決と住民自治組織の充実に大きな力となりました。地区住民の「自信と誇り」は、今確かなものとなっています。

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「丸森型グリーンツーリズム」とは

近年、余暇時間の増加やライフスタイルの多様化などを背景として、観光に対するニーズが「見る」から「体験する」へと変わりつつあります。特に、都市住民の間には、憩いや癒しの場として農山村への関心が高まっています。交流人口が増加することは、地域経済への波及効果が期待されるだけでなく、町民の「生きがい」や「元気」にもつながります。

「丸森型グリーンツーリズム」は、阿武隈ライン舟下り、不動尊公園キャンプ場、滞在型市民農園(クラインガルテン)等に代表される「自然休養型観光」、齋理屋敷を中心とした「歴史・文化体験型観光」、町内各所で提供される自然や農「学習・体験型観光」、更には直売所、農家・林家レストラン、そば打ち等を通じた町民と来訪者との「ふれあい」や「おもてなし」等の総称です。そこでは、現在、移住希望者への情報提供や受入れ体制の充実を図っています。

今年4月には、「丸森型グリーンツーリズム」の総合案内所として「まるもり 水とみどりの百貨店」がオープンしました。 インターネットのブログを開設し、情報発信力を強化していきたいと思います。あえて、「百貨店」としたのは、不思議ななつかしさとわくわくするようなイメージを想起してもらうためです。丸森全体をデパートと想定し、まるごと楽しんでもらおうと考えています。

また、県内外の丸森ファンの方々と町とのネットワークを構築し、丸森の認知度や高感度を更に高めるためのまちづくり事業として「丸森ファンネット」を実施しています。

「丸森型グリーンツーリズム」が、「丸森ファンネット」や「まるもり 水とみどりの百貨店」を通じて多くの皆様に認知され、たくさんの方に本町の魅力に触れていただき、町の活力アップを図っていきたいと考えています。

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「世界一しあわせの町」をめざして

これからのまちづくりは、各地区の特性を生かしていくことが更に重要と考えます。行政からの押し付けでなく、地域からの盛り上がり、地域のやる気が大切です。地域の魅力を磨き上げることが丸森全体の輝き、魅力アップにつながり、地域の魅力があってこそ人は集まるのです。

この町に住んでよかった、住んでみたいと言われる魅力あるまちづくりを進めていきたいと考えています。それには、きれいな水や四季折々の自然が楽しめる、緑豊かな町を未来に残していく必要があります。生きる力は、自然の中にあります。何よりも町民一人ひとりが自信と誇りを持てる「笑顔あふれるしあわせの町」づくりをすすめていきたいと考えています。

町民がやる気を出して、自分たちでできることに取り組み始めています。やる気は、確実に育ってきています。目が輝き、笑顔がみられます。

しあわせを実感できる町が一歩一歩進行中である。

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