全国町村会

「過疎への挑戦」定住・交流の拡大を目指す

広島県北広島町

2597号(2006年4月16日付号)
町長 竹下正彦

町の概要

北広島町は、平成17年2月1日に4つの町(旧芸北町、旧大朝町、旧千代田町、旧豊平町)が合併して誕生しました。

中国地方のほぼ中央部、広島県の北西部に位置し、面積は645.86平方キロメートルと町としては中国地方で最大の広さ。町の東と西は中国地方を代表する江の川と太田川水系の源流域で、おいしい水や空気、豊かな緑に恵まれた自然の宝庫です。

スキー場シーズンには多くのスキー客が訪れる  

政令指定都市・広島市に接していることや、交通条件、地域資源の活用などによって、観光・レクリエー ション地域として都市部との交流が盛んです。とりわけ、スキー場が集積する日本最南端の地域で9つのスキー場があり、スキーシーズンには中・四国、九州地方から多くのスキーヤーやスノーボーダーが詰めかけます。

芸石神楽の勇壮な舞芸石神楽の勇壮な舞

中世時代この地域を支配していた 安芸吉川氏の遺跡が多く残ってお り、「壬生の花田植」や「新庄のはやし田」といった郷土芸能や芸石神楽が盛んなことも、本町の大きな魅力です。町内には、旧舞・新舞の2つの流れをくむ60の神楽団があり、秋祭りや行事などの際、勇壮な舞が披露されています。

主要な道路網として、中国縦貫自動車道と中国横断自動車道広島浜田線、国道186号、261号などが通り、インターチェンジが千代田と大朝の2箇所に設置されるなど、山陰山陽の中間地点における交通の要衝となっています。   

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定住促進と企業誘致で定住の拡大を

本町の人口は、平成17年度におい て20,857人(国勢調査)となっ ています。人口の推移をみると、昭 和35年までは3万人台を確保し、特に昭和22年には39,377人に達していました。しかし、昭和30年頃から始まる高度経済成背景に大幅な人口減少が続き、昭和50年から平成12年にかけては、国勢調査期間 (5年間)の減少率が概ね2%前後で推移しています。とりわけ最近の5年間の平成12年から17年の推移をみると、1,071人、率にして4.9%人口が減少しました。

また、老年人口(65歳以上)比率は平成17年(国勢調査)において 33.2%、年少人口比率は12.7%で、中山間地域特有の課題である少子・高齢化が急速に進んでいます。 こうした傾向は、社会情勢の変化を踏まえると今後とも続くことが想定され、町の将来にとって定住の拡大は 大きな課題となっています。このため、過疎に挑戦して人口減少に歯止めをかけ、定住の拡大を図るための定住促進対策や企業誘致対策の事業を積極的に推進しています。

1.地域通貨で新規定住者への住宅建築費補助

具体的な定住促進施策の1つとし て、平成18年度から新規定住者に対する住宅建築費補助制度を創設しま した。制度の内容は、北広島町への定住を目的に町外から住居を移転される方(新規定移住者)を対象に、 その方が居住するための住宅の「新築」、「増改築」又は「購入」するた めの費用の一部、5%を補助(限度 額50万円)するものです。

地域通貨地域通貨

補助金は北広島町のみで 使用できる地 域通貨「ユー ト」によって交付します。 この事業を4月からスター トして、10件 の事業指定決 定を行っており、着実に定住拡大の成果につながっています。

地域通貨「ユート」は「まちを元気に」「人の心を豊かに」「ひかりあふれる北広島町」をめざして、町内の商工会が平成18年4月から発行し ている流通型の商品券です。

地域通貨を使っての補助金の交付は、商店街の活性化も合わせて図ろうというねらいもあります。平成19年3月現在、一般利用も含めて、38,073,000ユート(1ユート=1円相当)が発行され、流通も平均3.13回転と発行高の約3倍の経済効果を発揮していると考えています。

2.「空き家情報バンク」の開設

Iターンなど定住希望者に住宅情 報を提供するための「空き家情報バ ンク」を平成18年7月に開設しまし た。町内の賃貸や売買が可能な「空き家」を所有者に登録していただき、ホームページや相談窓口で情報の提供をするなど「空き家」利用希望者に紹介を行います。町は双方の紹介までを行い、売買や賃貸の具体的な 交渉や契約は当事者同士で対応してもらいます。

「空き家」を利用希望の登録は現在40件あり、「農地付の古民家を希望」「家賃1万円未満 」など要 望は多種多様。それに反して、「空き屋」の登録は「盆暮れに帰省した時に使用する」 「仏壇がある」「親戚や兄弟の了解が必要」 「住むには修繕が必要」などの理由から件数は少なく、条件に合う物件の掘起しには苦労しています。

そこで、町県民税の家屋敷課税納付書を発送する際に「空き家情報バンク」制度のPRチラシを同封した ところ、問い合せや新規の「空き家」登録があるなど効果が表れました。  

それらの対策が実り、「空き家情報バンク」開設から17件の「空き家」 登録があり、この内4件の契約が成立。県外や広島市内から、30代〜40代の家族など15名の新規定住が実現しています。

3.就業場所の確保、企業誘致への取り組み

北広島町内には、高速道路の沿線に一昨年完売となった県営の千代田工業団地を含め、千代田工業流通団 地、氏神工業団地、大朝工業団地の4つの大きな工業団地があります。

定住相談会(ひろしま夢ぷらざ)定住相談会(ひろしま夢ぷらざ)

定住の拡大を図るには、働く場の確保は不可欠だと考えており、企業誘致のため町独自の企業立地奨励措置の制度を平成17年6月に創設しました。

奨励措置は、製造業等の新設又は 増築した工場等に対する固定資産税 相当額を5年間助成する工場等設置奨励金(限度額5,000万円)、 工場等の操業に伴い常時雇用の従業員として町民を雇用する企業に、町民1人につき20万円を乗じた額を助成する雇用奨励金(限度額2,000万円)、また県の助成制度と合わせて土地取得奨励金(限度額1,000万円)、設備取得奨励金(限度額1,000万円)を交付するものです。厳しい財政状況ではありますが、県と連携し、各方面からの情報を収集してトップセールスを行うなど積極的な企業誘致活動を展開しています。  

また、町内の企業訪問や北広島町 産業活性化推進会議を定期的に開催することで、企業から行政への意見や要望を聞き、行政で可能な課題解決や支援を行うなど、既存企業との連携を大切にしています。

平成17年度から18年度にかけて既 存企業3社の工場新設や拡充、1社 の企業進出、3社の農業外企業の農業参入の契約を取り交わしています。

4.「求人情報センター(無料職業紹介所)」の開設

平成12年の国勢調査では、広島市 から北広島町内へ通勤者は2,056名で、北広島町は昼間の人口の方が多いという状況があります。北広島町地域産業活性化推進会議においても企業は従業員の確保が課題との意見が出ており、平成18年8月から 「北広島町求人情報センター(無料職業紹介所)」を開設しました。

高校生企業見学 高校生企業見学

役場に就職相談の窓口を設けた り、企業の求人情報をホームページ や町の広報紙に載せるなど、町民と町内へ定住を希望される方を対象に無料の職業紹介を行っています。企業の人材確保の支援と就業の場の紹 介により定住の拡大につながると期 待しています。

時期々々で変化はありますが現在26の企業から165名の求人があり、 求人情報センターの開設から今日まで14名の就業が決まっています。

また、町内に県立、私立を合わせ て3つの高等学校があり、地元高校と連携して高校2年生を対象に町内の企業を視察研修する事業を実施しています。この事業には、町内企業への理解や関心を高めてもらうことで地元での就職を促し、企業の人材確保と若者定住を実現させるねらいがあります。最近の高校新卒者の町内企業への就職状況は、平成17年春5名、18年春12名、19年春18名と年々増加する傾向にあり、事業実施者として嬉しく思っています。

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観光振興で日常的な交流の拡大を

北広島町は、平成18年度に公園整 備が完了した吉川元春館跡や万徳院 跡など国の史跡や、源流域の自然、 田園文化など多彩な観光資源に恵まれ、広域的な交通条件や地理的条件にも恵まれています。

しかし、現状では広域的な観光 ネットワークが形成されていないな ど、豊富な観光資源や地理的条件を活かしきれていない状況にあります。

このため、効果的な観光施策、推進体制、ネットワーク体制の構築など一体的、総合的に観光の振興を図るための戦略が必要だと考えています。 平成19年度の「広島大学地域貢献研究事業」研究課題として、「北広島町の観光資源の評価・点検と活用方策の検討」について応募を行い、幸い採択いただくことができました。これを機会に専門家を交えて「北広島町観光振興計画」を策定し、有効かつ強力な観光振興事業を実施して、定住へつながる日常的な交流の拡大を図りたいと考えています。

吉川元春館跡 吉川元春館跡

北広島町は、あらゆる面で潜在した魅力が豊富な町だと思っています。「過疎への挑戦」定住・交流の拡大へ向けた地道な取組みが実り、北広島町が「安心して暮らせる町」、「元気な町」、そして「将来に希望の持てる町」になることを願い、今後も創意と工夫を発揮しながら全力で取り組んで参ります。

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