全国町村会

自然と文化と環境の町・直島
〜環境をキーワードとしたまちづくり〜

  

なおしま自然探検隊(海辺の生き物の観察風景)


香川県直島町

2522号(2005年6月6日)  直島町長 濱田 孝夫

直島町の概要

直島町は、香川県高松市の北方約13 キロメートル(フェリーで約1時間)、岡山県玉野市の南方約3キロメートル(フェリーで約20分)に位置する、大小27の島々からなる群島の町です。

瀬戸内式の穏やかな気候と白砂青松の美しい自然に恵まれ、古くから瀬戸内海の交通の要衝として栄えてきました。

27の島のうち有人島は3島のみで、その中心となる直島は、北部が金・銀・銅などの製錬を行っている三菱マテリアル樺シ島製錬所とその関連企業が立地する工業エリア、中央部が近代的な建築美を誇る幼・小・中学校などの文教施設が隣接する文教・行政エリア、南部がベネッセハウスやシーサイドパーク、地中美術館をはじめ、町営のふるさと海の家「つつじ荘」やつり公園のある文化・リゾートエリアとなっています。昭和30年代の半ばには8千人近い人が住んでいましたが、企業の合理化や便利な暮らしを求めて転出する人の増加により、現在は半分以下の3千5百人ほどの人口となっています。

   

直島環境センター(豊島廃棄物等中間処理施設)

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エコアイランドなおしまプラン

◎策定の背景

平成11年8月、当時日本最大の産業廃棄物不法投棄事件として全国から注目されていた豊島の産業廃棄物等を、直島に中間処理施設を建設して処理したいという香川県からの提案を受けました。

この施設の受入を検討する過程で、町としては「公害のないこと」「活性化につながること」「デメリット等に適切に対応すること」「町民の賛同を得ること」という四つの条件を県に提示し、町民説明会を何回も開催して一つ一つ問題を解決し、様々な議論を尽くした上で、これらがクリアできたとして平成12年3月に受入を決定しました。

この決定に至るには、風評被害を心配して受入に反対していた直島漁協の「町の将来のためには受入やむなし」という苦渋の決断や、町の発展のためならばという町民の英断があったことを忘れてはなりません。

この受入を契機として、新たな産業と雇用を創出し、21世紀において町の活力と発展を維持するため、循環型社会のモデル地域となることを目指して、香川県とともに「エコアイランドなおしまプラン」を策定しました。

◎環境産業の誘致

この「エコアイランドなおしまプラン」が平成14年3月に国の承認を受けたことから、既存の製錬施設を活用するリサイクル事業として、三菱マテリアル鰍ノよる溶融飛灰再資源化施設と有価金属リサイクル施設が建設され、香川県の豊島廃棄物等中間処理施設とともに、このプランのハード事業を構成しています。

これらの施設は、これまで再資源化が困難なため、最終処分されていた産業廃棄物を都市鉱山と位置づけ、これらから社会に有用な資源を回収し、埋立処分量の削減など広域的な循環型社会の構築に貢献するものです。

また、施設は一般に公開し、リサイクル現場を見学できる環境教育・環境学習施設として利用するとともに、周辺環境に影響を及ぼさないように万全の措置を講じた上で、廃棄物の処理に関するデータ等は積極的に公開しています。

◎環境調和型のまちづくり

エコアイランドなおしまプランでは、ハード事業と並び様々なソフト事業の推進も重要な柱として位置づけており、住民・事業者・行政が一体となって環境と調和したまちづくりに取り組むこととしています。

その推進母体として、町内の各種団体や企業の代表者、有識者、町、県による「エコアイランドなおしま推進委員会」を平成14年5月に設立して、ソフト事業を総合的に推進しているところです。

ハード事業と違って、その効果がすぐには見えにくいソフト事業ということで、推進委員会の中でも早い時期に具体的な成果を求める声が再三出されていますが、十分に検討を加えながら一つ一つ着実に取り組みを進めています。

これまでに取り組んできた事業としては、エコアイランドなおしまプランのホームページ(http://www.pref.kagawa.jp/haitai/ecoisland2/index.htm)の開設、各種パンフレットの作成、環境シンポジウムの開催、環境学習ツアーの試行、県内小・中・高校の環境教育担当教諭の現場学習会、旅行会社との意見交換会、まちの案内所など見学者受入体制の整備、スラグ入り植木鉢と球根等の配布などがあり、平成17年度にはスラグ入りの粘土を使った陶芸などの体験学習ができる施設を作りたいと、町内の空き家を借り上げる準備をしているところです。

このような事業を通して町民の意識も徐々に高まってきていますが、胸を張って「環境調和型のまちづくり」を進めていると言うためには、さらに取り組みを強化していく必要があると思っています。

◎「うい・らぶ・なおしま」の活動

ソフト事業の一つとして、平成14〜15年度2カ年、環境の島・なおしまワークショップを立ち上げて、住民主体の取り組みを進めてきました。

最初にワークショップのメンバーを募集した時には、「ワークショップって何?」という感じで、公募+一本釣りでようやく人数が集まったという状況だったのですが、環境問題のワークショップを専門的に取り組んでいるコンサルの力もあって、2年目の3月には『「うい らぶ なおしま といって」〜こんな直島にしたい十の提案〜』という成果をとりまとめることができました。

その提案というのは、

 一 みどり ゆたかな なおしま〜昔からある自然を取り戻そう〜
 二 うみ ゆたかな なおしま〜貝採りがまたできるようにしよう〜
 三 クリーンな島 なおしま〜街なかのごみをなくそう〜
 四 美しい島 なおしま〜景観や文化にこだわろう〜
 五 たいけん なおしま〜直島の自然と遊ぼう〜
 六 うい らぶ なおしま〜なおしまを好きと言おう〜
 七 おいしい なおしま〜本物を食べさせる場をつくろう〜
 八 もてなす なおしま〜なおしまを好きと言って〜
 九 つながる なおしま〜瀬戸内に日本に世界につながる〜
 十 わたしの なおしま〜わたしがつくる、未来の直島〜

というもので、それぞれを実現させるために27のプログラムが考えられました。

ワークショップの終了後、その卒業生を中心に、これらのプログラムを実現させていくための住民グループとして誕生したのが「うい・らぶ・なおしま」です。

このグループの活動初年度となる平成16年度には、なおしま自然探検隊の実施、独自のホームページ( http://www.welovenaoshima.com/)の立ち上げ、里親制度による町内各所への植樹の実施、Tシャツプロジェクトの実施の四つの事業を行いました。

やっと2年目に入ったばかりのグループですが、メンバーが約15名と少ないので、この活動をさらに広げていくためには、もっともっとメンバーを増やして、この輪を大きくしていくことが必要だと思っています。

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人口減少対策

◎結婚促進事業

平成10年頃に町内の独身者の状況を調べてみたところ、25歳〜45歳の結婚適齢期と思われる年代の独身者が、男性が約180名、女性が約90名という結果が出たため、離島で異性と出会う機会が少ないというハンデを背負っているのを何とかしようと、アンケート調査をしてから男女交流イベントを開催することになりました。

いろいろ調べてみたところ、岡山県笠岡市がこういうイベントに力を入れており、何とその会場が直島の国際キャンプ場ということを知り、さっそく笠岡市役所の担当の方に話を聞かせてもらうとともに、実際にそのイベントに参加してノウハウを学びました。

そして、平成11年9月に初めての交流イベント「彼と彼女in Naoshima」を実施したところ、男女共に50名弱の参加者が集まり、16組のカップルが成立しました。

ここまでは良かったのですが、その後の状況を調べてみると、おつきあいが続くカップルが少なく、結局結婚したのは1組だけという結果に終わりました。

その後、毎年イベントを実施しているのですが、噂が広がるのが早い田舎のため、イベントの翌日には誰と誰が参加していたという噂が町中に広まってしまうということで、男性の参加が年々少なくなってしまいました。

平成15年までの5年間の成果としては、相変わらずカップルは成立するものの、結婚まで進んだのはわずか4組というものでした。

そこで、6年目となった平成16年には町外へのバスツアー形式のイベントに変更し、少数精鋭で神戸の豪華ホテルに宿泊してカップル成立率の向上を目指したところ、男性13名のうち7名がカップルになり率にすると5割を越えました。

ただし、これもその後の状況を調査すると長続きしているカップルが少ないということで、次回からは事前に女性の面接をして、本当に結婚したい人に参加してもらおうと考えています。

いずれにしても、結婚相談所がしているような仕事を行政がやっているということで、難しい面や勉強不足の面があることは確かですが、何とか一人でも多くの独身者に結婚してもらいたいと、今後もこの事業は町の重要施策として取り組んでいくつもりです。

◎住宅対策

本町の人口の減少は昭和30年代半ばから続いており、交通の便や医療・教育の問題などいろいろなことが影響していると思いますが、住みたくても家が無くて住めないという人も確かにいます。

また、最近は直島が007の小説「赤い刺青の男」に登場したり、地中美術館などの完成により交流人口が増えていたりすることから、直島に移住したいという問い合わせも増えてきました。

町内には空き家が多くあることから、これらを必要としている人に貸せるシステムがあれば、少しでも人口の増加が図れると考えています。

しかし、現に人は住んでいなくても、仏様が住んでいる、盆・正月には帰省している等の理由で、特にそのまま住めるような住宅はなかなか貸してもらえません。

現在、町内の空き家の実態調査を行っており、住めそうな住宅の持ち主に意向調査をして、一軒からでも貸してもらえる住宅を確保したいと思っています。

   

男女交流イベント(カップルでゲーム)

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これからの取り組み

◎海の駅の建設

現在進められている宮浦港の改修工事に合わせて、直島の玄関口にふさわしいターミナル施設として、平成17〜18年度において海の駅を建設します。

この施設は、有名な建築家に設計を依頼していますので、どこにもないようなすばらしい施設になるものと期待しています。

これが完成すれば、直島の見所がまた一つ増えますので、ぜひ一度おいでいただけたらと思います。

◎特産品の開発

直島に来てもお土産がないという声が多かったことから、平成16年度から3年間、県の補助を受けながら特産品の開発に取り組んでいます。

具体的には、鯛の浜焼きなど新鮮な地の魚を使った料理や、三菱マテリアルの金を使った金箔入り焼酎など、製品化間近の物もいろいろありますので、直島に来られた時は、ぜひご購入いただきたいと思います。

◎災害復旧と防災対策

平成16年1月に発生した大規模山林火災、同年8月から10月にかけて相次いで襲来した台風による高潮災害・土砂災害は、直島に大きな爪痕を残しました。

緑化事業を官民一体となって進めるなど、その復旧に全力で取り組んでいるところですが、これらの災害の教訓を生かし、近く起きるとされている南海地震等への対策も含めて、防災計画の見直しや自主防災組織の立ち上げなどに取り組んでいます。

   

みどりの創生 in 直島(山林火災跡地への植樹)

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まとめ

経済の低迷や国の三位一体の改革の推進等により、直島町も他の自治体と同様に財政的には非常に厳しくなってきています。

しかし、離島の町であることから、合併についてはメリットよりデメリットの方が大きいと判断し、合併せずに単独でがんばっていきたいと考えています。

そのためには、精一杯の行財政改革を進めるのは当然として、町民の皆様や企業と共に「環境」をキーワードとして「アート」というスパイスを加えた魅力的なまちづくりを進め、離島でもがんばればやれると信じて、瀬戸内海にキラリと輝く活気にあふれる町を目指してがんばりたいと思っています。

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