全国町村会

子供の感性を育む絵本文化の発信基地

  

宮崎県木城町

2453号(2003年9月15日)  木城町役場 企画課長 半渡 英俊

はじめに

木城町は、宮崎県のほぼ中央に位置し、東西24km、南北わずか6q、面積146.02平方kmという帯状の地形をなしています。

面積の84%を山林原野が占め、町の中央部には小丸川(全長80q)が流れ、これに沿って一部耕地が開けています。

人口は、昭和24年の9,872人をピークに減少を続け、現在は5,705人となっています。主な産業は農業で水稲をベースに畜産、野菜、果樹等の複合経営がなされています。

昭和48年4月に町制を施行、平成15年4月には町制施行30周年を機に、「水と緑 心豊かな住みよい町」をキャッチフレーズに、誰もが住みたくなるような魅力ある町づくりを進めています。

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山村と都市の交流

宮崎県と本町に隣接する7つの市町村により、個性的で魅力的なふるさとづくりと、地域の活性化を目的に「歴史と未来の出会うふるさとづくり構想」が策定されました。

木城町では、大正時代に文豪「武者小路実篤」が開村した、お互いに仲良く個性を尊重し、文化活動を楽しむ理想郷「日向新しき村」が現在も営々と引き継がれており、「平成の新しい村づくりプロジェクト」に着手し、国土庁の山村都市交流環境総合整備モデル事業を導入しました。

平成の新しい村づくり事業推進の過程においては、幾多の紆余曲折がありましたが、事業を展開する地区の住民や町内在住の版画家を中心に構想を練り、対話を重ね、試みとして地区の小学校講堂を会場に「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」が企画実施されました。

5月のゴールデンウィークの10日間、住民参加による事前準備や会場案内、絵本の読み聞かせや昔話等に町内外から延べ300人以上のボランティアスタッフの参加と支援協力があり、開催期間中には、県外客を含め1万人を越える来場者からの反響を得ました。

このことによって、絵本文化を中心に「子どもの感性を育むえほんの郷」の方向性が決定的となりました。

  

木城えほんの郷「森のえほん館」

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小さな村からの文化発信

小さな山奥の町で、何故「絵本文化」を発信するのか。今の子どもたちにはイメージを膨らませるために必要な自然との触れ合いが少なく、自然の神秘・美しさ・怖さ・闇の暗さなどを実感する体験が乏しい現状です。また、都会で開催される展覧会と違って、自然を五感で感じながら原画展を鑑賞できる豊かな自然空間があります。

また、全国的に絵本文化による地域づくりや町づくりをめざす市町村が少ないということもあり、独自な事業展開により「木城」という町をアピールできたらという思惑を具現化しました。

このような中で、平成8年にオープンした「木城えほんの郷」は、豊かな自然を生かした絵本原画展やコンサート、海外の劇団公演、絵本大学や昔話大学等により、山村と都市の交流を深めながら、絵本文化の発信を続けています。

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自然の中でのイメージやファンタジーの世界

周囲を山々に囲まれ、静かな時の流れる地で、イメージやファンタジーの世界に遊び、原初的な自然のふれあいの中で、絵本文化を中心に演劇や音楽を楽しみ、子どもたちの感性を育む文化を根付かせ、世界に発信し続けようと努力しています。

■森のえほん館

えほんの郷の中核施設で、13,000冊の絵本が揃えてあります。

1997年度のマーク・シーモント、アニタ・ローベルの作品をはじめ、木城えほんの郷の理念にふさわしい“自然への深い愛を語り、自然の中で生きる喜び誌う”アジアの絵本原画を中心に蒐集活動をすすめています。

また、森のステージは、自然との共演(かぜのささやき・水の音・虫の音・鳥の声)をテーマに、木陰のベンチで絵本を見たり、絵本の読み聞かせやお話会、音楽や演劇を体験する場となります。

■森のきこり館

絵本文化を日常の暮らしにより深く根付かせるために、森の本屋さんやえほんの郷号の活動と連動するブックアドバイザーの講座やえほんの読み聞かせ・えほん教室・おはなし会などのワークショップ、絵本大学、昔話大学などの活動を行っています。

時に応じて、喫茶室、ミニコンサートなど変幻自在なライブ空間としても展開しています。

■森の芝居小屋

自然の楽器や音の道しるべなどのサウンドスケープづくりを中心に、竹・木・植物などを生かした手づくり遊びやワークショップ、人形劇や一人芝居、コンサートなどライブ感あふれる自在な空間を展開しています。

時に応じて、手づくり教室や喫茶室にもなります。

■森のコテージ

宿泊棟。ランドスケープ、サウンドスケープデザインを考えた植栽を充実しながら、訪れてくる人がゆったりと泊まれるような宿泊施設です。

■水のステージ

共生をテーマにした現代の「天の川コンサート」を開催しています。

■遊歩道・野鳥の森

四季の移り変わりや一日の時間の流れを感じられる「自然のとき」と、人間より弱い「小さな命に味方する」蝶道や小鳥の道づくりなどを進めています。

  

森のえほん館内部

  

自然の中でえほんに見入る子供たち

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事業を支える人づくりと活動

「木城えほんの郷」の経営は、民間の持つ優れた絵本の専門知識や経営能力を積極的に活用し、公共と民間の役割を明確にした、公設民営の管理委託方式により、独自の企画で運営を行っています。

この山村都市交流事業を契機に、町民の意識がわずかな変化が生まれつつあります。町内の青年グループが相集い、行政に頼らない自主運営組織の「若者会」が結成されています。冬の風物詩となった「電飾イルミネーション」の設置や町立自然公園を利用した「マウンティンバイク4時間耐久レース」を開催しています。この耐久レース大会は、8回を数え、選手と応援参加者が千人を越える西日本最大のビッグイベントに成長しています。

また、生涯学習の一環として、埋もれた人材を発掘登用し、町民の誰もが指導者になれる「かがやき人」の登録制度が発足されています。100名を越える各分野の「かがやき人」が登録されており、多様な学習ニーズに対応するため、いろんな学習分野や講座・教室等に指導者を派遣することで、町民の関心と意欲を高め、効果的で充実した生涯学習の推進が図られています。

  

MTB4時間耐久レース

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今後の方向性

絵本文化を発信しながら、山村と都市との交流人口の拡大はもちろんのこと、「木城えほんの郷」を中心に、将来の郷土や日本を背負う感性豊かな子どもたちを育てていくため、「自然とのふれあいと絵本文化の体験を通して、人間の豊かな感性を育むことのできる観光」を基本理念とし、“ついでに来た”のでなく“わざわざ来た”というような施設づくりに努力し、“住んでみたい、住んでよかった”といえるような町づくりに最善の努力を傾けていきたいと思っています。

魅力ある町づくりや人づくりに終着駅はありません。今後も、町民の皆様とともに英知を結集して、昨日より今日、今日よりも明日をめざし、一歩一歩確実な足取りを残していきたいと思います。

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