全国町村会

島まるごとミュージアム

  

南大東島の全景

沖縄県南大東村

2441号(2003年6月2日)  南大東村役場 総務課 課長補佐 新垣 利治

南大東村の概要

南大東村は沖縄本島の東方約360kmの太平洋上に浮かぶ面積30.57平方kmの短楕円形の島で、遠くから眺めるとあたかも水平線上に一の字を書いたような扁平状に見えます。しかし、内部に入って見ると周囲は環状丘陵地を形成し中央部はくぼんで盆地状となり、一見火山島を思わせますがそうではなく、サンゴの環礁が数回にわたって隆起したサンゴ礁からなりたつ島で、日本では南北大東の2島だけで、世界中でもあまり例を見ない特異な存在にあります。

南大東島は東京都八丈島の開拓王、玉置半右衛門の有志23人により明治33年(西暦1900年)無人島から人間の居住地に変わり、半世紀に及ぶ「玉置・東洋・日糖による企業支配」という制度の下、我が国有数の砂糖の島として築かれ、第二次大戦後、村制を産み自治が確立されました。

人口1,400人余で、開拓以来唯一の産業である製糖業が盛んで、農家戸数239戸で1戸当たりの経営規模8.2ha余で経営耕地面積が広く我が国では例の少ない大型機械化一貫作業体系による大規模農業経営が確立する島です。

  

構想の拠点「島まるごと館」

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島まるごとミュージアム構想

島まるごとミュージアム構想は、南大東村の島おこし計画に基づき、島の資源と調和して共存する島づくりを目指し、天然記念物活用事業や、旧空港跡地利用構想において、島の自然保護と観光振興を図る観点からスタートしました。私たち村民にも我が島の自然文化・歴史等の特徴を見つめていた人もいたでしょう。しかし、島に住むほとんどの人は、島の特異な自然文化は当たり前になっていたのです。このような中、各研究所や研究者にさまざまな調査をしていただき、島の歴史文化・自然・動植物は特異で貴重なものが多く価値の高いものであるということを聞かされ、島全体を博物館にしたらという発想から、島まるごとミュージアム構想が掲げられました。その中で「小さな島の大きな遺産」として過去から現在、未来に向かって継承していく必要性と、国指定天然記念物であるダイトウオオコウモリ、南大東島東海岸植物群落、大池のオヒルギ群落をシンボルとし、遺産の保全・活用を進め、21世紀の活力ある島づくりの実現を目指し、構想の拠点となる島まるごと館の建設・コア施設として大池の展望台・復元の森(ダイトウオオコウモリの森を含むコアエリア)の立地整備を図り、自主的な友の会結成や住民参加型資料収集作業「宝さがし」、島の歴史の中育まれてきた自然、産業、文化等について聞き取り調査を行い、島の良さ、すばらしさを再認識しているところです。また、子供たちは自ら調べ体験したことを情報図として作成し、さらに商工会は特異性の自然・文化などを活かしたエコツアー構築をめざしエコツーリズム推進協議会を発足しモニターツアーを企画実施し、大きな反響を呼んでいるところです。  このように村民が島固有の価値として学習、認識し、島に対する誇りと次世代の子供たちに遺産を継承し、島への誇りを育み、21世紀の郷土を開く担い手を育成していくための機会や新たな産業への模索をしながら取り組んでいるところです。

今後は、村民がもっともっと島の「宝」を認識し大切にする仕組み作りや、構想の拠点島まるごと館の機能の充実、エコツアーなどボランティアガイドの養成、滞在体験交流事業を活かした、島内・島外の人々の体験交流を図り、住民自らが行動・考え「島まるごとミュージアム構想」を拡充していかなければなりません。

  

「島まるごと館」の様子

  

国指定天然記念物(ダイトウオオコウモリ)

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小さな島の大きな遺産(特異な歴史・文化)

明治33年(西暦1900年)壮絶な絶海の孤島、南大東島に開拓の第一歩を標したのは23名の有志でした。開拓当時は原生林がうっそうと繁り、林間には鳥類が嬉々として、恐らく人間の征服を知るよしもなかったでしょう。開拓が始まるや住宅が建設され密林を開き道をつけ、畑となし、適作物の試作及び栽培等と開拓は進められ、第2次大戦終末には爆弾・砲弾が島を揺るがし、大戦終結は村制を産み、自治を確立させるという歴史の大転換がありました。新生南大東村は、糖業の復興、自らの汗で拓いた農地の所有権奪還、大型機械によるサトウキビ作農業の推進、社会資本の整備、教育、福祉等自治行政の質向上に努め、離島苦の緩和に精励し、時代の変革に耐え抜きながら島おこしを図り、平成12年(西暦2000年1月23日)に開島100周年の節目を迎え、秋篠宮殿下・同妃殿下をお招きし、来賓及び村民多数参加の下「島は元気で100歳」をキャッチフレーズに記念式典・記念事業を開催し、皆で作った一世紀を盛大に祝いました。

村には、八丈島の風習と沖縄の伝統美が一つになったチャンプルー文化が根付いています。豊年祭(大東神社祭)は、神輿・山車・仮装行列・江戸相撲・沖縄相撲・演芸などの奉納行事がにぎやかに行われます。祭り当日は、老若男女がハッピに鉢巻姿で神輿をかつぎ、山車を引き集落を練り歩き豊年を祈願します。又、江戸相撲は八丈文化のひとつとして昔から受け継がれ、奉納相撲は祭りのメインイベントで優勝することは最高の名誉で多くの賞品が贈呈されます。その他、県内ではめずらしいお地蔵さんや、観音祭、金毘羅祭、秋葉祭があります。島に住む人の名前も、沖縄ではあまり聞かない姓が多い等、沖縄であって、沖縄とも八丈とも決めがたい独特の伝統文化が息づいており、島人は、風土を愛し、祭りを楽しみ、生活を愛しています。

  

豊年祭(ハッピ鉢巻姿で神輿をかつぎ豊年を願う)

  

豊年祭(緞子を身につけ土俵入りする幕内力士)

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小さな島の大きな遺産幕内力士(貴重な自然・動植物)

隆起環礁の島として、大陸や他の島々とはまったく違った風景や、動植物の生態環境を持つ南大東島、地質学的に他の島々と一度もつながったことのないこの島は、さまざまな固有の動植物が豊富に観察できます。ダイトウビロウは高さが20mにも及ぶ大東諸島固有の変種で無人島時代は島全体に自生していたといわれ、開拓当初から戦前まで幹は住宅や畜舎などの建築建材に、葉は屋根葺きの材料に重宝されました。島の特産物としても盛んに移出されたりしてきました。今でも大東神社近辺に当時の名残を見ることができます。又、人間より前に島に生息していた哺乳類ダイトウオオコウモリは島固有の亜種で、国の天然記念物に指定されています。オオコウモリは洞窟に入らず冬眠もしません。普通のコウモリのように超音波は使わず、夜間に有視界飛行をするので目が大きく、Flying Fox(空飛ぶ小キツネ)と呼ばれるように可愛い顔をし、日没の2〜3時間後アコウやフクギの木を探すと、その姿が見られます。

島中央部の北西側には多くの湖・沼が散在し、大池、豊作池など名称が付けられているものだけでも23あり、その他無名のものを合わせると100にも達し、その主なものは水路で連がっています。4つの浮島を持ち湖畔に国指定の天然記念物オヒルギ群落が繁る大池では、数々の野鳥や水生物の姿が心を癒してくれます。

島の東側、通称海軍棒と呼ばれる岩礁地帯にも、国指定天然記念物、オオソナレムグラ・アツバクコ・シロバナ・イソマツなどが混生した群生をなし、なかでもボロジノニシキソウは、南北大東島以外ではマリアナ諸島とオーストラリアの限られた地域でしか見ることのできない貴重な植物群落です。

島には、多数の洞窟が存在し、中でも最大級の星野洞は長さが約400mで日本最長の鍾乳石ソーダストローをはじめ、いろいろな種類の鍾乳石が神秘の世界を映し出している。このように固有の進化を遂げてきた島は、大陸から隔離され続けてきた南大東島の風土・その特異な自然がもたらした種の固有保存の姿が生き続けています。

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今後の展望

このように、島4800万年・人一世紀の南大東村は、絶海の孤島がゆえに島固有の数々の珍しい生き物や、自然が今も息づいており島全体が観光スポットなのです。これらを島外へ広くアピール、情報発信し、観光振興を新たな村の柱に位置付け、新たな産業を発掘・推進し、又、開拓以来唯一の産業である製糖業(砂糖の島)を拡充しなければなりません。さらに近海はマグロ・サワラの宝庫であり現在、画期的な島を掘り込む工法による南大東漁港を建設中であり、今後、南太平洋を操業する外来漁船の前進拠点基地・休憩避難港・沖縄本島等からの漁船の前進基地として利用され、フライト漁業が可能な港として期待されているところです。しかしながら、一島一村の南大東村も大きな転換期を迎えており、国は行財政改革を推し進め、交付税の大幅な削減、市町村合併などさまざまな課題が山積しております。これらの課題を住民一人一人が島のオーナーであることを自覚し問題解決に努めていかなければ明るい未来は拓けません。私たちは、人づくりは村おこしの基本であり離島苦解消の必須条件であるとして、平成8年に「人材をもって資源となす」を村是とし教育立村を広く内外へ宣言し、村民挙って人材育成に奮励してきました。今後も先人の開拓精神(フロンティアスピリッツ)を受け継ぎ、21世紀を展望する村づくりに邁進していくつもりです。

  

島を掘り込んだ工法で建設中の漁港

  

「人材をもって資源となす」を村是に平成8年に建立された教育立村碑

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