全国町村会

町制60周年を新たな出発に

滋賀県竜王町長 竹山 秀雄

竜王町は、滋賀県東南部のほぼ中央に位置する人口12,600人余り、面積44.5kuの田園風景が広がる小さな自治体であり、凡そのところ国の1/10000の縮図に当たる規模であります。 東と西に2つの山並みがあり、夫々の山には水の神である竜神を祀っている祠が残っていることから「竜王山」と呼ばれ、町名の由来にもなっています。

現在の竜王町制が敷かれて今年は59年、従いまして来年度は記念すべき60周年に当たり、町としていわゆる還暦を迎えることになります。

本町は、農業を基幹産業として、美味しいお米やお酒、果樹の産地であり、また近江牛の故郷でもありますが、町の中央には名神高速道路が横断し、 北部には国道8号(旧中仙道)、南北には国道477号が通り、名神高速と交わるところに竜王インターチェンジを有する交通の要衝として、40年前には大手自動車工場が操業開始し、 さらには竜王インターチェンジ近くには4年前に大型商業施設が開業し、農業、工業および商業がバランスよく発展してきた町と言えます。

さらに現在では、滋賀県等が所有する土地50ヘクタールを滋賀竜王工業団地として造成開発中であり、企業の立地により更なる発展を期待しているところでもあります。

平成25年度には、大型商業施設の増床や物流会社等の立地により新たに750名の雇用が生まれました。このことは、町の活性化の方向では有難いことと感謝しているのですが、 今竜王町は人口の減少が続いていることが大きな課題となっています。本来ならば、人口が増えないといけない本町でありながら、特に過日、日本創成会議から、 消滅市区町村の一つであると指摘されたところであります。

これは、2040年には子どもを出産する若い女性(20〜39歳)の割合が、本町においては現状対比で52%減少するという統計上の数字が、消滅自治体の判断根拠となったものです。

本町では、数千人に及ぶ従業員を抱えておられる企業が毎年数百人規模で新規採用を続けておられます。仮に町内から転出される方がありましても、それ以上の方が本町に転入され、 定住して下されば、人口は増加に向かいます。

然るに本町にはまだ人口増加が可能な要素が残っているものであり、必要な条件整備を急いでいますが、町内企業へお勤めの方々は、近隣の市町で住宅を求められている実態であり、 このことが人口減少の一番の要因です。その背景には、農地転用が非常に難しく、言わば“軒下まで網が被っている町”と言っても過言ではなく、住宅用の土地が極めて求め難いと言う面が、 人口減少に繋がっていることは否めません。

食料自給率向上のため農地を大切にして、また農業を守っていかねばならない視点と、まちづくりを進める上で不可欠な定住のための住宅環境整備の視点とは、相反する課題ではありますが、 両者のバランスを崩さない、無理のない開発を進めていかねばなりません。

平成23年に策定した第五次竜王町総合計画は人口問題への取り組みを柱とする内容であり、本町が過去において最大人口であった13,700人を勘案し10年後の人口14,000人を目指すものとしています。

本計画を策定して4年目を迎え、来年は折り返し地点になります。今一度本腰を入れて取り組んでいく意味を併せて、 町役場内に「若者定住人口増加プロジェクトチーム」を設置し全力傾注の体制を敷いたところです。

プロジェクトチームが目指すところはただ一つ“人口問題に関して町民の皆さんに目に映る形の答えを出すこと”であります。

ハードルは高くても越えねばなりません。この取り組みこそが持続可能な活力溢れる自治体になっていくものと思っていますし、 来年の町制60周年を迎える本町にあって住民おひとりおひとりのパワーとエネルギーを結集することで新たな一歩を踏み出せるものと確信しています。

町の還暦を町民の皆さんと共に充実した思いで、更には明日への希望を持てる町として迎えることが出来るように願っているところであり、 まちづくりの中で一番の課題である人口問題に方向性を見出すことができれば、竜王の名に相応しい町になるものと思っています。

町村長随想
バックナンバー
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度
平成22年度
平成21年度
平成20年度
平成19年度
平成18年度
平成17年度
平成16年度
平成15年度
平成14年度
平成13年度
平成12年度
平成11年度