全国町村会

街路樹の功罪

埼玉県松伏町長 会田 重雄

若葉青葉の美しい季節になりました。夏には木陰と涼風を届けてくれる町の街路樹も、山野の木々に負けじと豊かに葉を繁らせています。

この時季になるといつも悔やむことがあります。それは街路樹にどうして“くすの木”を選んでしまったのかということです。

平成の初め区画整理事業により道路を整備した際、幅2メートルほどの歩道に街路樹を植えました。通りによって植えられた木の種類は違うのですが、 20数年経った現在、その巨木の維持管理に苦労しています。

特に“くすの木”が街路樹の域を超え、目通り30センチ、高さが数10メートルにも成長しています。そして成長の早い枝葉の剪定は毎年行わなければならず、 おまけにくすの木は一本当たりの剪定枝の量が多く、その処分にも多額の費用がかかります。

また地上のみならず、成長する根が歩道の縁石やタイルを持ち上げてしまい、その補修の費用捻出にも苦労しているからです。

当時は歩道付き道路の整備は初めての事業であり、 もちろん道路への植栽も初めてのことだったので“くすの木”の生態をよく調べないまま害虫や病気に強いというだけで選択したようです。

くすの木は温暖な地域を好み、大きいものでは目通り1メートル以上、樹高は10メートル以上にもなる樹木です。 大宮(さいたま市)の氷川神社や明治神宮の境内に御神木として植えられておりますので、ご存知の方が多いと思います。注連縄が張ってあるあの巨木です。

ちなみに埼玉県越生町にある埼玉県指定天然記念物の「上谷の大クス」は目通り15メートル、樹高は30メートルあるそうです。

くすの木は公園等の広い空間に適した樹木だと、今では職員も分かってきましたが、既に植えられているくすの木には毎年悩まされています。

本町にはこれ以外にもケヤキが街路樹として植えられている道路があります。ケヤキは「埼玉県の木」に指定されている、幹も枝も天高く伸びるあのケヤキです。

ケヤキも、くすの木同様大きく育つ木で、最近では屋敷林の消滅と共にあまり見られなくなってしまいましたが、屋敷林に多く植えられていた木です。

こちら(ケヤキ)もくすの木同様、根の成長による歩道への影響もさることながら、秋の落葉シーズンに、 近隣の住民から落ち葉掃除の苦情が出ないよう太い幹から1〜2メートルで枝を切り詰める対策を取っています。 その姿は“植物虐待”(こんな言葉はないかもしれませんが敢えて言わせてもらいます)の見本を作り出している状況でなんとも悲しいことです。

精一杯生きている街路樹には何の罪もないことです。街路樹の樹種選定にあたってはその木の生態をよく調査すると共に、くれぐれも細心の注意を払って決めたいものです。

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