全国町村会

日本最南端の町 竹富町

沖縄県竹富町長 川満 栄長

【町の概要・歴史】

日本列島南北に約3,000q、6852もの島々から構成されている海洋島しょ国です。有人島で最も南の島を有するのが竹富町で、16の島々(9つの有人島・7つの無人島)から成り立っています。 陸域面積の334kuは県内41市町村中最大であり、サンゴ礁海域を含めると630kuとなります。人口約4,000人の、個性豊かで魅力あふれる、日本最南端の自然・文化・人が共生する町です。

大正3年に一つであった八重山村から分村。村役場を竹富島に置き村政をスタートしますが、経済の中心地、現石垣市と町内島々の海上ネットワークは構築されるも、 町の島々間の海上ネットワークは難しく、大正14年には石垣市に出張所を開設。昭和13年には石垣島に役場を移転し、今年76年目になります。終戦後、昭和23年に人口9,000人余に膨れ上がり、 竹富村から竹富町となりました。村政34年、町政66年、今年自治体施行100年の佳節となります。

【特異性】

本町を訪れる人々は町役場が他自治体(石垣市)にあることに一様にビックリします。本庁舎内で働く職員は全て石垣市民で、職員が納める住民税は竹富町に入りません。その額、 約1,200万円であり、市に納税することになります。町長、町議員への投票権は無く、市の代表を選ぶ権利を有しています。飛躍的に住民の生活レベルが向上し、港湾、道路、通信、電気、水道、 教育施設、その他公的施設等が一定水準確保できている現在、本来のあるべき姿に戻そうと、町内への役場移転計画を推進しているところです。

その他、海で隔てられていることもあって学校を合理化することは物理的に無理で、小中学校合わせて13校(約350人)と、他自治体と比較して多い数となっています。義務教育までしかなく、 進学の際には15歳で親元を離れ、早い一人立ちを余儀なくされています。

その他、焼却炉6基、急患ヘリポート7ヵ所、給水のための海底送水管、水源地取水堰(複数)確保等も、他ではなかなか見られない事例だと思います。 合理化が難しいことから町財政運営は常に厳しさを強いられています。

【北と南の絆】

北海道の斜里町と竹富町は姉妹町です。昭和48年1月10日、国立公園がとり持つ縁で盟約を結び、41年目になります。町民間、職員間、児童生徒の交流、物産、文化等、 様々な交流を通じて両町の絆・友情・友好を深めています。今後とも良きパートナーとして、両町の発展はもちろん、人類生存の基盤とも言うべき自然保護の高揚に寄与してまいりたいと思います。 また、斜里町にはすでに世界自然遺産(知床半島)があり、大いに参考とし、ご指導をいただいているところです。

【世界自然遺産登録】

世界に誇れる雄大な自然と生物多様性の宝庫として、類まれな価値と保全・保護が評価され、平成26年1月「奄美・琉球」世界自然遺産登録候補地として、西表島が選定されました。 そこには、「今世紀最大の発見」(1967年)と言われ、大きな話題となった国の特別天然記念物である「イリオモテヤマネコ」や「カンムリワシ」等、その他多くの、 極めて貴重で多様な生物が生息しており、亜熱帯の豊かな生態系が保たれています。

西表島以外の島々も、国立公園化を実現し、保全・保護地域と併せて本町の島々の自然が将来に亘って守られ活かされ、人との共生に繋がる施策を展開しています。

【オンリーワンの島々 日本の秘境町へ】

長い歴史の中で、先人たちが人と自然と文化の調和を保ちながら営々と築き上げてきたのが現在の竹富町です。一つの島の例として昔ながらの伝統的な赤瓦のまちなみを今に残す竹富島は、 国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、集落内は赤瓦、板壁、石積み、白砂の道路等、真に島の誇りと個性がきらめく「らしさ」創出が図られています。他の島々も個性で輝いており、 オンリーワンの島々の集合体が本町の特性です。

このように多様で魅力ある景観資源を町民共通の財産として、現在及び将来、町民が「維持・継承・発展」させ、最大限に活かしていくため、平成25年6月に景観条例を制定し、 景観計画を立てました。「まもる」「そだてる」「おさめる」をキーポイントとして、景観づくり・町づくりをすすめているところです。まさに日本の秘境地「ふるさと」づくりを最南端の町から。

【日本初の海洋基本計画】

本町はすべて海に囲まれています。「隔ての海を結びの海へ」が町民の合言葉であります。海は、漁業だけではなく多種多様な海洋レクレーションを創出しており、 本町の魅力ある重要な資源の一つとなっています。

一方で、毎年押し寄せる海岸漂着物は白い砂浜を汚し、美しい海岸線を損ない、それだけではなく、産卵のため上陸するウミガメを始めとして、その他の生態系にも大きな悪影響を与えております。 海洋環境の保全・海洋の安全の確保・海岸線の総合管理、離島の保全等が海洋基本法に定められており、一自治体では難題な課題を類似自治体と共有し、 または県・国とも連携して海を保全し最大限活かそうと計画を策定しました。23の施策項目を立て事業を展開しているところです。

結びに、「自然・景観・文化・歴史・島人」が本町の町づくりのキーワード、コンセプトであり重要な財産、宝です。それらを後世代に継承していくのが私達の責任・使命だと思っています。 共生・協働・和で世界一の「住んでよし!訪れてよし!」の故郷を目指して!

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