全国町村会

来し方の記

徳島県町村会長 徳島県つるぎ町長  兼西 茂

阿波の国、徳島県を東西に貫く「四国三郎」吉野川の中流域、西日本第二位の高峰「剣山」(日本百名山・標高1955b)を借景にして、私のふるさと「つるぎ町」はある。 遙か縄文の昔から人々が命を繋いできた地域であり、平家の落人伝説にまつわる遺跡なども剣山周辺に多数点在しており、歴史ロマンあふれる町でもある。

旧半田町・貞光町・一宇村の3町村が合併し、美馬郡つるぎ町として誕生したのが、10年前(平成17年3月1日)のことで、人口1万490人、面積は194.8平方メートル。

林野面積の占める割合が84%ということで、町の大半が山林という典型的な中山間地域であり、急峻な山肌に農家が張り付くように点在していて、夜間に吉野川沿いから見上げると民家の明りが、 まるで星が瞬いているように見えることから、地域一帯には、「そらの郷」という別称もあるほどだが、やはり中山間地域というと「過疎」というキーワードに繋がってくる。 本町の場合も人口減少の一途をたどっており、毎年、250人程度の人口減が続いている。

これにより農地や山林の荒廃が進み、集落自体の維持が困難となる限界集落が全189集落中、91集落に及ぶに至っており、高齢化率も今年、40%に達した。

一方、本町には先達が大切に守り育ててきた町の宝といえるものも多数存在する。江戸時代後期から作り続けてきた特産の「半田そうめん」、 うだつに寿福を祈念する絵模様(鏝絵)が装飾されている「二層うだつの町並み」、巨樹として認定された樹木の数の多さでは全国有数を誇る「巨樹王国」(平成21年には全国巨樹フォーラム開催。)など、 自然豊かな地域性を生かした町の自慢がある。

  

・・・ため息まで町政に・・・

さて、私が町長に就任したのは、旧半田町時代の平成11年3月、「ため息まで町政に」をキャッチフレーズに、就任以来、 お年寄りや身体の不自由な方など弱い立場の人々の声なき声も吸い上げて町政に反映させることを終始一貫、心がけてきた。

就任当初は、赤字経営が続いていた町立半田病院の安定的経営を確立しようと、関係者と昼夜を問わない議論を重ねたことも懐かしい思い出。

そして、病院内に新たに腎センターを開設するなど、経営改善に努めた結果、現在では徳島県西部の中核的な総合病院の一つとして、黒字経営を続けながら、地域住民の生命を守る拠点として、 無くてはならない存在となっている。

  

・・・町村合併・・・

平成17年3月の町村合併に向けては、当時、美馬郡町村会長として合併枠組みの調整に奔走したことを思い出す。7つの町村にはそれぞれの思惑があり、議会の意向も考慮しながら、 そしてお互いに譲れるところは譲り合いながら最終的に7町村が一市一町という形で新しいスタートを切った。

合併当時は、地方分権の受け皿として、新たな時代の要請を受けたとはいえ、誰もが希望と不安を抱きながらの船出だった。3町村が名実共に「つるぎ町」として認識いただけるよう、 そして町民の一体感も醸し出せるよう、町民コンサートなど各種イベントにも積極的に取り組みながら現在を迎えているが、10年間の間に随分仲間意識というものが芽生えてきたと実感している。

しかし、合併したからといって厳しい財政状況に変わりは無く、もがき苦しみながら地方交付税の動向に一喜一憂する年が続いている。

  

・・・子どもたちの未来のために・・・

現在、町では南海・東南海地震の発生を想定して、公共施設等の耐震改修事業を進めているが、まずは町の未来を担う子どもたちの安全確保が第一であるとの考えから校舎の耐震改修を優先して進めてきた。 今後は、急傾斜地の崩壊対策、橋梁の耐震改修等その事業範囲を広げ、大地震に備えなければならない。

そして、徳島県町村会長を拝命してからも、お年寄りや子どもなど弱い立場の人々を大切にする政治スタンスになんら変わりはない。 今年からスタートしたコミュニティーバスはお年寄りなどに非常にやさしい運行をしているということで、県内外からたびたび視察があるし、幼稚園の入園料なども近隣の半分以下に設定してきた。

また、保育所では待機児童が発生しないよう、受け入れ体制を充実させている。このように子育て世代やお年寄りにやさしい町を追求しながら、これを内外にPRして行きたいとも考えている。

今やらねばならないことには、多少の反対があっても積極果敢に取り組んでいく姿勢を今後も持ち続け、生まれ育ったふるさと「つるぎ町」の発展に少しでもお役に立てるよう、 精進を重ねて行きたいと思っている今日このごろである。

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