全国町村会

佐久穂町のこれから

長野県佐久穂町長  佐々木 定男

佐久穂町は、旧佐久町と旧八千穂村が合併し、9年になろうとしている。長野県の東南部に位置し、東は群馬県の上野村、南牧村、西は茅野市、南は小海町、北は佐久市に接し、 ブーメランのような形をした町である。

町の中央を千曲川が流れ、標高は724mから縞枯山の頂上(2,403m)までの差がある。

年間の降水量は920o前後と少なく、日照時間は平均2,000時間と長い。山梨県北杜市に次ぐ晴天率の高い地域である。

長野県というと、冬は雪のイメージがあるが、内陸性の気候のため冬は寒く雪は少ないものの、年間平均気温10℃前後と比較的暮らし易い環境である。

現在人口は12,115人であり、一番の悩みは少子高齢化そのものの、人口減少である。「水と緑のうるおい 人の営みが奏でる未来のふるさと」を理念に、「合併して自立」を目指し合併したが、 新しい町づくりの難しさをつくづくと思い知らされた。昭和の大合併時と、その後の先輩達の苦労が今良く理解できる。

10数年前、長野経済研究所が長野県の市町村を7つの型に分類した事がある。佐久町も八千穂村も「就業機会他地域依存型」であった。

2012年、信州大学経済学部武者忠彦ゼミの学生18人と社団法人長野県建築士会佐久支部の青年女性委員が、信州「まちなみ」の調査地に佐久穂町を選んだ。なぜ選んだかといえば、 佐久穂町は「平均値の町」であったからである。長野県内58町村のなかで比較すると、高齢化率は31.9%で上から30位、人口増減率は5.3%で上から37位、人口千人当たりの小売店数は11.6店で上から29位と、 いくつもの指標が平均値に近い値を示す。平均値の町という事は、「佐久穂にはこれといった特徴がない」裏を返せば、「面白くもおかしくもない町だ」と言われても仕方がない。

武者准教授は、このような町でこそ地域の住民が気づかなかった“まちなみ”の資源に注目し、その価値を明らかにする意味があると考え、調査したのである。

10月に日本建築士連合会青年委員会が、地域実践活動発表会を松江市で開いた。まちなみ調査事業の代表を務める井出正臣さんが発表し、最高位賞に当たる同連合会長賞を受けた。

「まちなみ」の価値に町民が気付かなかったように、この町が持てる資源価値がまだいくつもあるような気がする。その価値を特徴づける事が、今後、佐久穂の生きる道ではないかと思っている。

理想とするリーダー像が最近少し変わって来た気がする。かつては俺について来い型であり、少し前は意見集約調整型であったが、最近はまた、強いリーダーの出現が望まれているようである。さて、 私はすぐには替われない。どちらかといえば、自分の年齢を考え、調整型が少し強い折衷型で行くしかないと思っている。

紹介した井出正臣さんのように、最近町づくりに熱心で元気な若者が、町に増えてきた。若手の町職員も、リーダー養成塾に6年連続参加し、その6人と企画財政係が中心となり、 町づくり活動が活発に動き始めて来た。養成塾の目標である広い視野と深い見識、卓越した想像力と豊かな人間性、常に問題意識と確固たる使命感を持ち、積極的、主体的に行動出来る地域リーダーが、 次々と育つことを期待し、ワクワクしながら楽しみに待っている。

合併前から、両町村は住民の健康管理事業に取り組んできたが、特に八千穂村は昭和34年から佐久総合病院と連携し、全村健康管理事業を進めて来た。合併後もこの事業を重要課題と位置づけ、集団検診、 施設検診、人間ドックと健康管理には、町立千曲病院、佐久総合病院と共に力を注いでいる。56年目を迎える今年は、町民の要望と時代にマッチした仕組みに変えねばならない部分があるかもしれない。

子供の数の減少を背景に、平成19年2月に保育所、小中学校在り方検討委員会を立ち上げた。1年余りの協議の末、保育所はそのまま、4小学校は1校に、2中学校は1校に統合し、 しかも地域に根差した小中一貫教育を進めるようにとの答申をいただいた。

幸い町民の皆さんの理解を得、平成27年開校予定の佐久穂小中学校の建設工事が順調に進んでいる。全国各地の実践校での成果や課題も見えてきた。「学力向上」や「中1ギャップの解消」などの成果以外にも、 小中教員の意識の壁や多忙化など課題もあるようである。

将来、卒業生からあの学校で学んでよかったと言ってもらえるような学校づくりに傾注したい。

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