全国町村会

川下発想

大阪府河南町長 武田勝玄

誰が支える?
中央集権化と社会経済活動の一極集中によって若い世代は子どもたちを連れて便利な都心部へ、残るのは住み慣れた家屋敷や長い間に培われたご近所との人間関係を断ち切れない人達、これを親子の分断という。また、離婚率の高まり、子育ての多くは母親がしている現実、これを夫婦の分断という。そして「節税」の名のもとに行われる世帯分離、これを都合の分断という。三つの分断がこのまま進むと高齢者の一人暮らしと一人親家庭の比率が益々高くなっていく。医療費や介護費用が増加し保険制度がぐらつき、生活苦から生活保護世帯が増え扶助費が益々増大していく。いったいこれから先、誰がささえていくのだろうか。少子化・高齢化や経済の停滞の議論だけで済ませてよいのだろうか。切り札とされる消費税の増税ではたして解決するのだろうか。私はそうは思わない。

本質的な取り組みがなされないで解決はあり得ないと考えている。困った層に減免策や給付策をとる形だけでは細分化された層毎に効果が相殺され公費の投入に見合う満足が生まれない。例えば、子ども手当に高齢者は不満を覚え、不満解消のために高齢者対策を講じれば今度は非正規労働者層やフリーターや失業者の層から新たな要求が生じる、というように終りなき政策の繰り返しになるだけである。消費税を仮に大幅に上げても細分化されたいくつかの層には減免議論が一段と大きくなって所期の効果をどれだけ達成できるか疑問である。

私は本質的に今こそ社会を支える力を大きくしなければならないと思うのである。支える力は「家族」という最小単位に行き着く。「分断」の連鎖を断ち、3世代・4世代が一緒に暮らす「多世代による大家族政策」がとられることを切望する。

教育が救う
人口が減っていくのに都心部は逆に増加していく。そして保育所の待機児童が減らない。自治体努力は経済情勢が逆に作用して保育ニーズに追いつかない。夫婦で働くために先に保育所に預けたいが、「保育に欠ける」為には先に職に付かなければならない。にわとりが先か卵が先かで困っている家庭も多いと聞く。定員割れ幼稚園の現実を見ると、子どもたちをとりまく子育て・教育環境は大変いびつになっているのではないか。解消策の一つ「認定こども園」の設置も制度が十分に活用されているとは言い難いようだ。

私は国が思い切って仕分けをするべきだと考える。保育所の管轄を文部科学省に組み入れてしまう。「子ども家庭省」の構想も少し前に報じられたが、もっと議論を発展させて、保育に欠ける、欠けないではなくて「生まれたらすべて教育」とする考え方である。保護者が望むなら全ての子どもを短期・長期を問わず教育施設で預かるのである。これはヨーロッパのいくつかの国ではすでに取り入れられているようだ。ここでは議論をさらに進めて、生まれる前から即ち母親の胎内にいるときから教育、これを40年前にソニーの創業者、井深大氏が提唱されているが、この「0歳児からの教育」の制度設計を望みたい。

町村システム連合を
「平成の大合併」が一息ついて特に町村においては自治体経営に一段と力のこもった平成22年度のスタートではないかと思う。  

そこで前々からどうにかならないかと思うことを提起したい。本町では色々なシステムの保守やリースに毎年約一億円もの負担を強いられている。もし町村の中で同じOS(Operating System) を持っているところと連合できれば格段にコストセーブできるはずである。(人口が1,000人でも100,000人でもサーバーの容量の違いがあってもプログラムは同じなのである。そして府県をまたいでとんでもない距離にあろうとも光ケーブルかブロードバンドがそれを可能にする)。これは政府がすすめているクラウドコンピューティング(ネット上にサーバーを置く)に相反するものでもない。近い将来OSごとに町村システム連合ができたら「平成のバーチャル合併」と呼ばれるかもしれない。

以上今回の寄稿とする。紙面の制約から一部説明不足になっているが本質的にはご理解いただけるものと思う。これは平成22年4月1日から2期目をスタートした私のマニフェストの一部でもある。

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