全国町村会

わがむら

広島県君田村長  藤原 清隆

 
8585平方キロ余りの細長い村で、中央部を一級河川江の川支流神之瀬川が、北から南へ流れている。上流に発電用ダムが建設され、以来かつての清流は見る影もなく、水質は悪化している。

明治の町村制施行時、当時7村が合併して誕生以来、昭和の大合併にも残り、現在まで114年の歴史を重ねてきたところであるが、今回の合併は避けて通ることはできない状況で、生き残りは困難であり、近隣8市町村で合併協議が進み、16年4月には永い村の歴史を閉じる予定である。

ふり返ると、合併当時は3,700人、戦後のピーク時5,000人余、現在2,000人の歴史の中で、主な産業は、農林業、畜産に頼って生きてきた歴史であった。

近年は、雇用の場を近隣に求め、農地を保全しながらの兼業が殆どである。雇用の場の少ない地域内で、これの創設は各地域とも強い要望であると思われるが、思うように展開できないのが現況である。

現在では、温泉を掘り地域の活性化を模索するパターンが各地で多く見受けられるところであるが、わが村では、温泉ブーム以前の昭和63年泉源掘削を実施したところ、幸いに260メートル掘り下げ、毎分610リットルの重曹泉を掘りあてた。この泉質は本村に古くから湧出し、1戸ではあるが温泉宿として経営され、温泉効能が高く評価されていたものと同質のものであった。

泉源は確保したが、これをどのように利用するか、財源の調達見込みもなかなか見通しがつかない中で5年位経過し、住民の不満の声も出始め、利用について温泉検討委員会を発足させ議会ともども調査研究を重ねながら、施設の規模、管理運営方式など住民の意向調査、外部意見など取り入れ、約2年余にわたる検討を加えた結果、整備の目標として、
1、地域間交流の促進の場
2、心身の健康づくりの場 
3、若者から中高齢者の就労機会の場
4、農林業等地域産業振興の場
などを掲げ、住民合意を得ながら、平成8年建設にとりかかり、翌9年10月第三セクター株式会社組織でオープンに漕ぎ着けた。

昨年10月、満5周年を迎え、当初計画を大きく上回る実績をあげられたことは、整備目標を絶えず念頭に置き、役員、従業員一体となり、後年度行政には運営面で負担はかけてはならないと従業員も強く認識し、温かい接客サービスに努め、多くのリピーター客に支えられ、5年間に100万人の入浴客数を達成し、オープン以来健全な黒字経営を続けているところである。

一つの拠点施設ができると、それを核として住民の意識が大きく変わってくる。それは温泉と共にオープンした野菜市も年々売り上げを伸ばし、生産者の取組も意欲的になり、総ての面で良い方向へ回り始めるものである。

交流人口が増えれば、迎える住民も心温かい対応が必要であり、自然を大切にし景観や環境にも気を配る気持ちが生まれ、育ってきているところである。

全国的にも、第三セクターの施設が軒並み行き詰まった状況の多い中で、幸いにもオープン以来、一度も赤字は出していない実績の中で、拠点施設としての位置づけを確立し、他への波及効果も好結果を生んでいるところであるが、今や全国的に市町村合併問題が急速に進展し、特に小規模町村の生き残りは厳しく、第三セクターの今後の運営は今までのように地域のもの、我々のものとの感覚が薄れる恐れが多分にある。

 合併により周辺部の落ち込みが地域住民とすれば最大の心配材料であるが、地域からの強い発言力のある組織が法的な裏付けのもと整備されることが望まれる。

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