全国町村会

寿命

エッセイスト 山本 兼太郎 (第2370号・平成13年9月24日)

長びく不況とどこかゆるみがちで不安な世相であっても、寿命がのびたといわれると、やはり明るい気分になってくる。

8月に発表になったところでは、前年に比べて男は0.5歳のびて77.64歳、女は0.6歳のびて84.62歳である。いずれも、これまでの最高で、世界一の長寿だそうだ。女性にいたっては、16年間連続して、世界一の座を保っているというから頼もしい。

「健康寿命」というのがある。平均寿命から病気や障害などで活動を中止している期間を差引いたもので、その国の人たちの健康の度合いを見る尺度とされている。身体に多少の故障があっても、薬を飲みながらでも、社会的な活動ができるという寿命がそれである。

WHO(世界保健機関)が昨年、加盟国191か国についてまとめている。それによると、日本は男女平均で74.5歳(男71.9歳、女77.2歳)で、これもまた世界一だという。平均寿命と健康寿命の差がおよそ6年で、これが日本人の生涯で、病気で伏せている時間ということになる。

このような日本人の「平均余命」すなわち年齢別にみて、あと何年生きることができるかである。40歳では男39.03年、女45.53年。50歳では男29.82年、女36.02年。55歳では男25.48年、女31.40年。60歳では男21.34年、女26.86年。65歳では男17.48年、女22.44年。70歳では男13.87年、女18.20年―となっている。

これまで「寿命」という言葉を何気なく使ってきたが、これは単なる「命の長さ」のことではない。命を寿(ことほ)ぐという意味を持っている。60歳を定年とすると、余命は20余年。人それぞれの天与の命を寿(ことほ)ぐ黄金の時間と考えたい。

「人生堂々と老いぬ着ぶくれて」は俳人上甲平谷の99歳の句である。

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