全国町村会

生活習慣病

エッセイスト 山本 兼太郎 (第2359号・平成13年6月11日)

「成人病」が、「生活習慣病」といわれるようになったのは平成7年からである。生活習慣からくる慢性の病気だから「生活習慣病」というべきだと日野原重明(聖路加国際病院名誉院長)さんらが、長年提唱してこられたのが、実ったものだそうだ。

化石燃料といわれるガソリンなどの消費は、この50年間に3.5倍、肉の消費にいたっては5倍もふえていると報ぜられていた。アメリカのあるシンクタンクの報告である。先進国といわれる国の人たちは、肉をたらふく食って、排気ガスをまき散らす乗り物で走り回る。揚げ句の果ては、飽食と運動不足による肥満の人の増加││といった漫画風なイメージが浮かんでくる。

実際に世界の人口の6分の1に当たる10億人以上が太り過ぎになっている。そしてアメリカでは、成人の61%が肥満で、病的な肥満にいたっては27%もあると報告書はいっている。その結果が肥満からくる糖尿病、高血圧、心臓疾患、がんなどの増加である。文字どおり、飽食と運動不足という悪しき生活習慣からくる慢性病である。

この病気、いったん発病すると、病気の進行を遅くする程度のことはできるが治癒することがない。一生つきあうことになるので、医療費も巨額になる。高齢者が年々ふえていく昨今のことである。良くない生活習慣を改めて、少しでも慢性疾患を少くすることが、もはや国民的課題である。

「生活習慣病」を提唱した日野原先生は今年90歳。6つの財団の理事長、講義や講演、原稿執筆などで超多忙な人である。ところが、朝食はミルクコーヒーとジュースかバナナ。昼食は忙しいせいもあるが牛乳とクッキー数個、夕食は御飯3分2膳と魚か肉に野菜――とたいへん質素である。

一方、病院ではエレベーターは使わずに、3階までは歩いてのぼる。空港でも動く歩道は使わない。5キロほどの荷物を持って歩くという。飽食・運動不足とは関係のない生活である。動く歩道の人よりも早く到着すると、やった!とばかり快哉を叫びたくなるというから、気持の若さも大切なようだ。

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