全国町村会

政務調査費ほか

エッセイスト・画家 玉村 豊男 (第2659号・平成20年11月17日)

市町村議会における、政務調査費の問題がしばしばメディアで取り上げられる。

その額が適当かどうかだけでなく、その使途についても、海外視察という名の物見遊山や、資料費で関係のない趣味の本を買うなど、公金の私物化が指摘され、糾弾を受ける。

実際、これまでは、公費で旅行するくらいは議員の特権であり、図書や資料のための費用は歳費に加算される個人的な収入だ、くらいの感覚で過ごしてきた議員も少なくないのだろう。テレビのレポーターに追求を受けると、たいていの議員が返答に窮してしどろもどろになり、最後はいちおう非を認めるものの、その顔には「昔からみんなやっているのにどうして俺だけが……」と書いてある。

地方議会の開催日を週末にして、議員の歳費を日当制にしようという動きもある昨今、地域の有力者の寄り合いのような名誉職的議員観がいまの時代に通用しないことはあきらかだが、議会のありかたや議員の身分より、政務調査費の問題はもっと簡単である。どの自治体も慢性的な予算不足に悩んでいるいま、定額の政務調査費は不要だろう。そのつど必要に応じて必要な額を支払う、会社の出張と同じに扱えば済む話だ。

政務のために必要な旅行や調査は、まずその概要を書類にして許可を求め、許可が下りたら経費の仮払いをしてもらう。旅行や調査が終わったら、その報告を提出して審査を受け、実際にかかった経費を精算する。民間ではあたりまえのやりかたである。その際、許可や審査にかかわるのは身内の議長や議員ではなく、民間のオンブズマン組織に委ねるのが住民の理解を得やすいやりかただろう。

公共事業の進めかたなどをめぐって、議会で出した結論が一般住民の理解や要望と異なり、実行の段階になってトラブルを招くこともよくあるが、これもまず議論の経緯を透明化し、すべての情報を公開することが、問題を解決する唯一の方法に違いない。

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