全国町村会

観光立町村

エッセイスト・画家 玉村 豊男 (第2594号・平成19年3月26日)

日本は観光立国をめざしている……らしい。政府も自治体も、外国人観光客の受け入れを増やしたいと考えており、そのための施策を講じているようだ。たしかに観光は平時における世界最大の産業であり、とくにインバウンド(外国人による国内旅行)よりアウトバウンド(日本人の海外旅行)のほうがはるかに多い日本の現状は、早急に改善される必要があることはいうまでもない。

観光と言うと、世界遺産だとか、すでに実績のある既成の観光地しか頭に浮かばないかもしれないが、本当はどんな町にも村にも関係することなのである。地域の産物や、風景や、人の営みそのものが、ちょっと見方を変えれば観光の対象になるのだから。地元の人には珍しくないことでも、遠くから来た、とりわけ外国人には、その「何の変哲もない日本の田舎」のようすそのものが魅力的に映る場合が少なくない。

まさか、うちの町なんか、外国人が観光に来るわけないじゃないか。

ふつうの地域では、地域のみんながそう思っている。

しかし、本当にそうだろうか。いまはインターネットを見て辺鄙な田舎へも面白いと思えば遠くから人がやってくる時代である。うちの村にお見せするものは何もない……と謙遜するのは日本人の美徳だけれども、謙遜ばかりして目を瞠っていないで、おらが町や村の自慢できるもの、珍しいもの、美しい景色、古い風習など、なんでもいいからみんなで探し出してみたらどうだろう。

たとえ外国人がやってこなくても、いや、日本人の観光客さえやってこなかったとしても、そんなふうに自分たちの地域を(外国人や観光客になったつもりで)外からの眼で見直してみることは、地域が持っている財産に対する住民の意識を高め、自分たちの暮らしのかたちを客観的に評価するよい機会となるだろう。 

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