全国町村会

非現実的な年齢区分のとり方

東京大学名誉教授  大森 彌(第2936号・平成27年10月12日)

これまで、国も自治体も人口構成を3区分で表してきた。「0〜14歳」の年少人口、「15〜64歳」の生産年齢人口、「65歳以上」の老年人口である。「増田レポート」も国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」も、 今策定中の地方版人口ビジョンの多くも、この3区分を使っている。この年齢区分は、国際基準であるが、国内施策の展開にとっては実態とかけ離れており、修正のうえ活用してしかるべきである。

筆者が大学生だった1960年頃までは、高校進学率は6割に達せず、15歳以上の若者の多くは、すぐに就農・就職していたから「生産年齢人口」であった。しかし、現在の15歳〜22歳は、 高校生と大学生・専門学校生(18歳以上の75%)であり、親のすねをかじっているこの層を生産年齢人口というのは不合理である。年少人口にカウントすべきである。

さらに問題は老年人口を65歳以上としていることである。1980年代の終わりごろまでは、「社会的弱者」「枯れる」「手のかかる厄介者」といった一律の「老人」イメージが支配的であった。 しかも、企業や役所では60歳で定年退職するのが当たり前とされていた。現在の60歳〜75歳の人びとは、個人差はあるが、概して、体力・気力・財力においても十分に社会的な貢献や役割を果たし得る「人財」である。

筆者が「参与」を務めている長野県の「人口ビジョン」では年齢3区分変更ケースを示している。現行の年齢3区分は、高校進学率98.6%、大学等進学率47.8%(長野県/2014年度)となり、 また平均余命や健康寿命が伸長してきていること等、県民の実生活を反映しきれていない面がある。また、人口減少下で地域の活力を維持していくためには、 高齢者が経験や知識を活かして活躍できる社会づくりが重要である。そこで、「0〜19歳」「20〜 74 歳」「75歳以上」で区分して人口割合がどう変化するのか推計している。 生産年齢人口の割合は、「15〜64歳」では2060年に52.5%に低下するのに対して、「20〜74歳」と捉えると2060年でも57.6%となり、長期的には60%を超えて定常化する見通しとしている。 年齢区分の適正化によって、現役世代が自分と子供たちを扶養しながら何人で高齢者を支えるのか、地域社会の将来イメージが大きく異なってくる。

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