全国町村会

「国と地方の協議の場」の法制化

東京大学名誉教授  大森 彌 (第2692号・平成21年9月7日)

この拙文をお読みいただくときには、総選挙後の新たな組閣をめぐって国の関係者は大わらわであろうが、どの政党が政権をとろうとも、選挙公約であるマニフェストの実現に厳しい目が注がれることになる。地方分権関係で知事会等が要 請した「国と地方の協議の場」の法制化は、民主、自民、公明、社民の各党とも約束していたから、実現の可能性は高い。

三位一体改革のときに、地方六団体が国に代わって国庫補助負担金の廃止・削減案のとりまとめを行い、総理に提出した折、国と地方の協議を総理が約束し、実際に適宜行われてきたが、地方側が物は言うが、国側は聴きやく、というおざなりなものになってしまった。そこで、実効性を担保するため法制化を強く求めたのである。

地方分権改革推進委員会は、「自治行政権、自治財政権、自治立法権を十分に具備した地方政府の確立が必要である」とし、地方自治体を「地方政府」と呼び替えた。中央政府と地方政府との関係、すなわち「政府間関係」ということになれば、その運営原理は対等者間の「協議」になるから、それに法的基礎を与えるために協議機関の法制化が必要になる。

知事会の言い方では、法律で設置される「政府と地方の代表者等が協議を行う「(仮)地方行財政会議」は、「国と地方の役割分担、国による関与・義務付け、国庫補助負担金、地方税財政制度、地方への新たな事務・負担の義務付けとなる法令・施策等」について協議することになる。これは地方の国政参加ともいえ、分権と自治の充実への突破力となりうる。

協議とは、問題解決をめざし、関係者が誠実に話し合い、合意に到達しようと努力することである。何を話し合うのか、話し合っても合意に至らない場合はどうするのか、話し合いの場を、どういう機関にして、どこに置くか、そのメンバーにはだれがなるのか、事務局と経費はどうするのか等、詰めなければならない制度設計上の問題は多い。このためには地方側の一致団結が不可欠である。

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