全国町村会

地方交付税を「地方共有税」へ

東京大学名誉教授  大森 彌 (第2564号・平成18年6月19日)

地方6団体が設置した「新地方分権構想検討委員会」は、去る5月8日に地方財政自立のための7つの提言をまとめ、「分権型社会のビジョン(中間報告)」を出した(筆者も委員として参加)。その中で地方交付税への批判に対する地方側の主張を盛り込んでいる。地方交付税は、地域社会の存立基盤を維持し、国で定めた一定水準の行政サービスを、国民が全国どこで生活しても享受できるようにするためのものであり、国税という形で徴収されているものの一部となっているが、本来地方の固有財源であり、また、自治体全体で共有している財源である。従って、地方交付税が、自治体の「連帯」と「自立」の精神に基づくセーフティネットであることを制度上明確化させる必要がある。そのため国(上)から地方(下)に「交付する(恩恵的に与える)」ものではないことを明らかにするため名称を「地方共有税」に変更し、さらに国民から国の財布への「入口」までは税であるが、国の財布から地方の財布への「出口」では「税」という表現になじまず、地方でその財源を必要に応じて調整し、融通し合うことから、「出口」では「地方共有税調整金」とすべきであるとした。

いうまでもなく、これは単なる名称の変更ではない。この「地方共有税調整金」の額の調整及び決定について、地方が参画のうえ責任をもって行える仕組みを検討すべきである。今後、税源移譲による地方税の充実に伴い、地域間の税源の偏在のため自治体間の財政力格差の拡大が避けられないことから、これを是正するため地方共有税の財源調整機能はますます重要となってくる。

しかも、特に農山漁村が、都市部にはない水源かん養機能、森林の二酸化炭素吸収機能・酸素供給機能、食糧生産機能、さらには景観保全機能や都市住民の憩いと安らぎの場としての機能を有していること等を考慮しなければならないはずである。分権改革の中で農山漁村と都市の共生を財源調整制度でしっかりと裏打ちすべき時である。それなしの第二期税財政改革はない。

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