全国町村会

「閉じこもり防止」の大切さ

東京大学名誉教授  大森 彌 (第2540号・平成17年11月14日)

地域によっては、高齢化度が3割、4割というところが出てきているから、元気な高齢者が地域社会の担い手にならざるをえない。むしろ、そのほうが元気を維持できる。やや乱暴に言えば、高齢者は、できるだけ医者にいかず、介護サービスも受けないほうが幸せなのである。医療保険料も介護保険料も支払い続け、しかし、「掛け捨て」であの世へ行くのが、高齢社会における高齢者のよりよき生き方である。

高齢化度は65歳以上人口の比率で表されるが、75歳以上の後期高齢者の比率がより重要である。介護の必要が高まるからである。高齢者施策の基本が健康寿命を延ばすことであることは分かっている。このたびの介護保険法の改正で新介護予防給付が創設されたのも、特に軽度者への介護給付が不適切であると、かえって身体機能の衰えが進んでしまうことが判明してきたからである。

介護保険を実施して分かったことの1つは、介護認定者の六割近くが「認知症」(これまでの「痴呆症」)の症状をもっていることである。徐々に認知症の研究が進んできたが、その症状を悪化させない有効な実践的な工夫の一つが「閉じこもり防止」である。そのためには、1日1回は外出し、1日3人以上と会話をすることが基本だそうである。

身体と脳の活性化のためには生活のし方が大切になる。実は、その基本は子育てと同じ「早寝・早起き・朝ご飯」なのではないだろうか。早起きして、光を浴びると身体も脳も目覚め、1日の活動の準備ができる。早起きのためには夜更かしは禁物である。昔から「早起きは三文の得」というが、その得とは、早起きして朝ご飯をゆっくりと噛んで食べることである。日本人の遺伝子はコメの飯を指示しているはずである。ふっくら炊き上がったご飯・薄塩で具沢山の味噌汁・薄塩のぬか漬け、これが日本人の食の究極メニューではなかろうか。

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