全国町村会

新たな公共空間

千葉大学教授・東京大学名誉教授  大森 彌 (第2450号・平成15年8月25日)

第27次地方制度調査会が去る4月30日に公表した「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」は、地方分権時代における基礎的自治体の体制を構築していく上での重要な視点として、次のような「新しい公共空間」を打ち出した。これは注目してよい提案である。「地域における住民サービスを担うのは、行政のみではないということであり、分権時代の基礎的自治体においては住民や、重要なパートナーとしてのコミュニティ組織、NPOその他民間セクターとも協働し、相互に連携して新しい公共空間を形成していくことを目指すべきである。」これを受けて総務省は調査研究を開始している。

この提案は、地方分権推進委員会の「最終報告」(平成13年6月)における次のような訴えを引き継いだものとなっている。「自己決定・自己責任の原理に基づく分権型社会を創造していくためには、住民みずからの公共心の覚醒が求められるのである。・・・公共サービスの提供をあげて地方公共団体による行政サービスに依存する姿勢を改め、コミュニティが担い得るものはコミュニティが、NPOが担い得るものはNPOが担い、地方公共団体の関係者が住民と協働して本来の『公共社会』を創造してほしい。」

「新たな公共空間」とか「本来の公共社会」といった言い方で問いかけられているのは、地域における公共サービスは自治体だけが提供するものという、これまでの通念から脱却し、広く民間活動がもう一つの公共サービスの担い手となりうることに眼を向け、この双方の「協働」によって、地域社会に新たな公共的活動の世界を形成していくことが時代の要請になっているということである。これは、最近、カタカナで「ローカル・ガバメントからローカル・ガバナンスへ」と呼ばれている。

「ローカル・ガバナンス」とは、行政活動と住民・民間活動との対等・協力によって新たな地域力を発現させていくネットワークだといえようか。

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