全国町村会

容認できない「軽量町村」案

千葉大学教授 東京大学名誉教授  大森 彌 (第2417号・平成14年11月4日)

平成14年9月、自民党地方行政調査会の「地方自治に関する検討プロジェクトチーム」は、中間報告の中で、市町村合併の強力な促進について指摘した上で、次のように提案した。

@合併推進策を講じた後になお残る小規模市町村(例えば人口1万未満)については、引き続き基礎的自治体と位置付けるとしても、通常の市町村に法律上義務付けられた事務の一部を都道府県又は周辺市町村が実施する仕組みとすることを今後さらに検討する。

A上記の小規模市町村については、地方交付税の割増措置等のさらなる縮小について検討する。

いよいよ、例示ではあるが、小規模とは「人口1万未満」という数値が出てきた。小規模が、なぜ1万人未満なのか、規模とは人口だけで測るのか、なぜ面積の大きさを無視するのか、その根拠・理由は定かではない。推測すれば、昭和大合併のとき政府が示した市町村の最少人口規模が8,000人であったことから、その後の市町村事務の増大から見て、若干の上乗せしたのかもしれない。しかし、明らかなことは、1万人未満で線を引けば、現在約2,500ある町村のうち、約1,500、57.7%がその対象となること、このたびの合併後にどのくらいの数の1万未満町村が残るかわからないが、町村にとっては、存亡にかかわる事態であることである。

一部の事務(これが何であるかはわからない)を他に補完させる(これが現実にできるかどうかもわからない)とし、これらの小規模町村に対する交付税上の割増措置の縮小をしようというのである。自主合併とは、合併をしないという選択も認めるはずであるが、こうなると、合併後に残る小規模町村に対するペナルティを課し、実質的に合併を強制する意味合いが出てくる。このような「軽量町村・水平垂直補完論」を容認できるだろうか。否である。

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