全国町村会

強制合併のシナリオ

千葉大学教授 東京大学名誉教授  大森 彌  (第2406号・平成14年7月22日)

全国の市町村は、合併をするかしないかをめぐって、文字通り選択を迫られているが、国レベルの議論は、すでに合併特例法期限(平成17年3月)後に小規模市町村をどのように扱うかに移っている。今回の合併促進策は、自主合併の原則をとっている以上、全面的な支援策にならざるを得ない。それが、この財政難の最中にもかかわらず、考えられる限りの支援策を盛り込んだ「市町村合併支援プラン」である。これほどの支援策を提供して合併を促しても、国から見て合併が思うように進まなければ、次に来る合併促進策が特例法の延長などではなく、強制合併の法定を考える可能性は十分ある。以下は考えられるシナリオの一つ。

基礎自治体として総合的な行財政運営を行うのに最低必要とされる市町村の人口規模を地方自治法に定め、これに満たない市町村の合併を強力に進める。強力に進めるやり方。まず、昭和の大合併のときに「新市町村建設促進法」で未合併町村の合併を促すためにとったものと類似の手続きを導入し、都道府県に設置される第三者機関が合併を斡旋・調停・裁定を行うか、都道府県知事が合併を勧告する。これでも合併申請のない場合は、住民投票を実施させるか総務大臣が勧告を出す。それでも合併を行わない場合は、当該市町村に対しては財政上の制裁措置として段階補正の頭打ちを行う。

これは、強制的に合併を進め、基礎自治体の規模・能力の拡充を例外なしに図るやり方であるという意味では「スウェーデン型」といえよう。この方式のポンイトは、最低必要な人口規模を何万人にするかである。もし1万人にすると、現行では対象市町村数は1,537になり、全市町村の47.8%になる。もし3万人にすると、現行の町村はほとんどなくなる。このようシナリオは、小規模町村にとって「悪夢」かもしれないし、政治的に実行不可能かもしれないが、そうした議論が始まっていることに注意しなければならない。

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