全国町村会

絞り込み型の歳出削減を

千葉大学教授・東京大学名誉教授 大森 彌 (第2388号・平成14年2月18日)

どこの町村でも、平成14年度の予算編成に向けて、どう予算を組むのか悩み多いのではなかろうか。一方では合併を強く勧奨され、他方では今後の税財政の見通しが立ちにくいなかで行財政運営の舵取りは難関である。明らかなことは、地方交付税の運用面で事業費補正と段階補正の見直しが進められ、小規模町村は減収になることである。

また大きな変化は、これまでの地域総合整備事業が廃止になることである。この廃止に伴い、国は、地域活性化事業(循環型社会形成、少子・高齢化対策、地域資源活用促進、都市再生、地域情報通信基盤整備の各事業)については、事業債充当率75%、交付税算入率30%(特に推進するものは、さらに財対債15%、交付税算入率50%)の新たな財政措置をとる(ただし、原則、ここからはハコ物を除外)。しかし、この事業とて相当の負債を決意することには変わりない。

そこで、町村としては、なによりも経年的に地方債残高を必ず点検した上で(これが多いと他の施策経費が圧迫されているはずだから)、絞り込み型の歳出削減を真剣に検討する必要がある。それは、地域に根ざし本当に不可欠な施策は何かをぎりぎりまで追求し、それ以外は当面ストップさせることである。これは一種の危機管理である。現下の状況では、なによりこの発想と対処能力を首長と議会は求められている。

法律で実施が義務付けられている施策をやらないで済ますわけにはいかないが、それについても自分たちの地域にとって本当に必要かどうか検討し、不必要・非効率ならばその廃止・返上を含めて是正を国へ要請すべきである。この作業は、結果的には、これから避けがたい地方交付税の基準財政需要の見直しに対する町村側からの意見の発信となる。

そして、現行の予算・決算書ではなく、税財政の真の姿を判りやすい情報にして住民に公表し、住民の間に議論を巻き起こし、施策の精選を促し、高度経済成長惰性を完全に払拭していくべきである。

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