全国町村会

新町村制の検討を

千葉大学教授・東京大学名誉教授 大森 彌 (第2381号・平成13年12月24日)

平成13年6月に閣議決定された、小泉内閣の「骨太の方針」の中には、「目途を立てすみやかな市町村の再編を促す」と同時に「人口数千の団体が同じように行政サービスを担うという仕組みを見直し、団体規模などに応じて仕事や責任を変える仕組みをさらに検討する」とある。そして、規模などに応じた市町村の区別に関連し、カッコ書きで次のように例示している。「たとえば、人口30万以上の自治体には一層の仕事と責任を付与、小規模町村の場合は仕事と責任を小さくし、都道府県などが肩代わりなど。」仕事と責任にのみ言及し、税財源は無視している点がいかにも市町村合併を「構造改革」の一環に位置づける方針らしいといえるが、問題なのは、小規模町村についての扱い方である。

上の個所を読むと与党が目標数値として打ち出した1,000にまで市町村の数を減少させることができるかどうか別として、どうやら、国は、今回の強力な合併推進方策によっても小規模町村は残存すると考えているように見える。だからこそ、小規模町村の扱いの検討が必要であるとしたといえる。

もし、小規模町村が相当数残るとしたとき、その扱いを、この方針のように、都道府県の肩代わりを前提にして仕事と責任を小さくするというのは本当に望ましい方向であろうか。肩代わりというのは、一定規模の基礎自治体として担うべき仕事と責任があって、しかし、小規模町村ではそれをすべて担いえないから、その分は都道府県が代わって行うのだということに他ならない。強く言えば準禁治産者的な扱いにも見える。しかし、これでは小規模町村の将来に展望は開かれないのではないだろうか。小規模町村が存在する地域は、いわゆる農山村あるいは中山間地域である。その維持と充実には、都市とは異なった苦労と工夫が不可欠なのである。こうした地域の特色とそれに適合的な自治体の仕組みを制度設計する必要がある。新たな町村制を構想すべきである。

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