全国町村会

通知類の点検を

千葉大学教授・東京大学名誉教授 大森 彌 (第2345号・平成13年2月12日)

地方分権一括法が実施されて、間もなく1年になろうとしているが、町村の仕事の現場では何がどのように変わろうとしているであろうか。まだ目立った変化は生じてはいないかもしれないが、自治体が、機関委任の形で国の事務を執行するという制度が全廃され、自治事務と法定受託事務という2種類の仕事を行うことになったということは一大変化である。そして、国は、法律又はこれに基づく政令によらなければ、自治体に仕事を義務づけることはできなくなった。

これまでのように、法令上の根拠が怪しい通達類で自治体に仕事を義務づけるなどということはできない。しかし、この変化を知ってか、知らずか、国の担当者からけじめもなく仕事を言ってきている可能性が高い。同様のことを都道府県の担当者も行っているかもしれない。今までの習慣というか、よしみというか、つい、言われた自治体側もこれに応じてしまってはいないであろうか。お願いベースで言われると、断りにくいこともあるだろう。

そこで、すべての町村長さんは、この1年間に、国や都道府県から受け取った通知・依頼・要望・照会などのすべてを、課ごとに調べさせ、それらがどのような根拠に基づいているものかを、とくに法令に明白な根拠なしに事実上仕事を義務づけていないかどうかをチェックさせてほしい。その上で、役場全体の対処方針を定め、周知徹底させてほしい。

もし、国や都道府県が、法令に基づかない協力を市町村に要請するのなら、きちっとした費用負担を含む委託契約を結ぶという形にすべきである。責任ある発出者の名前もない文書や電話で市町村に当然のように仕事をさせられると思ってきた集権的な意識そのものを克服していく必要がある。

現在、さみだれ方式であるが、各省は自治事務に関しては改めて「技術的助言」を、また法定受託事務に関しては「処理の基準」を示しつつある。これらの確認のためにも、右のような通知類の点検が必要である。

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