全国町村会

自前で作る基本構想・計画を

東京大学大学院総合文化研究科教授 大森 彌 (第2273号・平成11年5月24日)

平成12(2000)年前後は、全国の多くの市町村で、基本構想・基本計画の改定の時期となっている。計画というのは、一定の前提と予測の上に成り立つから、その前提が崩れ、予測が外れてしまえば、およそ計画としては無意味になり、場合によれば有害にすらなるおそれが出てくる。そこで見直しと改定の必要が起こる。

計画には、達成したい理念や目標があるから、どうしても、それに役立つ前提や予測を入れ込みやすい。これはある程度しかたがない。ただ、これまで、ほとんど見込めないと判っていても、人口が増えるとか、いろいろな開発が進むとか、夢を描いて、努力してきた。そして、それが達成できなくとも、あまりその責任を追及することはなかった。しかし少子化が明白になり、人口増が望めず、開発といってもそうそううまみのある事業も見あたらない。まして、かつてのような企業誘致も極めて難しい。ハコモノ行政も、そこでの活動ソフトが乏しく、借金ばかり増えて、かつてのようには住民から喜ばれないし、支持も受けない。明らかに基本構想・基本計画の質が根本から問われている。

それにもかかわらず、相変わらず、民間のシンクタンクに住民意向調査と計画内容の作成を委託するという、これまでの安易なやり方を踏襲している市町村が少なくないのは、どういうことであろうか。そういうと、日常業務に追われ、自分たちの手で地域を点検し、調査をし、計画案を練り上げるようなゆとりもないし、またその経験も乏しいので自信がないという言い訳が返ってくる。自分たちの地域の将来について、自分たちで構想し、その実現のために本当に必要な施策・事業を考えられないような市町村が自治体の名に値するであろうか。安易な民間委託をやめ、住民と役場が全力をあげて自前で作り抜く気概と努力を示してほしいと声を大にして望みたい。そうしてこそ、そんそ計画は自分たちのものとなる。

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